飲食店ドライブスルー導入の効果とは?コロナ禍に対応した実店舗型飲食チェーン店の事例を用いて解説

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日本フードサービス協会によると、2020年8月のファーストフード業態の売上高は、テイクアウトデリバリー需要を捉えたことで前年比96.6%とかなり回復したことがわかりました。

全体の売上高が前年比84.0%にとどまったことから、ファーストフード業界がコロナ禍に比較的適応していることがわかります。

この傾向はアメリカでも同じで、2020年の第2四半期についてマクドナルドやダンキンなどのチェーンは、週を追うごとに売り上げが伸びたとしています。

7月には新型コロナウイルスの感染が再拡大したため再度売上が減少したようですが、ドライブスルーを導入している場所では、売上の回復が早いとの報告もあります。

本記事では、実店舗型の飲食チェーンが再起を図る上で検討すべき「ドライブスルー」の現況や導入方法を、事例を交えて解説します。

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アメリカで「ドライブスルー」さらに普及、"非接触型"店舗デザインも

元々車での移動が多いためドライブスルーが普及していたアメリカですが、接触を最小限に抑えられることからさらなる導入が進められているようです。アメリカのマクドナルドでは、売上の90%をドライブスルーが占めるという話もあります。

ここでは、アメリカのファストフード業界の回復を支えるドライブスルーの現況について解説します。

マクドナルドの売上の90%がドライブスルー経由

大手ファストフードチェーン・マクドナルドによれば、新型コロナウイルス流行の最中にドライブスルーによる売上が増加しており、アメリカでの売上の約90%はドライブスルーレーンを経由しているとのことです。

またドライブスルーの場所が多い市場では、売上の回復が比較的早いといいます。

バーガーキング「COVIDワールド」に最適化した店舗デザイン発表

新型コロナウイルス流行によるドライブスルー需要の増加を受け、マクドナルドの競合・バーガーキングは、新たな店舗デザインを発表しました。

座席よりもテイクアウト機能を優先することで、店内のスペースは従来よりも60%小さくなります。また車の通行スペースを増やすためにキッチンを2階に置くほか、モバイルアプリで注文して商品を受け取るデリバリースポットを整備するなど、バーガーキングが「COVIDワールド」と呼ぶものに最適化されます。

こうした接触を極力減らす"非接触型"の店舗は、今後も各社で検討されていくものと考えられます。

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アメリカのドライブスルー未参入企業による導入の動きも

マクドナルドバーガーキングなどすでにドライブスルーを導入していた企業だけでなく、これまで未参入であった企業も大規模な投資を実施し、ドライブスルー導入へ踏み出す動きが広まっています。

大手ハンバーガーチェーンである「Shake Shack」は、3車線もの大規模なドライブスルーを2021年に初導入する予定となっています。

そのほか、メキシカンフードチェーン「Cipotole」は、これまで約30年間にわたってドライブスルー導入を拒否してきた背景があるにも関わらず、今回の広まりを受けて「Chipotolane(チポトレーン)」と名付けられたドライブスルーを、ほぼ全店舗へ導入する見込みです。

また、タコスを提供するファストフードチェーン「Taco Bell」は、当初5〜10年の歳月をかけてドライブスルーをアップデートすることを計画していました。しかし同じく新型コロナウイルスの影響を受けて、当初の予定から可能な限り短縮させるなど、早期に注力していく方針としています。

日本でもドライブスルー導入の動き:ピザハットなど

ドライブスルーの導入は、アメリカにとどまらず日本にも波及しています。

ここでは、ドライブスルーを導入した飲食店の事例について解説します。

ピザハット:乗車したままピザを受け取れる「お車ピザ」

大手宅配ピザチェーン・ピザハットは、2021年3月31日まで乗車したままピザを受け取れるサービス「お車ピザ」展開しています。

通常のオンライン注文とほとんど変わらない手順で、人との接触を最低限に抑えた受け取りができるサービスです。

ピザハット公式サイト・アプリでピザを注文し、【「お車ピザ」を希望する】を選択することで利用できます。

弁当や農産物の販売もドライブスルーで

ドライブスルーはファストフードのみならず、弁当や農産物といった商品にまで広まっています。

千葉県茂原市では5月17日、営業短縮中の市内飲食店10店が、1,000円のオリジナル弁当をドライブスルー形式で販売する取り組みを実施しました。

市や青年会議所、商議所青年部などの協力のもと、計約500食が1時間ほどで完売するなど、大きな反響を呼びました。

また、佐賀県鹿島市中村では、佐賀市の九州ケータリング協会が鹿島市内の会員店舗に呼び掛ける形で、総菜や農産物の臨時直売所「かしま市」をオープンさせました。

地元の農産物や菓子、手作りマスクがドライブスルー形式で販売され、5月の連休中に懸念されていた食材・日用品不足へのユニークな対応策として、注目を集めたようです。

ドライブスルーの導入に必要なものは:車の動線確保など

飲食店が再起を図る切り札としてドライブスルーの有効性が期待されていますが、ドライブスルーの導入には一定の投資も必要となります。

ここでは、ドライブスルー導入時に必要な店舗整備について解説します。

自動車を通す動線、注文・受取口の整備

ドライブスルーの導入にあたっては、まず自動車が往来可能な動線の整備が必要です。

動線設計に際して、公共道路の交通を阻害しないかどうかや、視界が十分に保たれているかなどの点について、考慮する必要があります。

また、駐車場を保有する店舗の場合、駐車場の一部をドライブスルー化することになります。一般の駐車場利用客とドライブスルー利用客が混乱しないよう、現場へスタッフを配備させるなどの対策も求められるでしょう。

さらに、店舗内から直接手渡す方式であれば、注文・受取口を整備することになります。場合によっては壁に穴をあける、キッチンから受取口までの動線を確保するために壁を取り払うなどの大規模な工事が必要になるかもしれません。

キャッシュレスへの対応も重要

対面接触による感染リスクを最低限に抑えられるとして利用率が高まっているドライブスルーですが、実際の商品受け取りや現金収受の際には、一定の感染リスクが発生してしまうことは否めません。

会計時の感染防止策として、クレジットカード決済やQRコード決済など、キャッシュレス決済の導入検討が効果的であるといえるでしょう。

例えば松屋では、7月22日からドライブスルーでPayPayを導入しています。

そのほかに先進的な取り組みとして、日本ケンタッキーフライドチキンは8月からドライブスルーでETCを試行運用しており、今後の普及も期待されています。

コロナ時代の飲食店に「ドライブスルー」という選択肢

新型コロナウイルス感染拡大のピークは過ぎ、飲食店なども営業を再開しつつありますが、接触による感染リスクを抑えた「新しい生活様式」が定着しつつある現在、飲食店も従来のやり方にとらわれず柔軟に対処していくことが求められています。

そのような文脈において「ドライブスルー」という選択肢の導入は、コロナ禍を生き抜く一つの手段として期待できるでしょう。

実際にアメリカではドライブスルーの導入がさらに進んでおり、日本にもその流れが波及することは想像に難くありません

今後、ドライブスルーはどのような進展を見せるのか、その動向に注目が集まっています。

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