ゾーニングとはマーケティング用語の一つで、店舗内のカテゴリーに分かれた商品のレイアウトを変更することです。店舗の売上に悩む経営者はゾーニングを見直すことで、課題を解決することができる場合があります。
戦略的なゾーニング変更は、商品の売上向上につながります。この記事では、ゾーニングについての知識や、業界別のゾーニング方法を解説します。
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ゾーニングとは
ゾーニングとは、商品を分類し、どの分類の商品を売り場のどの場所に配置するのかについて決めることです。
また配置を工夫することにより、売上を向上させる試みを意味する言葉でもあります。
顧客は、求めている商品の陳列場所が分かりにくいと商品の購入には至りません。顧客の目線や動線を考慮して商品を配置するゾーニングは重要な考え方です。
計画購買と非計画購買/売上・滞在時間に影響
ゾーニングによって、売上の増大が期待できる点があります。
購買には、計画購買と非計画購買があります。ゾーニングにおいては、顧客に計画購買を達成させながら、非計画購買の可能性を高めるゾーニングが重要です。
非計画購買の検討が起これば、当然、目的のものを購入するだけの場合よりも顧客の滞在時間は長くなります。滞在時間が長ければ、店舗は多くの商品を見てもらえます。
ゾーニングの方法2つ
ゾーニングには大きく分けて2つの方法があります。店内のレイアウトと、陳列棚のどの位置に商品を置くのかを意味する商品陳列です。
片方だけのゾーニングでは最適な効果を得られないため、両方のゾーニングをする必要があります。
いずれの場合も、業態にかかわらず、立地条件や利用する顧客の特性により店舗にとって最適なゾーニングはかわってきます。
1. 店内のおおまかなレイアウトを考える
まずは入店率を上げるレイアウトを考えていきます。入店率の向上のためには店舗内の3か所(入口周辺・店の奥・中央)が重要です。
顧客から見て一番目につきやすい入口周辺には、季節の商品、セール品など、衝動買いにつながる商品を配置します。
店の奥には、目的買いが多い商品や価格設定の高い商品を設置します。
外からも入店直後にも見えない店の中央には、消費者が強い意志を持って購入する傾向のある商品を配置します。たとえば、文具、調味料、生活雑貨、ペット用品などです。これらの商品を目的とした消費者は、結果として店の奥まで足を運ぶことになります。
店内の奥まで誘導することができれば、滞在時間を長くする効果が期待できます。
2. 商品陳列を考える
商品陳列の基本は、見つけやすく選びやすくすることです。これを踏まえて陳列棚を配置し、商品の売上をコントロールします。
陳列方法は「バーチカル陳列」と「ホリゾンタル陳列」に分かれます。バーチカルは縦、ホリゾンタルは横を意味します。
バーチカル陳列は、商品をカテゴリごとに、縦方向に陳列することです。消費者の目線の高さにかかわらず、あるカテゴリの商品を販売していることに気付いてもらえます。
ホリゾンタル陳列ではあるカテゴリの商品を横向きに、同じ目線の高さに配置します。商品を見渡しやすくする効果があり、また横向きの移動を促すため店内の回遊にもつながります。
ゾーニングで売上を増加させるための3つのキーワード
ゾーニングを考える際には、ゴールデンゾーン、AIDMAの法則、行動分析の3つを押さえましょう。
この3つのポイントを取り入れることによって、より効果的にゾーニングのメリットを得ることが期待できます。
1. ゴールデンゾーン/最も目に入りやすい領域
ゴールデンゾーンとは最も顧客の目にとまりやすく、手に触れやすい高さにある領域のことです。明確な定義はなく、一般的に床上60cm~160cmの範囲といわれています。
また身長によって目線の高さが異なるため、女性に比べて平均身長の高い男性のゴールデンゾーンは高くなる傾向があります。
ゴールデンゾーンに置かれる商品の売れ行きは基本的に良好であるため、ゴールデンゾーンを利用することで売りたい商品を効果的に訴求することが可能です。
2. AIDMAの法則/消費者の購買までの心理プロセス
商品を購入してもらうためには、消費者の心理的プロセスを理解する必要があります。AIDMAは消費者の心理的プロセスについて5つの段階に区分しとらえるモデルで、各段階の頭文字を取ってこのように名付けられています。
プロセスを分解して見ていくと、消費者が商品を購入するまでのプロセスは注意→興味→関心→欲求→記憶→購買という流れになります。
このモデルに沿って消費者を理解するのならば、顧客に商品を購入してもらうための第一歩は、顧客に商品に興味、関心を持ってもらうことということになります。ゾーニングにおいても、注意を引くことを主眼においた計画を立てることで、購買につながる第一歩となります。
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3. 行動分析/顧客の行動を集積しデータ化・分析
顧客の滞在時間を長くするために実際にレイアウトや陳列を設置した後に必要になるのが顧客の行動分析です。
最近ではAIやICTテクノロジーの進化により購買行動を分析するサービスも存在し、ネットワークカメラなどによって消費者の行動を集積、データ化、数値化する方法もあります。
分析の内容はレイアウト分析、年代や性別ごとの分析、来店率の計測などがあり、分析結果をゾーニングの方針に反映します。
業界別のゾーニング方法
ゾーニングはあらゆる業界で効果が期待できる方法ですが、業界によってゾーニングの方法は異なります。
自分の業界に合ったゾーニングをすることでより高い効果を期待することができます。
飲食業界
飲食店では飲食の最中だけではなく、入店から退店の間を対象として、顧客が快適にすごせるように工夫します。
座りやすいテーブルの位置、会計がスムーズにできるレジの位置、顧客とホールスタッフが店内でぶつからない空間づくりが重要です。
居酒屋などトイレを使用する顧客が多い形態ではトイレの位置もポイントになります。
また顧客の属性に合わせたゾーニングも大切です。たとえばカップル用、家族用、友達用と対象をターゲティングした席を設けておくことでリピーターの増加も期待できます。
小売業1(アパレルショップ)
小売業の一つであるアパレルショップでは、店舗全体を見たときにどのような印象を与えるのかを重視するべきです。顧客は商品単体ではなく、店舗の雰囲気も含めてブランドを認識するからです。
同時に、売り場では商品が目につき、なおかつ手に取りやすいように配置します。また出口が分かりやすいと顧客にすぐに店から出られる安心感を与え、気軽に立ち寄ってもらえます。
小売業2(コンビニエンスストア)
小売業の一つであるコンビニエンスストアでは、一般的に店の入り口に雑誌などの書籍類を配置しています。これは、雑誌を立ち読みしたり選んだりしている顧客が外から見えることで、これから店内に入ろうとしている顧客を入店しやすくするという効果が期待できます。
また、店の一番奥に飲み物を設置しているのは、飲み物を目的とした顧客が多いからです。目的とする商品を一番奥に設置することで、その商品にたどり着くまでに他の商品を見てもらえます。
ゾーニングを活用して店舗売上向上へ
商品のカテゴリごとの配置や、陳列の工夫は、店舗の売上を左右します。こうした仮説や定説に基づく配置はゾーニングといい、様々な業界で取り入れられてきました。
業態によって効果的なゾーニングは異なるため、どんな商品をどうやって売るのか、また顧客のニーズは何かを正確につかむことが必要です。
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