新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、資金繰りに頭を抱えている飲食店経営者は多いでしょう。
しかし「どんな支援があるのか」「どんなことに注意しなければならないのか」など、わからないことも多いのではないでしょうか。
この記事では飲食業の事業者が利用できる助成金制度とその種類、助成金を受け取る際の注意点について紹介します。
政府の資金繰り支援政策
飲食店経営が難しくなってしまった人のために、現在さまざまな資金繰りに関する支援政策がとられています。
具体的には「助成金」という形をとったものがあり、その制度には国が提供しているものもあれば、民間が提供しているものもあります。
行政府による特別貸付制度
政府は新型コロナウイルスによる売上や収入の悪化を支援するため、さまざまな支援体制を整えています。
例えば、「新型コロナウイルス感染症特別貸付制度」は、株式会社日本政策金融公庫と沖縄振興開発⾦融公庫が取り扱っている中⼩企業・⼩規模事業者向けの融資制度です。
具体的には「実質無利子の貸付である」、「無担保で資金繰り支援をおこなう」といった内容となっています。 新型コロナウイルス感染症特別貸付制度は総額1.6兆円規模の金融措置となっており、1,000億円程度の資金繰り支援金が拡充されることになっています。
また日本政策投資銀行や商工組合中央金庫も、2,040億円程度の金融支援をおこなうとしており、国際協力銀行による2,500億円程度の金融支援措置もおこなわれているようです。
どの制度を選べばいいか分からない、という人は全国にある「新型コロナウイルスに関する経営相談窓口」に相談できます。政府系金融機関や商工会議所、中小企業の関連団体に窓口があるため、資金繰りに関する制度を案内してもらうことが可能となっています。
民間金融機関も迅速に対応
民間金融機関も飲食店の資金繰りを支援する独自の仕組みを構築しています。
たとえば東京に本店を持つ地方銀行の「きらぼし銀行」は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける企業に向けた支援策を打ち出しています。 具体的な内容としては「本店の審査を受けずに、融資の判断を支店で決める」として、以前から取り引きがある企業の場合、最短で申し込んだ翌日に融資が決まることもあるようです。
新たにきらぼし銀行との取り引きを始める場合も、原則3営業日以内に融資を判断するとしており、銀行側は「ほかでの融資を受けられるようになるまでの、つなぎとして使ってもらうのもいい」と話しています。
東京にある芝信用金庫も同様に、支店長の判断のもと融資できる基金を作成しています。思わぬ状況に頭を抱える経営者たちの資金繰りをサポートしようと、各所で対応への動きが広がりを見せています。
新型コロナウイルスによりさまざまな助成金
助成金と補助金はどちらも政府や地方自治体、民間団体から支給される返済義務が原則ない支援です。助成金は一定の条件を満たせば支給され、補助金は審査を通過する必要があります。
ここでは、現在どのような助成金や融資制度が用意されているのかについてお伝えします。
※下記内容は変更されている場合があります。最新の情報は各専門サイトでご確認ください。
新型コロナウイルス感染症特別貸付
「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、株式会社日本政策金融公庫と沖縄振興開発⾦融公庫が取り扱っている融資制度です。この融資を受けるには「直近1カ月の売上高が前年同期と比べて5%以上減少していること」という条件を満たす必要があります。
たとえば、前年度の売上高が100万円で今年度の同期の売上高は80万円だったとします。この場合5%以上売上高が減少していることになりますので、融資を受ける条件を満たすことになります。 また小規模事業者の場合には一定の条件を満たすことで6,000万円を上限に融資を受けることが可能となります。
ただ「売上高が15%減少していること」といった条件があるので、助成金受給のための各条件は確認が必要です。 売上高の減少率に応じてより優遇された融資を受けられる場合もありますので、前期と比べて売上高がどのくらい減少したかを計算する必要があります。
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付
「生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付」もまた、株式会社日本政策金融公庫と沖縄振興開発⾦融公庫の取り扱い融資制度です。
この制度は新型コロナウイルスの影響で経営が悪化した生活衛生関係事業者を対象としています。 数字的な条件には「直近1か月の売上高が前年、あるいは前々年の同期よりも5%以上減少している」などがあります。
無担保で融資を受けられ、限度額は6,000万円となっており、金利については最初の3年間の基準利率が-0.9%となっています。さらに貸付期間は設備資金が20年以内、運転資金が15年以内となっていますが、この15年のうち据置期間は5年以内です。
生活衛生新型コロナウイルス感染症特別貸付を利用する場合には振興計画認定組合の組合員の場合、振興計画認定組合の長が発行する「振興事業に係る資金証明書」が必要となり、それ以外の場合は都道府県知事の「推せん書」が必要となります。
セーフティネット保証
「セーフティネット保証」は信用保証協会が展開している融資制度です。対象は経営状況が悪化している中小企業や小規模事業者となっており、経営安定をゴールに、現状支障を生じている企業への資金供給をスムーズに促す役割も担っています。
利用条件には「指定業種の事業をおこなっていること」「直近3か月間の売上高が前年同時期と比べて5%以上減少していること」などがあり、一時的な緩和策として「直近3か月の売上高が判明するまでは、売上高見込みを含む3か月間の売上高減少でも可能」としています。
また中小企業の借入金に関しても、一般保証とは別枠で2億8,000万円を上限に80%保証する、という内容になっています。
雇用調整助成金
「雇用調整助成金」は事業活動を維持できなくなった事業主に向け、雇用の維持を図る目的で休業手当などにかかった費用をサポートする制度となっています。
こちらの助成金は新型コロナウイルス感染症の影響により、特例措置が講じられたことから「新型コロナウイルス感染症の影響を受ける事業主」に対象が広がっています。
また休業などおこなうには前もって休業等計画届の提出が必要ですが、1月24日以降に初回の休業等がある計画届は「事後提出」が可能となっています。
【飲食店向け】新型コロナ助成金・融資まとめ:緊急事態宣言で発表の納税猶予解説/市町村単位の支援まで網羅
全国的に緊急事態宣言が発令され外出自粛が求められているため、外食業界では休業する店舗も出てきているほか、営業していても売上に大きく影響が出ています。経済的な打撃を受けて苦しむ事業者の声は、SNSや報道を通じて世の中へ届けられています。これに対し、国や各地方自治体が助成金、融資等の施策を続々と発表しています。4月7日の安倍首相の会見では、7都府県を対象とした緊急事態宣言の発出とともに、給付金配布、固定資産税減免、納税や社会保険料の支払い猶予など、「世界的にも最大級の支援を行う」ことが示されま...
助成金・融資を受ける際の注意点
経営する飲食店の運営が新型コロナウイルスの影響により、上手くいかなくなった場合は助成金を活用することも大切ですが、申請の際にはいくつか注意点があります。例えば窓口での感染リスクや詐欺が挙げられます。
このような助成金の申請手続きに伴うトラブルには、十分気を付ける必要があります。
窓口の混雑による感染リスク
経営悪化で資金繰りにせまられている経営者はたくさんいます。そのため助成金を受けたいという人もたくさんおり、助成金の申し込み窓口は非常に混雑しています。感染リスクを避けるためにはできるだけ待ち時間を減らすことを意識します。
たとえば日本政策金融公庫の窓口では3時間以上待たされる、という声もあります。待ち時間を極力少なくするためには事前にアポイントメントをとっておくなど、手短に申請が終えられるよう手配しておきます。
日本政策金融公庫の融資制度はインターネットからも申し込みができますので、ネット申請を利用するのもひとつの方法です。
詐欺の発生
新型コロナウイルスの流行に伴い、事業が悪化している経営者を狙った「詐欺」が横行しています。
具体的には自治体の名前や政府系金融機関である「日本政策金融公庫」に似た団体名をかたり、融資の勧誘をおこなうようです。公庫の公式Webサイト内でも注意喚起を促していますので「何か変」と少しでも感じた場合は一度冷静になって状況を把握する必要があります。
助成金や融資を検討する場合には、そうした悪質な事業者がいる、という事実も頭に入れておく必要があります。
さまざまな資金繰りを吟味し、危機を乗り越える経営を
外出自粛で通常営業ができない状況が続く中、終わりが見えない不安がつきまといます。資金繰りに迷ったときには、助成金や融資を利用するという方法も検討すると良いでしょう。
資金繰りの方法はさまざまですが、ひとつひとつを吟味し、冷静かつ素早くおこなうことが今できることのひとつです。
まずは多くの融資制度の条件とされる前年の売上高と比較し、減少率がどのくらいかを確認します。そして「どの助成金を受け取ることができるのか?」「利用したい制度はどれなのか?」を検討、不安があれば各種問い合わせを積極的に利用すると良いでしょう。
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