2020年(令和2年)の経済産業省の調査によると、国内BtoC-EC(消費者向け電子商取引)の市場規模は19.3兆円、前年比0.43%減とほぼ変わらない結果となりました。
新型コロナウイルスの拡大防止対策として、外出を控えて自宅でECを活用するよう勧められたことで、物販分野の大きな成長につながりました。
本稿ではこのように、市場を拡大しているEコマースについて解説します。
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Eコマースとは
Eコマースについて、ECという単語や意味、種類に触れながら解説します。
EコマースとECは同じ
Eコマースとは英語でElectric Commerceといい、ECと略されます。日本語では「電子化された商取引全般」「インターネットを用いた取引」となります。
Eコマースのほか、ECという単語も普及しており同じ意味となります。
Eコマースは、インターネットを用いた取引の全体を表す言葉
オンラインショッピングの関連用語としてよく聞く「ECサイト」「ネットショップ」は、Eコマースの一形態です。
Eコマースが「インターネットを用いた取引」の全体を表すとすると、ECサイトやネットショップ、オンライン通販はEコマースのツールに当たります。
また、Eコマースの取引にはB2B、B2C、C2Cがありますが、多くのケースで「B2C」を前提として使われています。
Eコマースの種類
Eコマースにはさまざまな種類があり、企業だけでなく個人もインターネット上で店舗をオープンできます。
大きく分けると「Eコマースプラットフォームに出店する」か「自社ECサイトを開店する」か、この2種類があります。
まず「Eコマースプラットフォームに出店する」とは、楽天市場やAmazonといったプラットフォームに自分の店をオープンすることです。百貨店やモールに実店舗を出店するのと同じように場所代を支払って利用するため、「モール型Eコマース」とも呼ばれます。
一方、「自社ECサイトを開店する」場合はインターネット上に自店舗を作ります。出店費用は比較的抑えられますが、開店費用や集客代が多くかかります。
自社Eコマースには大きく分けて5種類あり、ローコストで開発できる「ショッピングカートASP」、本格的な機能を搭載した「ECパッケージ」、常に最新バージョンにアップデートできる「クラウドEC」、オンライン上で設計図が公開されている「オープンソース」、サイトをゼロから構築する「フルスクラッチ」から選べます。
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事業者にとってのEコマースのメリットとデメリット
Eコマースを運営する事業者が直面する、メリットやデメリットを解説します。
メリット1. いつでもどこへでも販売可能
Eコマースのメリットは、24時間365日いつでも販売できるという点です。実店舗では営業時間に限りがありますが、Eコマースでは顧客が自分の都合のいいタイミングでいつでも買い物ができます。さらに、インターネットさえあれば顧客がどこからでもアクセスでき、場所や時間の制約がないという点もメリットの1つです。
また、Eコマースとは実店舗を保有しなくても運営でき、店舗家賃がかからない点も特徴です。
メリット2. マーケティングに顧客データを活用可能
顧客がECサイトを使って買い物をするとき、会員登録を促すことで顧客データを取得できます。
集めた顧客データを分析すれば、ターゲットの絞り込みや次回のキャンペーン企画といったマーケティングに活用できます。
また、ECサイト上で顧客行動を分析できる機能や、Googleアナリティクスを使えば流入経路や流入数なども確認可能です。
デメリット/競争が激しい・宣伝方法が集客の成功可否を左右
Eコマースのデメリットとして、現在多くのECサイトが台頭しており競争が激しいという点があります。
ユーザーが欲しい商品をGoogleなどの検索エンジンやSNSで調べると、自店舗以外にも多くの類似品が検索結果に表示されます。
そこで多くの検索結果からユーザーに選ばれるためには、差別化する工夫が重要です。
また、特定の販売地域とは異なりインターネット上で認知度を高めるために、SEO対策や商品のPR法を検討する必要があります。
Eコマースを始める・運営するには
事業者がEコマースを運営するためのステップを4点解説します。
1. インターネット上での出店・開店の準備
まず、出店の形態を決定します。楽天市場やAmazonなどのECサイトプラットフォームへ登録するか、自社でECサイトを構築する2種類があります。
どちらを選択するかは、店舗の規模や商品数、競合他社といったさまざまな要素を含めて検討します。
2. 集客
出店方法が決まれば、集客を開始します。実店舗とは違い、オンライン上の店舗をオープンするだけでは顧客に認知してもらえません。
そこでSNSやブログなどを活用したり、SEO対策を実施したりして露出度を高めて集客対策を取ります。また、実店舗を既に保有している場合は、接客を通して顧客にECサイトを宣伝するのも効果的です。
集客の際に、オープン記念としてキャンペーンの実施や特集ページの開設など、顧客を呼び込む魅力的な企画を打ち出します。
また、顧客の離脱を防ぐために、直感的に操作できる使いやすいサイトを構築します。
3. 商品管理
ECサイトで販売する商品の在庫管理、受発注管理、ピッキング作業に関する計画をします。
加えて、商品をECサイトに並べる際は、魅力が伝わるよう商品画像にもこだわることが大切です。
4. 問い合わせ対応
商品情報、返品対応、キャンセルといった顧客からの問い合わせに対して、有人窓口やチャットボットを設置します。
問い合わせ窓口やチャットボットの自動対応で、実店舗と同様に顧客とリアルタイムでのやり取りが実現します。
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Eコマースの事例
Eコマースの成功事例として、中川政七商店、ユニクロ、百貨店、暮らしの道具店の4つの事例を紹介します。
事例1. 中川政七商店
日本の伝統工芸が使われた雑貨を提供する中川政七商店は、オンライン上ではかつて楽天市場をメインに展開していました。
しかし、楽天市場での出店を完全に取り止め自社ECサイトの構築に力を入れたところ、すぐに楽天市場の損失を補うまで成長しました。
共感マーケティングを主軸に展開し、コロナ禍であっても2021年のEC売上は前年比で300%増をもたらしました。
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事例2. ユニクロ
世界的ファッションブランドとして躍進を続けるユニクロは、公式アプリを活用し国内外でEコマースの充実化を図っています。
Eコマースの売上収益は国内で約15%、グレーターチャイナで約20%、北米で約40%を占めています。
店頭訪問する前に商品の在庫状況を確認できる機能を搭載したほか、アプリで購入した商品の店頭受取を可能にし、ある調査では「ファッションアプリ利用率1位」に選出されています。
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事例3. 百貨店
大手百貨店の高島屋は「高島屋オンラインストア」をリニューアルし、20年度に売上高が297億円だったECサイトでの販売を、23年度には500億円まで引き上げる計画を立てています。
スマホでの利便性を高め、売上につなげる狙いです。
また、ルミネでは「ルミネカードWEB決済サービス」を開発し、スタッフがオンラインで接客した後、決済URLを顧客に送信し支払える仕組みを構築しました。
その結果、平均単価が25,000円のところ30,000円にまで上昇しています。
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事例4. 北欧、暮らしの道具店
北欧グッズを販売する「北欧、暮らしの道具店」は、月間1,600万PVを誇るECサイトです。
2007年の開設以来、北欧のインテリアグッズや日常品を販売するだけでなく、コンテンツ作りにも力を入れEコマースに「メディア」としての役割も加えました。
月に100本のペースで記事をリリースし、顧客との関係づくりに力を入れています。
その結果、週1回以上訪れるリピーターが96%、そのうち72%は毎日訪問するという人気のECサイトとなり、2019年の年間売り上げは約35億円に上りました。
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これからの購買体験になくてはならないEコマース
Eコマースは、顧客にとっていつでもどこでもショッピングができるという利便性があることから、コロナ禍の外出自粛中に利用機会が急増しています。ECサイト単独の展開だけでなく、OMOで見られるように店頭とオンラインを融合した消費体験の提供も顕著になりました。その例として、マルイや大丸では店頭で「売らない」方針を打ち出す事業も見られます。
さらに、ライブコマースやソーシャルコマースとECサイトを掛け合わせ、多様なニーズを持つ消費者に対応する取り組みも進んでいます。
複雑になる市場の中で、Eコマースをベースにどのようなサービスを提供できるかという視点で検討することが、小売業にとって重要な生き残り戦略になると考えらえます。
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MakeShop:【2021年最新版】Eコマースとは?概要から基礎知識をわかりやすく解説!
経済産業省:電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました
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