コインパーキングは、同じ来店型サービスの飲食店とは異なり、駐車場を借りる目的のみで利用する顧客はほとんどいません。
仕事の打ち合わせや近くのレジャー施設、観光などをするために補助的なサービスとして利用されます。
そのため、いかに主目的とセットでコインパーキングの利用を促せるかが重要となります。
この記事では、コインパーキングのデメリット、固定客の獲得方法、臨時客の獲得方法を解説します。
コインパーキングのデメリット
コインパーキングの集客は、飲食店や宿泊施設などの集客とは性質が大きく異なります。
以下では、コインパーキングの特異性を解説します。
コインパーキング目当てではない
コインパーキングの集客を考えるうえで忘れてはいけないのが、コインパーキングを目的地する顧客はほぼいない点です。
飲食店や小売店、宿泊施設などでは、顧客がサービスを目当てに来店しますが、駐車するためだけにコインパーキングへ足を運ぶことはありません。
そのため出かけている最中、一時的に駐車する必要がある顧客がターゲットとなります。
また利用する顧客は、周辺のパーキングと利便性や価格を比較して決めるでしょう。
しかし、駐車場の性質上、基本的なサービスの内容が似通ってしまうため、差別化を図ることは簡単ではありません。
予約が非効率的
飲食店や宿泊施設では、自社サイトやポータルサイトから予約を受け付けることで客を獲得していますが、予約を受け付けているコインパーキングは少ないのが現状です。
これは、コインパーキングでの予約は非効率であるためです。
多くの来店型サービスでは、予約によりスムーズな対応をしたり、待ち時間を少なくしたりできますが、コインパーキングで予約システムを導入すると、前の利用客が超過して駐車していた場合や、キャンセルした場合の対応が難しく、かえって利用方法が煩雑になってしまいます。
インターネットを利用して集客する際には、Web予約以外の方法で訴求する必要があります。
リスクがある
コインパーキングでは、事故や災害などのリスクがあります。
無人経営はコインパーキングのメリットですが、管理人がいないため、事故時には経営者が自ら対応しなければいけないというデメリットがあります。
また、台風や地震の際には駐車していた車が被害を受けることもあります。
このような場合に備えて、保険の加入や緊急連絡先の記載など、適切な対応がとれるよう準備をしておく必要があります。
継続的な顧客を確保する
一般的な店舗の集客とは性質の異なるコインパーキングですが、継続的な顧客を獲得できれば収益を安定させられます。
そのためには、周辺施設との提携や、メリットの提示、サービスの多様化がポイントです。以下では、それぞれの方法を解説します。
他の施設との提携
顧客はコインパーキングを目当てにしているわけではないため、周辺施設と提携して集客する方法が効果的です。
利用客を獲得するための動線づくりを意識すると良いでしょう。まず、飲食店やショッピングモールなどの商業施設と提携する方法です。
特に付設駐車場の台数に比べて来客数が多い施設だと効果的です。
駐車場が常に埋まっている状態では、施設を訪れる人が減ってしまうため、顧客数に対して十分な台数の駐車場を確保することは、施設にとって必要な施策となります。
また、集合住宅やマンションの来客者に駐車してもらうのも良いでしょう。集合住宅では、来客者による不正駐車が問題となるため、コインパーキングとの提携で解消できれば、建物の管理者側にもメリットがあります。
回数券、割引券などのサービス
固定客を獲得するうえで大切なのは、一度利用してくれた顧客にいかにリピートしてもらうかです。
回数券や割引券など、リーズナブルに利用できる仕組みを導入して、リピーターを獲得しましょう。
サービス内容で差別化を図るのが難しいコインパーキング業界で、周辺の駐車場よりも安い価格で利用できることは大きなアドバンテージになります。
一部を月極駐車場とする
コインパーキングの一部を月極駐車場として貸し出す方法もあります。
アパートの住人用、クリニックのお客様用、工場や倉庫の従業員用など、周辺環境によってさまざまなニーズが考えられます。
月極駐車場は、時間貸しに比べて収益は下がりますが、月極契約の区画に駐車されていれば、随時利用されているように演出できます。
一台でも車が停まっていれば呼び水となり、他の車も利用しやすい雰囲気が生まれます。
臨時のお客さんを獲得する
継続的な顧客の獲得はもちろん大切ですが、コインパーキングの売上をさらにあげるためには、臨時の顧客も誘客する必要があります。
以下では、周辺でニーズを持っている見込み客を獲得するための方法を解説します。
カーナビへの掲載
カーナビに駐車場の情報を掲載すれば、リアルタイムでニーズを抱えているドライバーにコインパーキングの存在をアピールできます。なお、その際には空車状況も併せて掲載することが大切です。
ナビゲーションサービスを提供する「NAVITIME」に情報を登録することで、より多くの見込み客の獲得につながります。2020年現在、「駐車場」はNAVITIMEで最も検索されているジャンルのため、集客効果が見込めます。
また、アクセンチュアインタラクティブグループのアイ・エム・ジェイが運用する駐車場データベースに情報を登録すれば、多くのカーナビに情報を掲載できます。
さまざまなカーナビに情報を入力するよりも、効率よく知名度を高められるでしょう。
看板への工夫
看板は、売上を左右しうる、重要な要素です。コインパーキングでは、駐車場の存在を知らせる「P」看板や「満空」看板、時間あたりの料金やシステムを記載した「料金」看板があります。
前者は、走行中のドライバーに見つけてもらえるよう、遠くからでも目立つ場所に設置すべきです。
一方、後者は、料金の安さをウリにしている場合は目立たせる必要がありますが、都心や駐車需要の多いエリアなどで、料金を安く設定していない場合はあえて目立たせない方が良いでしょう。
上限料金が安いパーキングでは、時間料金を小さく、上限料金を大きく記載するなど、メリットをアピールすることがポイントです。
使いやすさへの工夫
料金が安く、看板が目立つ場所にあっても使いにくい駐車場は好まれません。入口部分の切り下げの幅、出入口の数、電柱や植栽などの障害物の有無、場内の広さなどを改めて確認しましょう。
入りやすさ、出やすさ、停めやすさなど、使い勝手の良さを実現できれば、より多くの顧客に利用してもらえるようになります。
利用者目線で細部まで見直して、改善を図ることが大切です。
顧客の利用目的を視野に入れた集客を
コインパーキングは、商業店舗とは異なるビジネスモデルです。
単体では利用価値を持たず、周辺に用事があって駐車できる場所がないときに初めて価値が生まれます。そのため、ニーズを持っているドライバーに気付いてもらえるよう、カーナビ、ナビシステムに表示させたり、看板を設置したりする対策が有効です。
そのほかには、周辺の商業施設や集合住宅と提携することも一つの手です。顧客の利用目的を想定してターゲットを設定すると、効果的な集客対策に取り組めるでしょう。
また、利用者の目線から使いやすさを検証することも大切です。
入庫してから駐車するまでの車の動線、障害物や料金システムなど、改善を図るべき点がないか、定期的に確認すると良いでしょう。
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