飲食店開業に必要な資格とは?受けるべき講習や手続きを解説、店舗の差別化を図るための資格も紹介

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飲食店の開業を検討している場合、取得しておくべき資格は何か、開業前にどのような手続きが必要なのかと不安や疑問を感じる方は多いはずです。

開業するためには2つの資格取得が必須です。

開業までにはさまざまな準備が必要になるため、計画的にスケジュールを組み立てると失敗しないでしょう。

本記事では、開業に必要な2つの資格と6つの書類、開業後に他の店舗と差別化を図れる資格を紹介します。

飲食店の開業に必要な資格とは?

個人経営で飲食店を開業するにあたり、調理師免許の取得は必須ではありません。

飲食店の開業には調理師免許とは異なる資格が必要です。ここでは飲食店の開業に必須の2つの資格についてを紹介します。

飲食店開業に必要な資格は2つ、調理師免許は必須ではない

食材を調理することで調理師免許の取得をしなければ料理が提供できないと思うかもしれませんが、飲食店の開業においては調理師免許は必須ではありません。

必要な資格は「食品衛生責任者」と「防火管理者」という2つの資格です。

食品衛生責任者とは?

食品衛生責任者とは、調理や料理の提供において、食中毒が起こらないよう、また国の定める関連法を守った運営が取り行われるよう管理する者であり、保健所の実施する講習会の受講などの要件を満たした人物を指します。

飲食店や食品を扱う小売店を開業するにあたって1名以上の従業員が取得しなければならない資格です。

食中毒や店舗の衛生管理、従業員への指導に関する知識を身につけることで、食品衛生法に基づいた経営が可能です。

資格取得には食品衛生責任者養成講習会という自治体主催の講習を受ける必要があります。

自治体によって受講費用は異なりますが、東京都では10,000円(2021年6月以降は12,000円に改定)、埼玉県では10,000円、神奈川県では11,000円となっています。

また、すでに栄養士や調理師の資格を持っている場合は、講習を受けずに食品衛生責任者の資格を取得できます。

<参照>
東京都福祉保健局:食品衛生責任者とは…

防火管理者とは?

防火管理者とは、消防法で定められた国家資格です。

火災が発生しないような防火管理の知識を深められ、顧客と従業員の安全を守るためにも取得すべき資格です。

従業員を含めて30人以上が収容できる飲食店を開業するのに必須の資格で、店舗の面積によって防火管理者に必要な資格が異なります。

300㎡以上の面積を有する店舗では「甲種防火管理者」、300㎡以下の面積を有する店舗では「甲種又は乙種防火管理者」の資格が必要です。

また、資格を取得するまでの期間と費用も異なります。

甲種防火管理者の場合は受講料8,000円と2日間の講習、乙種防火管理者の場合は受講料7,000円と1日の講習を修了すれば取得できます。

飲食店開業に必要な手続きや提出する書類

食品衛生責任者と防火管理者の資格が取得できたら、開業に必要な書類等の手続きが必要です。

店舗に関わる書類や従業員に関する書類など、さまざまな手続きをしなければなりません。

1. 飲食店営業許可申請

実際に営業をはじめるためには、開業の10日前までに6種類の書類を保健所に提出をして営業許可を申請する必要があります。

  1. 営業許可申請書(法許可業種・条例許可業種)
  2. 営業設備の大要・配置図(2通)
  3. 許可申請手数料
  4. 登記事項証明書(法人の場合のみ)
  5. 水質検査成績書(貯水槽使用水、井戸水使用の場合のみ)
  6. 食品衛生責任者の資格を証明するもの

以上の書類は飲食店を開業する際に必須のものです。

2. 防火管理者選任届出書

防火管理者選任届出書とは、30人以上を収容できる飲食店は必ず提出する必要がある書類の一つです。

書類内容には防火管理者の資格を取得している従業員の防火管理講習修了証が必須です。

管轄の消防署または消防出張所へ営業をはじめる前に提出しておきます。

3. 個人事業の開業届出・廃業届出等手続

開業をはじめることで新たに事業所得が生じる場合は「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」を提出する必要があります。

営業を開始してから1ヶ月以内に税務署に提出します。

4. 防火対象設備使用開始届

新しい建物や改築をした場合、「防火対象設備使用開始届」を提出します。

営業を開始する7日前までに消防署に届出をする必要があります。

5. 火を使用する設備等の設置届

飲食店のような厨房設備を持つ店舗は「火を使用する設備等の設置届の提出」が必要です。

火災が発生する可能性のある設備を事前に消防署に伝えるための書類です。

ドリンク提供のみで火を扱わない店舗の場合は提出する必要はありません。

6. 深夜における酒類提供飲食営業開始届出書

深夜0時以降もアルコールを提供するバーや居酒屋などは「深夜における酒類提供飲食店営業届出」を提出する必要があります。

この書類は営業を開始する10日前までに管轄の警察署へ提出します。

7. 労災・雇用・社会保険への加入手続き

雇用形態に関わらず従業員を雇う場合は「労災・雇用・社会保険への加入手続き」をしなければなりません。

雇用を開始する10日前までに労災保険や雇用保険に加入手続きをします。

また、法人の場合は社会保険の加入義務があり、個人の場合は任意で加入の手続きをします。

雇用する従業員のうち、週の所定労働時間が20時間以上または31日以上の雇用見込みがある場合は、管轄するハローワークで雇用保険に加入する必要があります。

他店との差別化を狙うために取得するべき資格3選

ここまで紹介した資格や必須の書類はあくまで開業に不可欠なものであり、すべての飲食店が同じように開業準備をしています。

他の店舗と差別化を図るために効果的な資格を有していれば、開業後も独自の魅力を顧客に提供できるでしょう。

ここからは他店と差別化を図れる資格3選を紹介します。

1. ソムリエ

日本ソムリエ協会の公式サイトによれば、ソムリエとは、飲料類やアルコールの仕入れや専門的知識、テイスティング能力を持っているプロフェッショナルのことをいいます。

ソムリエといえばワインのプロとして社会一般に広く知られた資格です。高級飲食店に従事している存在をイメージされがちですが、さまざまなスタイルの飲食店でも需要があるといえるでしょう。

たとえば、ソムリエの資格を取得した従業員がいる場合、資格を持っていることで説得力が増し、オーダーをしてくれる可能性が高まります。

さらに、顧客との会話の機会が増えれば、信頼感や愛着が生まれることも期待できます。ソムリエをきっかけにリピーターになる可能性もあるといえるでしょう。

また、経営においてもソムリエの資格があれば店舗の料理や顧客層に合わせた仕入れが可能です。

<参照>
日本ソムリエ協会:呼称資格認定試験

2. 栄養士

栄養士の資格は、栄養に関する知識を持つ人材だと証明するものであり、栄養面を考慮したメニュー開発が可能です。

また、「ヘルシーなランチメニュー」と表記するよりも「栄養士おすすめのランチメニュー」と表記することで説得力が増します。

健康志向の顧客は栄養価の高いメニューに魅力を感じるため、ターゲットを絞って栄養士の資格を活かしたメニューを軸に経営する方法もあります。

3. 調理師免許

調理師免許とは、食品に関する知識や食中毒の予防方法を専門的に学んでいることを証明する資格です。

飲食店において調理師免許を取得していなくてもキッチンスタッフとして働くことが可能ですが、資格を持っていると顧客に安心感を与えられます。

また、安心して食事を楽しめる店舗として印象を与えられ、イメージアップにつながります。

資格を取得するためには、2年以上の調理業務経験を経てから調理師試験に合格する必要があります。

資格の取得・必要な手続きを行い、魅力的な店舗づくりを

飲食店を開業するためには「食品衛生責任者」と「防火管理者」の資格、さらに手続きをしたり、書類を提出したりする必要があります。

これらは開業するために必須ですが、一方で他店と差別化を図るためには「ソムリエ」や「栄養士」などの有利に働くような資格を取得するのが望ましでしょう。

無事に営業を開始できたあとは、魅力的な店舗づくりとサービス向上に取り組むことで集客アップを狙います。

どの程度の規模の飲食店をオープンしたいのか、従業員は雇うのか、扱う商品や営業時間などによって必要な書類が異なるため、理想の店舗をイメージしてから手続きを進めると無駄なく開業できます。

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