コロナ第3波「時短要請」が無意味かもしれない理由:悲鳴あげる飲食店、効果ある対策を

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新型コロナウイルスの感染再拡大を受け、営業時間の短縮や往来の自粛を求める要請が各地で始まることになりました。

11月27日現在、東京都・大阪府・北海道・愛知県の一部地域で、酒類を提供する飲食店やカラオケ店などに対する営業時間の短縮要請の実施が決まっています。

では果たして、営業時間を短縮することで、新型コロナウイルスの感染拡大を抑制する効果はあるのでしょうか。データから検証していきます。

<ポイント>

  1. 前回8月の時短要請では、感染拡大抑制に大きな効果は認められず
  2. 第3波の主要な感染経路は会食ではない。時短要請で効果があるのか
  3. 時短要請により居酒屋・バーなどの売上に大打撃。一方、補償は十分でない

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時短要請にコロナ抑制の効果はある?

では、8〜9月頃に実施されていた営業時間短縮期間における、新型コロナウイルス陽性者数のデータを確認し、効果があったのかどうか見ていきましょう。

8〜9月頃の東京都 陽性者数は

まずは、8月3日から9月15日まで営業時間短縮の要請が行われていた東京都から見ていきます。

以下は、東京都における新型コロナウイルス陽性者数の推移をグラフにしたものです。

東京都 新型コロナウイルス 陽性者数 推移
▲[東京都 新型コロナウイルス陽性者数の推移]:口コミラボ編集部作成

営業時間短縮期間における増減がわかりにくいので、ここでは7〜10月の推移にフォーカスして見てみましょう。

東京都 時短要請 陽性者数
▲[東京都では、時短要請開始から2週間後、陽性者数はほぼ横ばいとなっている]:口コミラボ編集部作成

営業時間短縮による感染抑制の効果があれば、陽性者数は開始から2週間後以降、大きく減少しているはずです。

しかし、前回の営業時間短縮の開始日(8月3日)から2週間後の8月17日以降、陽性者数はほぼ横ばいとなっています。

また、以下のグラフからわかる通り、営業時間短縮の終了日(9月15日)から2週間後の9月29日以降も、陽性者数は横ばいであることがわかります。

東京都 新型コロナウイルス 陽性者数 推移
▲[時短要請解除から2週間後も、陽性者数はほぼ横ばいとなっている]:口コミラボ編集部作成
10月1日からは、Go To Travelキャンペーンの対象に東京発着の旅行が追加されたほか、Go To Eatキャンペーンも開始されたタイミングであり、陽性者数が大きく増加してもおかしくありません。

にもかかわらず、大きな変動はなかったということがわかります。

8〜9月頃の大阪府 陽性者数は

大阪府でも、8月6日から20日まで営業時間の短縮要請が行われていました。

大阪府 新型コロナウイルス 陽性者数 推移
▲[大阪府 新型コロナウイルス陽性者数の推移]:口コミラボ編集部作成

ここでも7月〜10月にフォーカスしてみると、営業時間短縮の開始日(8月6日)から2週間後の8月20日以降、陽性者数は減少傾向にありました。

大阪府では一定程度の効果があったとみられます。

大阪府 新型コロナウイルス 陽性者数 推移
▲[大阪府では、時短要請開始から2週間後、陽性者数に減少傾向がみられた]:口コミラボ編集部作成

しかし以下のグラフからわかる通り、解除後は大きな増減なく、ほぼ横ばいとなっています。

大阪府 新型コロナウイルス 陽性者数 推移
▲[時短要請解除から2週間後以降は、陽性者数はほぼ横ばいとなった]:口コミラボ編集部作成

ここまでの分析をまとめると、時短要請を行うと「感染拡大の抑制に効果がある可能性はある」ものの、「必ずしも感染拡大抑制に"大きな"効果があるとはいえない」という認識が、現時点では妥当だと考えられます。

第2波/第3波は原因が違う:夜間営業の制限で抑制できるのか

また、今回11月頃からの感染拡大、いわゆる「第3波」は、前回の7〜8月頃の「第2波」とは性質が異なります。

新型コロナウイルス 第2波 第3波
▲[第2波、第3波の性質の違い]:口コミラボ編集部作成

日本経済新聞の報道によれば、前回の「第2波」の主な要因は、接待を伴う飲食店などでの夜間の会食でした。

第2波は接待を伴う飲食店など夜の繁華街で感染が拡大し、無症状や軽症の若者の感染が目立った。

一方、今回の「第3波」では広い年齢層で感染が広がっており、特に医療施設や介護施設内でのクラスター感染が多発しているといいます。

田村憲久厚労相は17日の記者会見で「医療施設や介護施設でのクラスター(感染者集団)が多発している」と指摘した。

会食による感染抑制のために飲食店の営業時間短縮を実施するというのは、施策として有効な可能性があるといえます。

しかし今回の感染拡大では、現時点での飲食店の営業時間短縮により、感染抑制に効果があるのかどうかは疑問の余地が残ります。

居酒屋・バーなど、時短要請で大打撃

感染拡大を抑制できる確証がないとはいえ、これ以上広がる前に手を打っておく、という意味では時短要請にも意味があるのかもしれません。

しかし、営業時間を短縮する飲食店などは、売上減少などの打撃を受けることになります。

日本フードサービス協会による「外食産業市場動向調査」のデータをグラフ化すると、新型コロナウイルス流行に伴う外出自粛などで、飲食店が被った悪影響が顕著に見えてきます。

2020年 飲食店 売上高
▲[2020年 飲食店の業態別売上高]:口コミラボ編集部作成

緊急事態宣言が解除されてからは売上高も回復傾向にあったものの、営業時間短縮が要請されていた8月は転じて減少傾向にあったことがわかりました。

特に、パブレストラン(バー)・居酒屋などの夜間営業を行う飲食店では、そもそも8月以前の売上減少が最も大きく、さらに8月の営業時間短縮でも打撃を受けていたようです。

他の業態に比べ回復も遅れており、今回の営業時間短縮要請によって、こうした夜間に営業している飲食店はさらなる打撃を受けることが容易に想像できます。

飲食店から上がる悲鳴…支援は不足状態

実際に、今回の時短要請により、飲食店から「悲鳴」が上がっているという報道が相次いでいます。

しかし、時短要請に伴う補償は十分でないようです。

要請に応じた店舗には、東京都・愛知県では40万円、大阪府では50万円、北海道では60万円の協力金が支給されるということですが、飲食店は家賃や従業員への給料などコストが大きく、50万円前後では損失の補填を賄えない可能性があるといいます。

大阪の飲食店からは、「店舗ごとの損失を調査し、実情に応じた支援を」「支援金だけでは賄えない」という声も上がっているようです。

政府や自治体には引き続き効果のある新型コロナウイルス対策の実施、そして感染対策と経済対策の両立が問われることになるでしょう。

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