SDGsが注目を集めている昨今ですが、それに類似した概念として「ソーシャルグッド(Social Good)」が注目され始めています。
ソーシャルグッドとは企業が環境問題や貧困などの社会的課題の解決に対して良い影響を与えることを目指す取り組みを指す言葉で、欧米を中心に広がっています。
この記事ではソーシャルグッドの概要と現状、ソーシャルグッドを企業活動に取り入れることのメリット、日本での実施事例などについて解説します。
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ソーシャルグッドとは
ソーシャルグッドとは、「社会に対して良いインパクトを与える」という意味で、近年では環境や貧困などの社会問題解決に向けて良い影響を与える製品やサービスの総称として用いられています。
海外ではすでに浸透としており、その考え方は製品やサービス、取り組みの評価軸としてのトレンドになりつつあります。
注目の背景は「SDGs」
ソーシャルグッドが注目されてきた背景には、2015年に国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)への意識の高まりがあります。
SDGsが欧米を中心に中心的な考えとして広まり、サステナブルな社会を目指すための取り組みへの評価が高くなることに伴い、「ソーシャルグッド」も注目されるようになってきました。
利益の追求と社会貢献を両立する
SDGsの普及より以前は、社会問題への解決としてCSR(企業の社会的責任)などの概念が評価軸されることが多かった一方、これらは企業にとっての利益追求活動とは別軸の取り組みとして行われるものでした。
近年ではCSV(共有価値の創造)として、企業の本業と社会的価値の追求をともに進めるための動きが盛んとなっており、企業の利益追求と社会貢献を同時に達成するような取り組みが求められるようになっています。
日本での浸透は浅い…当事者意識にはSNSが関係?
日本ではまだソーシャルグッドの考え方が浸透しているとはいい難い状況です。
電通と電通総研が2020年12月に行った、日本、イギリス、アメリカ、中国、インドのソーシャルメディア利用者を対象とした意識調査によると、「社会をよくする企業・ブランドの商品を購入する」にイエスと答えた人は上記5カ国平均で73%いたのに対し、日本は51%でした。「環境負荷の低い商品や、フェアトレード商品は多少高くても選ぶ」については、平均66%に対して日本は39%と、特に低い数字を示しています。
また、5カ国で全体でみた場合にSNSに週1回投稿する人はソーシャルグッドへの意識が高いことが示されています。SNSへの投稿頻度や習熟度が高い人は世界の問題に関心があり、ソーシャルグッド意識も高くなる可能性があります。
<参照>
電通:電通と電通総研、ソーシャルメディア利用×ソーシャルグッド意識の5か国調査を実施
ソーシャルグッド活動のメリット
企業としてソーシャルグッドに関心を持ち、取り組みをアピールしていくことにはいくつかのメリットがあります。
ここでは、ソーシャルグッド活動のメリットについて解説します。
1. 企業のイメージ・認知度アップ
ソーシャルグッドへ活動に取り組んでいることは、企業のイメージアップにつながります。
現代において、SDGsやソーシャルグッドへの取り組みを行うことはトレンドとなっており、株主や投資家、消費者へのアピールとして有効です。
企業活動としては投資が集めやすくなったり、意識が高く優秀な人材を募集しやすいなどのメリットが考えられます。
また消費者に対しても取り組みが評価されれば商品の認知や支持につながるなど、多くのメリットがあります。
2. 従業員の意識向上
ソーシャルグッドの意識を高めることにより、企業の目的を社会問題の解決に置くことで、社員にとってその企業で働くことへの誇りや目的意識が生まれ、モチベーションが向上することが考えられます。
社員の帰属意識も高まり、より良いパフォーマンスが期待できます。
ソーシャルグッド企業の例
日本国内でもソーシャルグッドに取り組んでいる企業は数多くあります。
ここではソーシャルグッド企業と、その具体的な取り組みについて紹介します。
1. 無印良品
雑貨やインテリアなどを中心としたショップである「無印良品」を展開する良品計画は、2018年に商品やサービスを通じた社会課題解決を図る「ソーシャルグッド事業部」を立ち上げました。
良品計画はそもそも「商い」で社会に貢献することを宣言しており、社会課題の解決を旨とした企業といえます。
事業部としての具体的な取り組みは、地域の特産品を販売する市場や地域の食材による食堂などの展開、農業支援ができる商品の開発など、地域の活性化を目指したものが中心となっています。
2. セブン-イレブン・ジャパン
コンビニチェーンであるセブンイレブンは出店にあたり、お店の少ない地域に出店することがあります。これは戦略としての面もありますが、店舗を出すこと自体を住民の買い物の負担軽減につなげるなど、その地域の利便性を向上させる社会貢献としての側面もあります。
セブンイレブンでは社員一人ひとりが地域とビジネスするという意識があり、地域や行政との連携によりソーシャルグッドの取り組みを行っているといえます。
その他、待機児童問題の解決のために保育園をつくるなどの試みも行なっています。
3. ヤマト運輸
運送最大手の一つであるヤマト運輸では、本業を通じた社会貢献として「プロジェクトG」を展開しています。
これは既存の宅配ネットワークを活かしたプラットフォームづくりを行うプロジェクトで、過疎化や老齢化問題を中心とした地域の問題解決に取り組むものです。
具体的には配送ネットワークを活かした高齢者の見守りや行政刊行物の配布を自治体からの業務委託を受けて行うといったものがあります。その他にもバス路線網の維持や障がい者雇用の創出など、公益性の高い事業を手がけています。
本業を通じて社会貢献を目指すソーシャルグッド
ソーシャルグッドは企業の利益と社会貢献を両立させるための取り組みであり、世界中で注目が高まっています。企業はソーシャルグッドの考えを企業活動の中に取り入れていくことにより、さまざまなメリットが得られます。
日本での認知度は現状それほど高くありませんが、すでにさまざまな取り組みを始めている企業があり、今後も注目度は高くなっていくと思われます。
「SDGs」と経済成長を同時に叶える世界のトレンドとして、企業のイメージアップにもつながるソーシャルグッドを押さえておく必要があるでしょう。
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