SNSは、ネットで手軽に国内外の人々とコミュニケーションが取れるツールとして広く利用されています。
中国国内では、独自に発展したWeiboが主流となっています。よく「中国版Twitter」とも言われますが、近年のWeiboはTwitter以外の様々な機能も取り入れ、より幅広いサービスを提供しており、今や中国国内最大のソーシャルメディアとなっています。
そのため、市場規模が大きい中国に向けた宣伝やPR、自社サービスの運用にはWeiboの活用が有効であり、インバウンド対策において押さえておきたいツールの一つでもあります。
そんな中国最大のソーシャルメディアであるWeiboの特徴と、インバウンド向けに有効的に活用するためのプロモーションを紹介していきます。
Weibo(微博/ウェイボー)「見るだけ」「検索」は無料&登録不要・日本語翻訳する方法【2020年版】
Weibo(ウェイボー、微博)は中国で広く使われているSNSです。Twitterのようなタイムラインとコメントやフォロワーへの転送機能があり、中国市場に向けたマーケティングに欠かせないプラットフォームとなっています。月間アクティブユーザーは5.23億(前年同期比3,700万増)、デイリーアクティブユーザーは2.29億(同1,800万増)です(2020年10月19日のイベントにて、微博の高級副総裁の曹増輝氏が発表)。中国ではSNSを積極的に利用する人が多く、2020年にはユーザーが9億を突破...
Weiboとは
国家による検閲(グレートファイアウォール)が存在する中国では、世界中で広く使われるTwitterやInstagramなどのSNSを利用できません。
Weiboとは、そういったSNSの代わりに発展した、検閲による制限がされない独自のSNSサービスです。
Weiboの概要と機能
Weiboは正式には新浪微博(シンラン・ウェイボー)といいます。中国のIT企業である新浪公司が運営するソーシャルメディアプラットフォームです。
アカウントを開設しログインすることでWeibo上の投稿を閲覧でき、基本的には短文でミニブログとして運用できます。
ハッシュタグの形式は、日本で広く使われているInstagramとは異なり、「#◯◯◯#」のような前後を記号でくくった形が使われています。
テキストや画像・動画投稿の基本機能の他、多くの中国人が利用している決済アプリ「アリペイ」と提携したキャッシュレス決済の機能も併せ持っています。
Weiboが中国で利用されている理由
中国ではマスメディアよりも口コミを信頼する傾向があります。中国の報道機関は、政府を批判するための組織ではなく、政府の広報としての側面が強くなっています。そのため、中国人はマスメディアの情報には体制側の主張が含まれているものとして認識する傾向にあります。
広告も同様、広告主の都合で情報が整理されていると受け止めるため、広告内容をもとに購入を検討することはあっても、情報の真偽については基本的に懐疑的です。
対照的にSNSに投稿される一般ユーザーのコメントについては、企業や組織の利益のための情報ではないと考える傾向にあります。身近な人物や、信頼を寄せる芸能人やネット上の著名人の発信も同様、何かを購入したり旅先を決定する際の判断の参考にしています。
Weiboには地域のニュースや芸能ニュースも即時で更新されます。1日に膨大な量のコンテンツが投稿されており、一種の検索エンジンのような役割も果たしているといえるでしょう。
日本人もWeiboアカウントを運営
Weiboは日本人でも利用可能で、基本的な表記は英語で設定できます。参入障壁はそれほど高くなく、日本の企業や有名人もWeiboを利用した宣伝・PRを行なっています。
ZOZOの創業者である前澤友作氏も、Weiboを中国向け広報に活用している一人です。
その他、木村拓哉さん、山下智久さん、渡辺直美さん、本田圭佑さん、GACKTさんなど、様々なジャンルの著名人が活用しており、中国市場での認知度アップを目的に活用する例が増えています。
Weiboの人気日本人アカウントは?2018年に山下智久や木村拓哉も開始
日本で多くの人が利用しているTwitterやLINEといったSNSやツールは、中国では利用できません。中国政府は社会の安定を名目に、特定の情報に対して国民がアクセスできないよう制限をしたり、個人情報の監視をしたりしています。こうしたインターネット通信に対する規制を可能にするシステムはグレートファイヤーウォール(金盾)と呼ばれています。その代わりに中国では独自ソーシャルメディアが発展しており、その代表的な存在がWeibo(微博/ウェイボー)です。今回はWeiboで人気の日本人アカウントの分析...
Weiboを使ったプロモーション事例3選
法人の場合、ガイドラインに従って申請することで公式アカウントを取得できます。
Weiboアカウント名の横に表示される「V」マークが認証済の印となります。
公式アカウントからの投稿は信用性の高い情報となり、ユーザーからも信頼されています。ここでは、その実例をいくつか紹介します。
1. マツモトキヨシ
ドラッグストアのマツモトキヨシはWeiboの公式アカウントを2017年7月開設しています。2020年9月、同アカウントのフォロワー数は18万人を超えています。
アカウント上では、各店舗ごとのキャンペーン告知やオススメ商品の紹介、クーポン掲載などをメインに展開しています。
Weiboの運用には非常に力を入れており、上記のような情報発信をほぼ毎日投稿しています。また投稿には「#松本清matsumotokiyoshi#」のハッシュタグを毎回挿入することで認知度を上げています。
Weiboを利用することで、爆買いブーム終了後も継続的に中国人の誘致を続けています。
https://weibo.com/u/6184064460
2. 青森県
Weiboの公式アカウントを持つ日本の地方自治体の中でも、青森県は抜きんでたフォロワー数を記録しています。2020年9月現在のフォロワー数は128.5万人です。
中国人KOL(Key Opinion Leaderの略で特定の分野に特化したインフルエンサー)である「モンちゃん」による情報発信が、青森県の知名度アップの一役を担いました。
また観光誘致のプロモーションにおいても、「ねぶた祭り」のようにその土地特有の伝統文化を発信することで、中国人からの人気を得ました。
東京や大阪といった訪日観光のゴールデンルートは当然訪日中国人にも人気ですが、近年訪日中国人市場では「大多数とは違う経験がしたい」と考える旅行者も増えています。
こうした層に対して、いち早く知名度を獲得しその土地ならではの特有の魅力を発信したことが、フォロワー数の多さにつながったと考えられるでしょう。
https://weibo.com/u/1929936967
中国SNS「Weibo」日本の自治体フォロワーランキング、青森がダントツ1位のワケ
中国から日本を訪れる観光客の数は、訪日外国人観光客全体の4分の1を占めています。インバウンド集客を伸ばすためには、中国人観光客を取り込むための対策が必要不可欠であると言えます。中国では、旅行前の情報収集手段として中国独自のオンラインサービスを利用する傾向が高く、検索エンジンの百度(バイドゥ)、メッセンジャーアプリの微信(WeChat)、中国版Twitterとも言える微博(Weibo)などがメジャーです。このようなサービスをうまく活用して中国人に向けたプロモーションを行うことは、インバウンド...
モンちゃんとは?青森の魅力を伝える中国人YouTuber
YouTuberモンちゃんとは、青森へ留学経験のある中国人です。インバウンド経済の発展が話題になってから変わることなく注目市場である「中国」ですが、現在はリピーターも増加してきているとあり、次なる観光のトレンドの芽が見え始めています。東京、京都、大阪、北海道、沖縄と主要観光地では中国人観光客の姿を見ない日はありませんが、日本政府は東北への観光需要を喚起するため、ビザの発給要件の緩和にも踏み切っています。東北でも特にポテンシャルの高い地域の一つが「青森」です。今回は、インバウンド中国市場での...
3. ドン・キホーテ
関東地方を中心に、日本の主要都市や主要地方都市で総合ディスカウントストアを展開するドン・キホーテは、2011年にWeiboのアカウントを開設しています。
2020年9月現在、45万を超えるフォロワー数を抱える人気アカウントとなっています。
セールや商品の案内を中心に発信されていますが、Weibo上で話題となっている面白い投稿をアレンジして配信するなど、工夫を凝らして投稿している様子がうかがえます。
このようにWeiboでの流行や最新の情報をいち早くキャッチし、利用者が興味を惹かれる投稿をすることがフォロワー獲得につながります。
https://weibo.com/DonQuijoteJapan
Weiboを活用する際のポイント
では実際にWeiboをインバウンド客の集客に活用していくためには、どのような運用が効果的なのでしょうか。
インバウンドプロモーションを成功させるためのポイントなど、具体的な活用方法についてご紹介していきます。
現地文化に即し、ターゲットを明確にしたコンテンツ配信
インバウンドプロモーションを実践していく上で、日本人向けのプロモーションをただ流用するだけでは効果が出にくいでしょう。
どの国の観光客をターゲットにするのかをまずは明確に定め、その国目線で投稿します。国によって文化や価値観が異なるため、「外国人」でひとくくりにするのではなく、プロモーションする相手を明確にする必要があります。
また、観光客からの投稿にこまめに返信することでより信用度も高くなります。
公式アカウント開設で信憑性を伸ばす
一般アカウントと企業公式アカウントでは、ユーザーの信頼度や使える機能に大きな違いが生まれます。一般アカウントは誰でも作れることからアカウントとしての信頼度が低く、広告の運用ができません。その一方で、公式の目印でもある「V」マークが表示されている公式アカウントから発信される情報は、ユーザーにとって大きな信頼を意味しています。
公式アカウントは、Weiboの広告を設定したターゲットに向けて配信することもできます。閲覧者の属性など詳細なデータも確認でき、中国市場の傾向分析が可能になるのもメリットです。
専門会社に相談
多くのメリットを持つWeiboですが、その運用を自社だけでやろうとするとバイアスがかかって判断しにくくなります。そのため、アカウント開設からマーケティングまでプロモーションしてくれる専門会社を利用する企業も多くあります。
また専門会社の中には運営にも対応する会社も存在しており、中国市場へ参入できるよう支援してくれます。
中国人へのプロモーションを目指すならWeibo
Weiboは中国国内の電話番号がなくともアカウントを開設できるため、日本人でも手をつけやすいSNSです。
低予算でも情報を拡散できる可能性があり、運用をしっかりすればインバウンド集客においても費用対効果の高い手法となります。
中国人ユーザーの興味関心をひくコンテンツ作りや更新のタイミングなど、運用にはいくつかの基本的なコツがあるため、中国市場でのファンづくりの際にはこうしたポイントを理解する必要があります。
注目を集め、自社商品の購入や観光施設への誘客を狙う場合にも、まずはしっかりと信頼されるアカウントとなることが大切です。
Weiboを正しく理解したうえで効果的かつ効率的に取り入れることが、中国人への効果的なプロモーションにつながるでしょう。
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