小売店とは、百貨店やアパレル店、スーパーなど卸売り業社や生産者から商品を購入し、消費者に販売している業種を指します。
集客のために独自のポイントカードを発行している店舗もありますが、中には「Tポイント」や「楽天ポイント」などの共通ポイントを導入している店舗も存在します。
そこで今回は、独自のポイント制度と共通ポイントの事例を紹介し、双方の特徴について紹介していきます。
ポイントカードは大きく2種類に分かれる
小売店では、顧客にポイントカードを発行しているケースが多く見受けられます。店舗によっても紙媒体のものやデジタルのものなど発行形態は異なりますが、多くは貯まったポイントを次回の会計の際に支払いに使えたり、ポイントに応じた商品と交換できるなどの特典を付与しています。
このようなポイントカードには、「共通ポイント」と「自社ポイント」の2つに分けられます。ここではそれぞれについて解説していきます。
共通ポイントカード
共通ポイントとは、特定の店舗だけでなく多種多様な業種や企業、店舗で自由に貯め、利用できるポイントのことです。顧客側としては一度発行手続きをすることでさまざまな場所で利用でき、ポイントを貯めやすいというメリットがあります。
店舗側には加盟店同士の相互送客の効果が期待できます。飲食店からスーパー、百貨店、アパレルブランドまで加盟店のカテゴリーはさまざまで、共通ポイント利用している顧客を加盟店全体で囲い込めます。
また、新たに加盟店に加わることで、ポイントを貯めたい新規顧客も獲得しやすくなります。
共通ポイントの中でもユーザー数の多いものの代表例として「Tポイント」「楽天ポイント」「Ponta」「dポイント」などが挙げられます。
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自社ポイントカード
共通ポイントと反対に、基本的にカテゴリーを超えた共通のポイントがなく、同一グループや店舗のみで使用できるポイントは、自社ポイントと呼ばれています。共通ポイントに比べると会員数が少なく、顧客のデータを多く収集できないという懸念点がありますが、一方で顧客情報を自社ですべて管理できるので、他店舗との差別化が図れます。
このようにターゲットに合わせた独自の戦略が練れる上に、ポイントの還元率やポイントの使い方、キャンペーンの実施などが独自で決定できます。
店舗によっては独自のポイントランキング制度を設けて、よりコアなファンを作っている例もあり、共通ポイントと比べて自由度が高いことが特徴です。
小売店がポイントカードを導入するメリット
共通ポイント、自社ポイント問わず、店舗にポイントカードを導入するメリットについて解説していきます。
1. 購買履歴などの顧客情報を収集・分析できる
ポイントカードは導入してポイントをインセンティブとした集客を行えるだけでなく、データ分析にも活用できるメリットがあります。ポイントカードによって年齢層や居住地域などのさまざまな背景から顧客の購買特徴を把握できると、ターゲット層に合わせたサービスの展開が可能になります。
たとえば、一定の層の商品の購買情報と購入時間帯などの情報から、商品の陳列やサービス券の配布時期などを工夫できるようになります。
ポイントカード導入で集めたデータを活用することによって、効率のよい販売戦略につながり、顧客離れを防ぐことに期待できます。
2. ポイントカードを通じた交流でリピーターを把握・育成できる
顧客がポイントカードを掲示すると、店員側は毎回来店してくれている顧客だと把握できます。こうした顧客は今後も自店舗を利用してくれる見込みがある優良顧客となります。そこで「いつもご利用いただきありがとうございます」「今月の新作はもう試されましたか」などと、顧客に対して一言コミュニケーションを図ることで、今後も店舗を利用してもらうことにつながります。
さらに店舗利用回数の優良顧客だけにサービス券を配布したり、キャンペーン時期の告知をしたりすることにより付加価値のあるサービスを提供し、さらなる優良顧客に育てることもできます。
3. 客単価の向上が見込める
ポイントカードを導入している店舗では多くの場合、購入金額に応じてポイントを付与し、貯まったポイントを商品購入などに利用できる「ポイント還元制度」を採用しています。ポイントは支払い時のお金と同様に扱われるので、ユーザーはポイントを利用することで「値引きされている」と感じるような心理的効果が働きます。
またポイント2倍デーなどの還元率の高い日や曜日を設けることで、来店が薄くなる時間帯に人を呼び込むことや、さらに購買意欲が高まることにつながります。
通常の値引きよりもポイントの還元であれば、集客と売上向上につながるため、客単価の向上も見込めます。
小売店のポイントカード導入事例3選
小売店でポイントカードを導入して成功しているケースは、データの管理やマーケティングがきちんと行われている場合が多いです。
導入後にただ店舗の負担になってしまわないよう、成功事例について紹介します。
1. マツモトキヨシ
マツモトキヨシで導入しているのは、共通ポイントである「dポイント」です。元々自社ポイントである「マツキヨポイント」に加えて、2018年から連携されるようになりました。マツモトキヨシがdポイントを導入したのは、ポイントカードに関心が高い女性層を取り込むためです。顧客は10〜40代の女性が大半で、共通ポイントとの親和性が高いことから導入に至ったとされています。
2. 無印良品
無印良品では自社ポイントとして、「MUJIショッピングポイント」を運用しています。ポイントシステムとしては10ポイント=10円として利用でき、アプリに連携するとMUJI.netメンバーアカウント(ネットストアアカウント)、LINEアカウント、MUJI Cardで獲得したMUJIマイルを合算できる仕組みです。
無印良品の場合は、共通ポイントを導入せず、ブランドとして統一されているため独自のファンの構築にもつながっています。
3. スポーツサイクル サカモト
スポーツサイクル サカモトではランニングコストを抑える「リライト式(書き換え式)」のカードを導入し、表面にポイント数を印字しています。同じカードながら何度も書き換えて使用できるため、ランニングコストを気にせずに活用できます。
ここではポイントに関わる期間限定のさまざまなキャンペーンを展開し、顧客のニーズに応えています。
小売店がポイントカードを導入するときの注意点
ポイントカードの導入はメリットが多いようにも思えますが、いくつか注意しておきたい項目もあります。ここからは、小売店がポイントカードを導入する時の注意点を紹介します。
1. 共通ポイントカードの手数料は店舗の負担になる
共通ポイントではシステムを一から構築する必要がなく、各企業が取り組んでいる「共通ポイント事業」に加盟することでシステムの利用ができます。導入費用がかかることや共通ポイントによってはポイント原資を負担しなければいけないため注意が必要です。共通ポイントにおいて、別途でポイント付与の際には「システム利用料」が加算されます。たとえば、楽天ポイントの場合1ポイントあたり2円、キャンペーンポイントポイントが1ポイントの場合、0.5円がかかります。
自社ポイント導入の場合は、ポイント管理システムの構築から作成までを含むと、諸費用は莫大にかかってしまうこともあります。
実際に導入する際には、自社ポイントと共通ポイントのコストについて比較しながら検討するとよいでしょう。
2. 顧客情報や購入履歴などのデータを活かしきれない企業も多い
ポイントの管理だけでなく、ポイントカードから得られるデータを元に時期や時間帯を見定めてキャンペーンやアプローチに取り組むことで、データを有効活用できます。
データの活用例として、来店頻度の低い顧客を把握しそれぞれに向けたアプローチに取り組むことや、似ている購入履歴を持った顧客に同じ商品を勧めるなどの戦略が挙げられます。
しかし、企業によってはポイントシステムの導入や管理の時点で手一杯になってしまい、キャンペーンへの活用まで至っていないというケースも見られます。
ポイントをインセンティブとした集客だけでなく、そのデータを活用できるかが重要なポイントになります。
共通ポイント・自社ポイントなど小売店の状況に合わせてポイントカード導入の検討を
ポイントカードの導入は、ポイントをインセンティブとした集客や顧客情報の獲得などのメリットを持ち合わせています。中でも共通ポイントではより多くの会員数にアプローチでき、自社ポイントでは融通の利いた細やかなサービスを実施できるといった特徴があります。
一方で、ポイントを導入することによってかかる費用がそれぞれ異なるため、注意が必要です。現状として管理できる人材が足りているのか、ランニングコストやポイント原資に問題はないかなど、自店舗に合わせたポイントカードを導入することでより効果が発揮できるでしょう。
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