店舗の予約には電話や予約サイトなどさまざまな流入経路がありますが、その中でも近年、Google 検索やGoogle マップで検索して来店する人が増加しました。
ピザのデリバリー・テイクアウトを中心に事業を展開する日本ピザハット株式会社では、Google マイビジネスの管理ツール「口コミコム 」を使ってGoogle マイビジネスを運用しています。
運用を始めるに至ったきっかけとして、「Google マップ経由でサイトを訪れた場合、他の集客方法を経由するよりも売上につながりやすい」というデータがあったといいます。
そこで今回は、Google マイビジネスを運用し始めた背景や、実際に運用し始めてからの課題などについて、日本ピザハット株式会社 デジタルマーケティング課課長 薮内浩平さんにお話を伺いました。
※Googleマイビジネスは、2021.11.5よりGoogle ビジネスプロフィールという名称に変更されました。
これに伴い、2022年にスマートフォン向けGoogleマイビジネスのアプリが終了します。
アプリ終了前に、これまでと同じように快適に使えるよう今から準備しておきましょう!
コロナ禍で「企業としてできることは何か」を模索ーー日本ピザハット株式会社とは
ーー改めて、御社の事業内容について教えてください。
弊社は「ピザハット」という名前の通り、ピザのデリバリー・テイクアウトを中心に事業を展開している会社です。
ここ数年店舗数の拡大に注力しているほか、最近では新型コロナウイルスの流行によりデリバリー、テイクアウトが注目される中で、「置きピザ」「お車ピザ」など、「企業としてできることは何か」を考えて実行に移している段階でもあります。
ーー薮内さんはどういった経歴をお持ちなのでしょうか。
元々学生の時にピザハットの店舗でアルバイトをしていまして、入社してからは店長、エリアマネージャー、本社の企画・キャンペーン課を経て、現在のデジタルマーケティング課に来ました。
現場を知っていることもあって、店舗のスタッフ目線やお客様目線で施策を考えるっていうのは意識しているのかなと思います。
「Webの中に店頭があるイメージ」ーーGoogleマイビジネス運用を意識し始めたきっかけ
ーーGoogleマイビジネスの運用を意識するまでには、どういった経緯があったのでしょうか。
特にここ数年、Web関連でスマートフォンやSNSの普及といった変化があって、消費者と商品もしくは企業とのタッチポイントが急激に増えてきたんですよね。
2015年頃からピザハットでもデジタルに注力し始めてはいたんですが、その後2019年くらいから、食べログ・ぐるなびだけじゃなくGoogleで検索して来店するっていうお客様が増えてきました。確かその頃って、ちょうどGoogleが「近くの〇〇で検索できるよ」みたいなCMやってた頃じゃないですか。
※YouTube:Google Japanの動画
それで分析してみたらやはりGoogle マップ経由の流入が結構あって、しかもCVR(※1)が他の集客方法よりも高かったので、これはやらなきゃということになりました。
※1:CVR…Conversion Rateの略。コンバージョン率。サイトの訪問数のうち、何%がコンバージョンに至ったかを示す。
ーー運用を始めた一番のきっかけとしては、やはりマーケティング施策の中での「Google マイビジネスの台頭」ということですね?
そうですね。Googleに対しては、「Webの中の店頭」みたいなイメージを持っています。
検索すると一番最初に出てくるのがGoogle マップ上の店舗情報で、そこですぐにお店の情報を得られて、予約や注文もできるので、お客様とお店がやりとりする場所になっているわけですよね。
ここにお客様が口コミを書いてくれて、それが全世界に発信されるというシステムは、頼もしくもあり恐ろしくもあります。
お客様の生の声が聞けるのは良いんですが、その反面炎上したり評判が下がったりしたら、店頭が荒れてしまっているようなものなので注意しないといけないなと思っていて。
なのでGoogle マイビジネスや口コミの管理は、施策としてやりたいという以上に「やらざるを得ない」という感じでしたね。
口コミ全体に「なかなか目が行き届かない」ーー実際のGoogleマイビジネス運用で見えてきた課題
ーーGoogle マイビジネスは、どのような過程で導入していったのでしょうか。
先ほどお話ししたGoogleからの流入が増えたのが2019年で、その年の夏頃から本格的に注力し始めました。
手始めに数店舗を手動で運用したのですが、その時は掲載する情報の統一・整理などから始めて、写真の追加や、メニューの登録、ある程度終わってからキャンペーン情報の投稿を始めたというような順番でした。
その後、投稿の効果を把握するために、キャンペーン投稿を実施した店舗と、実施していない店舗のCVRを比較しました。
すると、キャンペーンの投稿を実施した店舗のCVRが明らかに高くなったんですよね。
最初は予算もなかったのですが、それで成果に違いがあるということを証明できたので、予算をもらえるようになりました。
ーーGoogle マイビジネスを運用し始めてから、口コミなどの管理に関してどのような課題が見えましたか。
Google マイビジネスは、特に全国展開のチェーン店では、なかなか目が行き届かないという問題があると思います。
ときおり誹謗中傷のような口コミを書かれたり、お店に全然関係ない写真が投稿されたりしますが、チェーン本部が各店舗に寄せられた口コミ・写真を一覧で見ようと思っても、今のGoogle マイビジネスの仕様ではできないんですよね。
弊社は400店舗以上のGoogle マイビジネスを管理しているので、一店舗一店舗の管理画面を開いて見るというのはさすがに難しい。
あとは、Google マイビジネスの標準機能だと「複数の店舗で同じ内容を一度に投稿する」というのができないので、たった1回キャンペーン情報を投稿するのに400店舗×90秒で合計480分(=8時間)くらいかかっていました。
それでも「やらざるを得ない」ことなので、作業時間の削減が大きな課題という感じでしたね。
「口コミコム」の運用で変わったこと
ーー御社には、弊社・株式会社movが提供しているGoogle マイビジネス・口コミ管理ツール「口コミコム 」を導入いただいています。導入して、何か変わったことはありますか。
まず、運用が便利になりましたね。チェーン展開している全店舗の口コミや写真を1つの画面でまとめて見られるというのがとにかく素晴らしい!
先ほどお話しした「口コミ・写真を一覧で見ようと思ってもできない」という悩みが、一発で解決しました。
たとえばユーザー投稿写真もかんたんに管理できるようになって、ピザとは全く関係のない蕎麦屋などの写真などもすぐにチェックして、Googleに削除依頼を出すといったことができます。
あとは投稿が400店舗一気にできるようになったのも大きくて、投稿1回につき5分以内におさまるようになりました。
元々480分かかっていたので、およそ100分の1に作業時間を減らすことができています。
改めて気づいた、口コミの重要性
ーー口コミ一覧の機能を利用されてみて、いかがでしたか?
口コミコム で各店舗の口コミや写真を一覧して、「お客様がこんなに投稿してくれているんだ」と実感が湧きました。
こういった口コミには、キャンペーンなどの施策の効果が顕著に表れてくると思います。
仮に「先週は売上が伸びた」という良い結果があったとしても、たとえば「商品の形が崩れていた」とか、「店員の態度が悪かった」といった評価の低い口コミがついてしまうということもあり得ますよね。これは、売上などの数字だけでは見えてこない部分です。
たった1回の悪い体験が口コミによって広まったら、それでブランド全体がノックアウトされてしまう可能性もあるので、口コミのチェックというのは重要だなと改めて感じました。
あと、データから直接見えてこない施策の効果をどのようにしてはかるかという問題も、口コミで解決できるのではないかと思っています。
たとえば今、弊社では「グッとおいしくプロジェクト」というものを実施しており、ソースの味・生地・チーズといったピザの味を左右する”基礎”の部分を改良する、という取り組みを行ってきました。
これは売上をすぐに上げるための施策ではありませんが、長期的に見た時に顧客満足度のためには重要ですよね。このような施策の効果は、口コミに表れてくるんじゃないかと。
口コミによって、あらゆる施策の効果を売上やアクセス数といった数値以外で計測できるのがとてもいいなと思います。
店舗の平均レベルを上げたい
ーー口コミ分析機能では、店舗別・フランチャイジー別・エリアマネージャー別などで、口コミの平均点数や投稿件数を分析できます。この機能はいかがでしょうか?
弊社のようなチェーン店では、売上が伸びなかったり、口コミの評価が低かったりといった問題のある店舗を平均に持っていきたい。特に口コミの場合、1つでも評判の悪い店舗があるとブランドの信用に関わりますからね。
優秀な店長は放っておいてもどんどん売上や評価を伸ばしていくので、できていないところにフィードバックしてサポートしていかないといけないわけです。
口コミコム の口コミ分析を見ていると、「こういうお店は良い口コミが集まっている」みたいな傾向が見えてくる。なんとなくではなく、口コミというファクトに基づいてフィードバックできるのは良いことだと思います。
最終的な理想としては、店長が自分で口コミを見て返信したり、業務を改善したりといったことができるようになれば良いですね。
「それってお客様のためですか?」が最終ジャッジーー今後、目指しているのは
ーー今後、事業全体として目指していることがあれば教えてください。
事業全体としては、今は季節のイベントやお祝いごとの際にピザを食べたいという需要が大きいので、ピザをもうちょっと日常づかいしてもらえるようになったら良いなと思います。
もちろん、クリスマスやハロウィンなど、現時点で比較的つかめている需要に対しても引き続き訴求していきます。
ちなみに今は、クリスマス・年末年始に向けて「ピザ全品スペシャルプライス」キャンペーンというのをやっておりまして、デリバリーなら30%OFF、お持ち帰りなら50%OFFになります。
ぜひ利用していただければと…!(笑)
ーー「Google マイビジネスを活用できていない」という企業様に、伝えたいことはありますか?
Google マイビジネスは「Webの中の店頭」なので、それを管理していないというのは、店内に鍵をかけずに放置したり、掃除せずにお客様を迎え入れたりしているのと一緒です。
たとえばGoogle マップでは、Googleやユーザーによって勝手に店舗情報を作られてしまうことがありますが、これをオーナー登録せずに放置しているのは致命傷だと思います。
一方自分たちがGoogle マイビジネスを開設したのに管理できていないというのも、結局口コミや写真を野放しにしているので、状況としてはオーナー登録していないのとほとんど変わらないんですよね。
どちらにしても、管理ができていないところは今すぐ始めるべきだと思います。
ただ、何も考えずに「ツールだけ導入する」っていうのはあまり良くないと思っていて。
私は「それってお客様のためですか?」が最終ジャッジだと思っています。
何かお客様のために「こうしたい」という思いを持って、その思いを具現化させるためにGoogle マイビジネスや、口コミコム というツールがある、という順番が理想なんじゃないかと。
お客様のためにGoogle マイビジネスを整備して、店舗改善につなげる。その運用ツールとして、口コミコム をオススメします。ぜひやりましょう。
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。
本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。
※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
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