2008年頃から、「Airbnb」に代表されるインターネットを通じた仲介サイトの登場や、インバウンド需要の急激な伸びもあり、一気に注目を集める存在となったのが「民泊」です。
しかし法的規制の強化、そして新型コロナウイルスの影響によるインバウンド需要の激変など、現在民泊市場にも逆風が吹いています。しかしその一方で、アフターコロナにおける需要のV字回復も期待されています。
そこで本記事では、民泊を始めるメリットや、知っておきたい法律について詳しく解説します。
民泊とは?
新しい宿泊施設の形態として注目を集める「民泊」ですが、そもそもどのような存在なのでしょうか?従来のホテルや旅館との違いや、民泊の定義、注目を集める理由について解説します。
民泊の定義
民泊はその名が示すように「民家に宿泊すること」を指しますが、実は民泊に対する正式な定義は存在しません。
しかし個人宅の空き部屋や別荘、そして民泊用として用意されたマンションの一室に宿泊することを指すのが一般的です。
民泊が注目される理由
不動産投資のきっかけや大きな収益を得られるビジネスとしても注目を集めている民泊ですが、日本で民泊が注目を集めるようになった背景として、インバウンド需要の急激な増加を受け、従来の宿泊施設だけでは不足が生じるようになった点が挙げられます。
そしてインバウンド需要の拡大と歩調を合わせるように、空き家を有効活用したいオーナーと、割安な宿泊施設を探す旅行者をネットを通じてマッチングするビジネスが発達し、そこから日本のみならず世界中で一気に民泊に対する注目度がアップしました。
空き家を民泊施設にするメリット・デメリット
新型コロナウイルスの影響が出る前、インバウンド需要の増大を受けて民泊に対する需要が高まり、一気に民泊経営の参入者が増加しました。民泊経営にはどのようなメリット、デメリットがあるのでしょうか。
メリット1. 空き家を利用して利益をあげる
近年少子高齢化の影響もあり、両親の死亡により実家が空き家化してしまうケースが増加しています。しかし空き家は防犯上や家の管理の面からリスクがあるだけではなく、誰も暮らしていなくても固定資産税や補修にまつわる管理費などがかかり続けます。
そこで民泊施設として空き家を活用すれば、こうした経費分を利益から賄えるようになるほか、宿泊料金や立地によっては賃貸借に出して得る家賃収入より大きな利益をあげられる可能性もあります。
メリット2. 建物の状態によって安価ではじめられる
民泊施設には、子どもが独立して空いた子ども部屋を民泊施設として活用しているケースなどがあります。
こうしたケースでは浴室、洗面所といった施設は居住者と共有することができるので、宿泊者用の最低限の備品を揃えるだけで、初期費用をほとんどかけずに民泊を始めることができます。
これは空き家を民泊施設として利用する場合も同様で、建物の状況がよく、特に補修の必要などがない場合には、電気やガスを再開させて備品を整えるだけでスタートさせられます。
デメリット1. 様々な利用者がいる
ここまでは民泊を手がけるメリットについて解説してきましたが、やはりデメリットも存在します。
社会的にも民泊の問題点として指摘されているのが、ルールを守らない利用者の存在です。夜中に騒いで警察に通報される、ゴミの不法投棄、さらには備品の持ち帰りなどがあり、近隣住民との軋轢の一因ともなっています。
民泊の利用者は外国人観光客である場合が多く、言葉や文化の違いからコミュニケーションの齟齬などが発生しやすいので、宿泊ルールや利用マナーについては事前に利用者に徹底し、管理も怠らないことで問題解決を図る必要があります。
デメリット2. 営業日数上限がある
民泊に関しては法整備が追いつかず、さまざまな問題点が指摘されてきました。そこで2018年に問題の解決策として施行されたのが、「住宅宿泊事業法(民泊新法)」です。
民泊新法では、民泊の営業日数は上限は180日(泊)とする規定が設けられており、年間約半分しか稼働できません。
空き部屋や空き家を活用している場合にはその期間収益が上げられないだけで影響は最低限に抑えられるものの、家賃を払って民泊用の施設を確保している場合には、その間支出だけは継続され、収益はあげられないため経済的に大きな負担になります。
民泊ビジネスを行う上で知っておくべき法律
前項でも触れましたが、現在民泊は基本的に住宅宿泊事業法(民泊新法)に従って運営する必要があります。そのため民泊を始める前には、まずは民泊新法について熟知し、その決まりの中で設置、運営していくことが求められます。
2018年にこの新法が制定されるまでは、民泊も一般のホテルや旅館と同じく、旅館業法に従って運営することが求められていました。
しかし従来型のホテルや旅館といった宿泊施設と民泊は、その性質が大きく異なることもあり、旅館業法の要件を満たさないまま違法な状態で営業を行う民泊施設が増加してしまいました。
そこで民泊のより健全な運営を目指して施行されたのが民泊新法です。以下に民泊新法の主な中身について解説します。
住宅宿泊事業法(民泊新法)
民泊新法が適用される範囲は、大きく分けて実際に民泊の運営を行う「住宅宿泊事業者」、民泊施設を管理する「住宅宿泊管理業者」、民泊事業者と宿泊者とのマッチングサービスなどを行う「住宅宿泊仲介業者」の3つがあります。
民泊に参入する場合、一番重要になるのが「住宅宿泊事業者」にまつわる規定です。その中で特にチェックしておきたい項目には、次のようなものがあります。
- 届出の義務
民泊新法施行以前、民泊をスタートさせるためには「認可」が必要でした。しかし民泊新法施行により、現在は施設がある都道府県知事、または保健所設置市の長、特別区の長に「届出」を行うだけでスタートできるようになりました。
- 年間の営業日数
営業日数の制限については、前述のように、年間の営業日数の上限は180日(泊)までと定められています。
- その他
そのほか熟知することが求められる主な規定には、以下のようなものがあります。
施設の利用案内や生活環境を守るためのルールを外国語で適切に案内すること
衛生確保措置
騒音防止や近隣からの苦情への対応
宿泊者名簿の作成・備付け
民泊施設の条件
民泊新法では、民泊施設として利用できる施設に関して「設備要件」「居住要件」のそれぞれに定められた要件を満たすことが求められています。
設備要件
このうち「設備要件」には「台所」「浴室」「便所」「洗面設備」の設置があります。建物内にこれらの設備がない場合でも、同じ敷地内の建物の設備を使用できる場合には、複数の建物を1つの住宅として届け出ることでも要件をクリアすることもできます。
居住要件
居住要件では、民泊施設として利用する住宅が次の3つのいずれかに該当することが求められます。
- 現に人の生活の本拠として使用されている家屋(家主居住型)…管理者がその住宅に居住し、空室を民泊として運営するといったように、現に特定の者の生活が継続して営まれている家屋。
- 入居者の募集が行われている家屋…民泊事業を行っている間、分譲(売却)や賃貸の形態で、居住用住宅として入居者の募集が行われている家屋。ただし、この要件を満たすために、実際は募集を行う意思がないため、募集広告等において故意に不利な取引条件を事実に反して記載しているといった違反行為が認められる場合には、要件を満たすことはできません。
- 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋…生活の本拠としては使用されていないものの、管理者等により随時居住利用されている家屋。随時とは年1回以上は使用している家屋を指し、投資用に購入し、使用履歴が一切ないマンションの一室などは、この要件を満たすことはできません。
民泊施設の管理業務
利用者に快適で文化的な生活環境を提供することを目的に、民泊の管理者はゲストへの対応、部屋の清掃といった管理業務の責任を負います。
民泊新法では、その管理を住宅宿泊管理業者に委託することが求められています。
住宅宿泊管理業者とは、国土交通大臣から認可された民泊の管理業務全般を代行する事業者のことを指します。
住宅宿泊管理業者として登録するためには、住宅の取引や管理に関する2年以上の職務経験がある、もしくは宅地建物取引士、管理業務主任者、不動産経営管理士といった資格を保有といった条件が定められています。
オーナーが住宅宿泊管理業者資格を取得して自身で管理することもできますが、多くの場合、住宅宿泊管理業者に委託します。
<参照>
民泊制度ポータルサイト「minpaku」
管理業務の委託について | 民泊制度ポータルサイト「minpaku」
空き家を有効活用する民泊業
近年空き家をめぐる問題が社会問題として表面化していますが、空き家を民泊として活用することも、空き家対策として有効な手段のひとつです。
さらに投資目的で購入したワンルームマンションを有効活用する方法としても、民泊は注目を集めています。
ただし、規模は違えどホテルや旅館業と同様にゲストにサービスを提供する事業であり、周辺住民から理解を得る必要があるなど、運営は想像以上に大変です。一方で、金銭的なメリットだけではなく、世界各国から訪れるゲストとの交流など得難い体験もできる点も民泊の魅力の一つといえるでしょう。
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