新型コロナウイルスの感染拡大によって休校やテレワークの普及、飲食店の時短営業などさまざまな影響から、コロナ禍では自宅で食事をする機会が増えています。
そのため、日常の食料品を購入するスーパーマーケット業界はコロナ禍でも好調が続き、2020年度の売上高は既存店前年度比105%となりました。
そんな勢いが続いているスーパーマーケット業界の中でもひときわ好調を記録しているのが「成城石井」です。
本記事では、コロナ禍でも好調を維持し続けている成城石井の秘訣や戦略について解説します。
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成城石井コロナ禍でも出店が成功、売り上げ増加
成城石井の店舗はその多くが都市部の駅ビル内や駅チカという立地にあり、コロナ禍の外出自粛やテレワークでの出勤減によって利用者数は大きく減少し、2020年4月の客数は既存店前年度比で76.5%となりました。しかし、その一方で客単価は大きく伸び、同じ2020年4月の客単価は既存店前年度比で138.9%、5月も138.8%と好調な様子を見せています。
また、売上高も堅調で、2021年2月期の既存店売上高前年比は106.6%となり、増益になりました。
売上高が伸びた背景としては、コロナ禍のスーパーマーケット需要の高まりによって生鮮品が好調となったことや、成城石井のオリジナル惣菜も売り上げを伸ばしたことなどが挙げられます。
こういった好調もあり、2020年1月時点では154店舗だった成城石井の直営店は、2021年8月時点では167店舗と、コロナ禍にありながらもその出店数を伸ばしました。
成城石井を要するコンビニ大手ローソンも、中国での出店が4,000店を超えるなど好調な様子ですが、2020年の連結営業利益の約3割は成城石井の実績となっています。
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成城石井の好調の秘訣とは?
成城石井がコロナ禍において店舗数も売り上げも好調なことは数字に表れています。では、その好調な理由はどこにあるのでしょうか。成城石井ならではの商品や店舗、サービスなどについて解説していきます。
SPA化でこだわりを持った商品開拓・商品開発
成城石井の強みとして、成城石井のオリジナル商品を生み出す「強い商品開発力」が挙げられます。原材料や産地にこだわり、製法、物流までも自社でSPA※(製造小売業)化し、主導権を持って商品を開拓、開発することで、他店の商品にはない高付加価値を持ったオリジナル商品を生み出しています。
たとえば、成城石井は子会社として「東京ヨーロッパ貿易」という輸入貿易会社を持っており、商社などを通さずに自社でワインを定温輸入したり、チーズを空輸したりしています。
成城石井のバイヤーが世界各国で商品を開拓し、他の商社などを通さずに直接輸入することで、高品質な商品の低価格での提供を実現しているのです。
また、成城石井には自社のセントラルキッチンがあり、そこで製造される「プレミアムチーズケーキ」をはじめとした自家製の惣菜やデザートは、美味しさやボリュームによるお得感から、たびたびテレビやネットで取り上げられるなど話題となっています。
instagram:amkkgramさんのプレミアムチーズケーキについての投稿
※SPAとは
「Speciality store retailer of Private label Apparel」の略で、企画から生産、販売までの機能を垂直統合したビジネスモデルのこと
店舗フォーマットの多様化
成城石井は開業当社、一般的なスーパーマーケットと同様に路面店形式での店舗運営、出店をしてきましたが、1997年の駅ビル出店を契機に、路面店や駅ビル、デパ地下、ショッピングセンター内のテナント、オフィスビル、コンビニの跡地など多様な店舗フォーマットを開発して出店しています。売上面積10坪程度の店舗から200坪の店舗まで、さまざまな条件での出店が可能になったことは、近年の成城石井が急成長できた理由のひとつといえるでしょう。
「高級スーパー」ではなく日常的に利用するスーパーに
味や品質にこだわった商品開発や品揃えから、成城石井は「高級スーパー」として主に富裕層をターゲットとしているようにも感じられますが、実際に多く利用されている客層は、日常は平均的な価格帯のスーパーマーケットを利用し、たまに成城石井を訪れるような一般的な消費者だとのことです。特にコロナ禍ではそういった一般的な利用者からの「プチ贅沢」の需要や、外食への欲求から総菜の需要が高まり、それらのニーズと「プロの味を気軽に楽しめるものを」というコンセプトの成城石井の惣菜がマッチしたことが、現在の好調の要因になっていると考えられます。
最近では自宅での需要に合わせて、成城石井の自家製惣菜をベースに再現したレトルト食品の新作が次々と発売されています。
また、一般社団法人全国スーパーマーケット協会が主催する「お弁当・お惣菜大賞2021」において、「イタリア産シチリアレモンのチーズケーキ」がスイーツ部門の最優秀賞を受賞し、2019年、2020年に続いて同部門を成城石井が3連覇しました。
スイーツ以外にも、お弁当やパスタ、サラダなど計7品が入賞することとなり、成城石井のセントラルキッチンで作られる自家製惣菜のレベルの高さが表れています。
従業員教育によるサービス品質の向上
成城石井では、店舗を任される従業員の販売力やサービス品質を高めるため、従業員教育のプログラムに力を入れています。スーパーバイザーによる最新や旬の情報提供といったOJT(On the Job Training:職場内で業務を実践しながらの職業訓練)から、チェッカー技能検定、食品表示管理士、ソムリエ資格といったハイレベルなOff-JT(Off The Job Training:実務の場を離れて行う教育施策)、また、部門に関係なく社員全員が受講可能なワインやチーズなどについての社内スクールやeラーニングなどを実施しています。
これらの教育を通したノウハウの蓄積と共有による成城石井全体のサービス品質の向上が、成城石井を利用する顧客の高い満足度へとつながっています。
まとめ
コロナ禍で客数が減少しているにもかかわらず成城石井は売り上げを増加させています。その強さは、SPA化でこだわりを持って開拓、開発された高付加価値を持つ魅力的な商品の品揃えと、充実した従業員教育によって築かれた高いサービス品質にあると考えられます。
また、成城石井はコロナ禍でも出店数を伸ばしており、その高い集客力を見込んだ企業から出店のオファーを受けることも少なくないとのことです。
そのため、これからますます成城石井の出店数が増えて規模の拡大が進めば、大量生産体制を整えて商品製造のコストコントロールが可能になるなどのメリットもあります。
成城石井がこれからどのような戦略のもとで成長を続けていくのか、今後も注目されます。
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<参照>
DIAMOND Chain Storeオンライン:通勤客が激減する駅ナカ店舗も実は好調 不況・コロナ禍でも、成城石井が絶好調な理由
ローソン公式サイト:2021年2月期 月次情報(2021年2月分)
株式会社ローソン:2020年度決算説明会プレゼンテーション資料
成城石井公式サイト:出店戦略
成城石井公式サイト:商品戦略
DIAMOND Chain Storeオンライン:ソムリエ連盟理事が解説!成城石井、ワインの実力と購入促す仕掛け
楽天市場:成城石井自家製 プレミアムチーズケーキ 1本 (冷蔵発送)
PR TIMES:成城石井の新作レトルトが「desica」から続々登場!職人の技が活きる自家製惣菜をベースに再現!豊富な品揃えで“選ぶ楽しみ”をお届け
PR TIMES:成城石井の自家製デザートが、「お弁当・お惣菜大賞」スイーツ部門で三連覇!
成城石井公式サイト:人事戦略