競合・マクドナルドとの徹底的な差別化めざす、モスバーガーのブランディング戦略

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ファストフード大手・モスバーガーは、競合・マクドナルドと徹底的に差別化する戦略をとっています。

では、どのような点で差別化をはかっているのでしょうか。本記事では、モスバーガーの戦略について解説します。


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ファストフード業界が好調

以下のグラフは、日本フードサービス協会による外食産業市場動向調査のデータをもとに、外食市場全体とファストフード市場との売上高を比較したものです。

ファストフード業界の売上高は、外食市場全体に比べ落ち込みが少なく、2020年10月以降は前年とほぼ同等の売上を維持していることがわかります。

▲外食市場全体とファストフード市場の売上高比較:日本フードサービス協会 外食産業市場動向調査より編集部作成
▲外食市場全体とファストフード市場の売上高比較:日本フードサービス協会 外食産業市場動向調査より編集部作成

これは、新型コロナウイルスの流行に伴う外出自粛の影響で増大したテイクアウトデリバリーの需要を捉えたものとみられます。

モスバーガーがマクドナルドを超えた?

では、ファストフード業界大手・マクドナルドモスバーガーの売上高を比較してみましょう。

マクドナルドの2020年12月期決算によれば、チェーン店を含む全店売上高は5,892億円で、過去最高の売上を記録したということです。ホールディングス内の売上高は2,883億円となっています。

一方モスバーガーは、2021年3月期で700億円の売上を見込んでいます。

これらの数字だけを見ると、マクドナルドが圧倒的です。

しかし、既存店売上高を前年同月比で見てみると、2020年11月・12月、2021年2月などはモスバーガーマクドナルドを上回っていることがわかります。

▲マクドナルドとモスバーガーの月次既存店売上高比較:マクドナルド/モスバーガー決算より編集部作成
▲マクドナルドとモスバーガーの月次既存店売上高比較:マクドナルド/モスバーガー決算より編集部作成

元々の売上高の規模が異なるため単純比較はできないものの、モスバーガーマクドナルドよりも高い成長率を出したことで注目が集まっており、以下のようにWebメディアや報道番組でも取り上げられています。

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モスバーガーの戦略は?競合・マクドナルドとの徹底的な差別化

マクドナルドはコストを抑え大量に販売する戦略であるのに対し、モスバーガーブランディングによる他社との差別化戦略をとっています。

ここでは、モスバーガーがいかにして競合との差別化をはかっているのかを解説します。

1. 高級志向

まずモスバーガーは、低価格帯での提供が多いファストフード業界においては比較的高価格な商品を提供しています。

国産野菜を多用するなど、「高品質」で「おいしい」というイメージで認知してもらえるようなメニューを開発しているのです。

コロナ禍では、外出が制限され飲食店を訪れるのが難しくなったことから、家でいつもより美味しいものを食べたいという「プチ贅沢ニーズ」が生まれました。ファストフードのなかでも比較的高級なモスバーガーは、コロナ禍のニーズと相性が良かったのではないかと考えられます。

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2. 斬新なメニュー

モスバーガーは、マクドナルドなど他のファストフード店にはないような斬新なメニューを提供しています。これも、いつもと違う美味しいものを食べたいというプチ贅沢ニーズと通ずるものでしょう。

たとえば2021年3月現在、期間限定で提供されているメニューとして「マッケンチーズ&コロッケ」があります。

期間限定メニュー「マッケンチーズ&コロッケ」 モスバーガー公式サイトより
▲期間限定メニュー「マッケンチーズ&コロッケ」:モスバーガー公式サイトより、編集部スクリーンショット

バンズからこぼれ出すのではないかというほど大量のチーズソースとミートソースが乗ったバーガーで、見た目にも楽しいメニューとなっています。

また、チーズソースには、南高梅や粉末鰹節の隠し味が加えられているといいます。こうした日本人の味覚に合わせた工夫も、モスバーガーの魅力の一つです。

3. 多様なニーズに応えるメニュー

モスバーガーメニューを見ると、通常のバンズを使ったメニュー以外にも、バンズの代わりにレタスを使った「モスの菜摘(なつみ)」、大豆由来のパティを使った「ソイパティ」、7大アレルゲン食材(卵、乳、小麦、えび、かに、落花生、そば)を使わずに作られた「低アレルゲンメニューなど、多様なニーズに応えるメニュー展開されています。

モスバーガーのメニュー
▲モスバーガーのメニュー:モスバーガー公式サイトより、編集部スクリーンショット

バンズをライスで作る「ライスバーガー」は2020年にマクドナルドでも登場し話題となりましたが、ベジタリアン・ヴィーガンやアレルギー体質を持つ人など、さまざまな人を受け入れることができるのは、モスバーガーの強みだといえるでしょう。

4月から値上げを発表…高品質なイメージを売り出せるか

モスバーガーは3月10日、4月から総額表示(税込価格表示)が義務化されることに伴い、テイクアウト時の価格を店内飲食の価格に合わせるとともに、一部のメニューの価格を値上げすることを発表しました。

主力商品を値上げするのは6年ぶりとのことで、値上げした分、高品質なイメージを売り出せるかがカギとなります。

また、中長期的には収益性の改善も必要としており、セルフレジなどデジタル技術を用いた店舗オペレーション改革にも取り組んでいくとのことです。

<参考>
日本フードサービス協会:外食産業市場動向調査 2021(令和3)年1月度 結果報告
日本マクドナルドホールディングス株式会社:2020 年12 月期通期連結決算状況及び2021 年12 月期連結業績予想について
ーーセールスリポート
株式会社モスフードサービス:2021年3月期 第3四半期決算短信
ーー月次情報 モスバーガー既存店および全店前年同月対比実績
ーー主要原産地情報
ーーモスバーガー店舗 総額表示、価格改定のお知らせ
ーー経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
Yahoo!ニュース:モスバーガー、値上げでもファンを繋ぎ止められるか 消費者の本音は

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