2022年4月、3年ぶりに緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの行動制限のないゴールデンウィークを迎えました。
同時に、ワクワク割の開始の発表、「県民割」の延長など宿泊業界が注目すべきニュースも相次いでいます。
この記事では、4月の宿泊業界動向についてまとめます。
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「ワクワク割」イベント事業復活の切り札になるか
政府は、ワクチン接種者を対象にコンサートやスポーツ観戦などのイベントのチケット料金を割り引く「イベントワクワク割」を行うことを発表しました。
開始時期について公式サイトでは「現時点では未定」とのことですが、TBSなどの一部報道によると5月を目安に調整が行われているようです。
コロナウイルス感染拡大により大きな打撃を受けたスポーツイベントやコンサート事業者などを支援するという目的はもちろん、イベント施設周辺の観光施設や宿泊施設の活性化も期待されます。
昨年終了した「GoToイベント」の内容から引き継ぐ部分もありながら、ワクチン接種歴や陰性の検査結果の確認が必要となる点が大きな違いとして挙げられます。そのため、主にワクチン接種率が低いとされている若年層に向けたワクチン接種促進がひとつの目的と考えられています。
「県民割」5月末まで延長
2022年3月にまん延防止等重点措置が全国的に解除となって以降、各地で観光復活の兆しが見えつつあります。
特に東京、大阪、愛知を除く44道府県が導入している「県民割」は、各所からの要請もあり、当初4月28日までとされていた期間が5月末まで延長されることとなりました。
GWは対象外
5月末までに期間が延長された「県民割」ですが、ゴールデンウィーク期間に当たる4/29~5/8は対象外でした。
緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの行動制限のないゴールデンウィークは3年ぶりであっただけに、もしも「県民割」が適用されていれば、より大きな観光需要が生まれたことでしょう。
しかし、観光は人流の活発化と表裏一体で、感染状況の悪化に直結する可能性が高いため、政府は慎重な姿勢を崩しません。
延期分の財源「不足のおそれ」
旅行代金や土産物購入がお得になる「県民割」の延長により、観光需要の喚起が期待されることは言うまでもありません。
一方で自治体からは、地域経済をめぐって要望が上がっているようです。
群馬県の山本知事は、「県民割」の延長に伴い県の財源が不足するおそれがあるとして、斉藤国土交通大臣に対し、国の補助金の追加配分を求める要望書を渡しました。
この要望書は、岩手県、長野県、石川県、福井県の知事との連名によるもので、「Go Toトラベル」の事業の再開を望む発言もあがっています。
【事例紹介】観光・出張以外の顧客獲得
コロナ禍により観光や出張に伴う宿泊の需要が停滞気味となっている現在、多くの宿泊施設が、これら以外の目的で訪れる顧客を獲得することに成功しています。ここでは、そのような事例を紹介します。最高級ホテルの味をキッチンカーで/帝国ホテル
帝国ホテルは、東京国際フォーラムの地上広場にキッチンカーを長期出店すると発表しました。
昨年にもキッチンカーを期間限定で出店しており、好評であったことから、定番化に踏み切ったようです。
テイクアウトの注文ができる点や、1000〜1500円と比較的リーズナブルな価格設定になっていることから、帝国ホテルの味を気軽に楽しめるサービスとして幅広い層の顧客獲得が期待されます。
客室をオフィスとして貸出/近鉄・都ホテルズ
近鉄・都ホテルズは4月から、ホテルの客室をオフィスとして貸し出す試みを開始しました。「シェラトン都ホテル東京」の一部の客室のベッドを撤去し、オフィス家具を設置するほか、会議室や入居者専用のラウンジも用意したということです。
ホテルの設備やサービスを割安、あるいは追加料金なしで受けられることが魅力で、他オフィスとの差別化を図っています。
コロナ禍でインバウンド需要が激減し、以前の4割近くまで落ち込んでしまった客室稼働率を改善することが期待されています。
「サウナのみ」宿泊なしでも利用可能に/ドーミーイン
「春日の湯 ドーミーイン後楽園」では、「サウナだけプラン」がスタートしました。従来は宿泊者向けのサービスが中心でしたが、温浴利用のみのプランを選択可能になりました。
このプランでは、OMOツール「habitat」を活用することにより、プランの予約から決済までを事前に行うことが可能です。
1回1800円のプランと、月額サブスクリプションのプランが用意されています。
京ことばを話すAIロボットと宿泊/ホテルオークラ京都
ホテルオークラ京都は、株式会社ミクシィが開発する自律型会話ロボット「Romi」と一緒に「ホテルオークラ京都」に泊まることができるプランを4月14日から提供開始しました。「Romi」は会話の流れや季節・天気・時間帯などを加味し、定型文ではない自然な会話が可能なAIロボットです。
このプランでは、「Romi」の通常機能に加え、京ことばを話したり、京都の観光スポットを案内したりするなど、オリジナルの機能も追加されています。
まずは「Romi」を体験してみたいという顧客にとって、魅力的なプランであると言えます。
東京駅で駅長制服を着て写真を撮れる/日本ホテル
東京ステーションホテルでは、終電後の東京駅内外で駅長制服を着用し、記念撮影を行うことができる「東京駅ミッドナイトフォト」宿泊プランの販売を開始しました。
このプランは、JR東日本とのコラボレーションによるプランで、鉄道開業150年を記念した取り組みとなっています。
また、JR 東日本の乗務員が使用するSEIKO製の懐中時計が記念品としてプレゼントされるそうです。
この宿泊プランでしか実現できない、特別感のある体験に惹きつけられるファンも多いことでしょう。
【事例紹介】アフターコロナに向けて高級ホテル開業
新型コロナウイルスの水際対策によりインバウンド需要が停滞し、宿泊業界が苦境を強いられていることはいうまでもありません。
しかし、コロナ後のニーズに備え、新たに高級ホテルを開業する動きもみられています。
京都に新ホテル建設開始で90億借入/帝国ホテル
帝国ホテルは、京都にオープンする新たなホテルの建設開始に伴い、みずほ銀行と京都銀行からシンジケートローン(協調融資)で最大90億円を調達すると発表しました。京都の新ホテルは、祇園の中心部にある国の登録有形文化財「弥栄会館」を活用した施設で、2026年春の開業を予定しています。
また、東京都千代田区の帝国ホテル東京も2024年以降の建て替え工事を控えており、総事業費は2000億~2500億円を想定しているようです。
歌舞伎町に47階建て複合施設建築へ/東急ホテルズ
新宿歌舞伎町で開発が進んでいる「東急歌舞伎町タワー」の開業が、2023年4月に決定しました。この施設はホテルのほか、映画館・劇場・ライブホールなどのエンターテインメント要素を含む複合施設となっています。
「“好きを極める場”の創出」をコンセプトとしており、ホテルの可能性を拡張する斬新な試みとなっています。
ここでは、4月に発表された宿泊業の各種データについて紹介します。
宿泊旅行統計(3月分)
国土交通省の観光庁が発表した宿泊旅行統計によると、3月の延べ宿泊者数は約3300万人泊、外国人延べ宿泊者数は約34万泊となっています。
依然としてコロナ前の水準には届きませんが、昨年3月の延べ宿泊者数(約2700万人泊)、外国人延べ宿泊者数(約26万人)と比較すると、回復傾向にあることが読み取れます。
内閣景気ウォッチャー調査(3月分)
内閣府による「景気ウォッチャー調査」では、まん延防止等重点措置の解除後、徐々に客足は回復傾向にあり、客室稼働率も上昇しているとの声が見られました。
一方で、長引くコロナ禍で経営が厳しいとの声も多くあがり、GoToの再開を望む声も多くなっていました。
来月の消費予想
2022年5月の消費意欲指数は46.8点で、前月比では1.2点減、前年比では0.8点減となりました。
消費意欲指数の理由として3〜4月にかけて高い水準だった「新生活の準備」が落ち着いたこと、加えて「物価上昇/値上げラッシュ」が大幅に増加したことが、大きな要因であると予想できます。
カテゴリー別では、行動制限のないゴールデンウィークがあることから「旅行」が増加しました。
一方、「ファッション」「インテリア用品」「化粧品」「理美容」「家電・AV」の5カテゴリーでは20件以上減少しています。
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<参照>
NHK首都圏ナビ:「県民割」大型連休は対象外 「Go Toトラベル」再開は慎重判断
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