ローボール・テクニックとは|交渉を有利にすすめられる理由・マーケティング施策へ応用するには?

行動心理学とは、人間の行動を客観的に分析することでその心理を解明する心理学の一つの分野のことを指します。人間が日々の生活の中でなんとなくしてしまう行動にも、統計的に考察すると特定の傾向が読み取れるとされています。

こうした行動心理学はマーケティングにも応用されており、交渉や状況を優位に進めることに活用できると考えられます。

本記事では、行動心理学を応用した手法の一つである「ローボール・テクニック」の内容や具体例、注意点について解説します。

ローボール・テクニックとは

ローボール・テクニックとは、相手にとって良い条件を与えて一度承諾させ、後からその好条件を取り除いたり、不都合な条件をつけ足したりすることで、自分の要望を通りやすくする手法です。

人間心理の特徴を利用した交渉術であり、別名「特典除去法」ともいわれています。

ボールを条件や要望に言い換えて「まずは相手がキャッチしやすい低いボールを投げる」という比喩からローボール・テクニックと呼ばれています。

たとえば割引率の高い商品を掲載したチラシを配布し顧客に来店のきっかけを与え、目当て以外の商品も購入させるといった手法があてはまります。

顧客は一度購買を検討している状態で来店するとその意思を貫こうとし、たとえ目当ての商品が見つからなくても代わりに他の商品を購入してしまう傾向にあるためです。

この心理傾向は行動心理学において、一貫性の原理といわれています。

ローボール・テクニックを証明した実験

ローボール・テクニックはアメリカ人の心理学者ロバート・チャルディーニによって実証されています。

実験内容は、要望を承諾させる前に相手にとって良くない条件を提示した場合と、要望を承諾させた後に相手にとって良くない条件を提示した場合で、どちらの方が承諾される割合が高いかを図ったものです。

具体的には、学生に対して実験への参加依頼をし、集合時間が早いことを伝えた後で参加の可否を問うグループと、参加の同意を得た上で集合時間を伝えたグループとで分けて実験したところ、後者のグループの方が参加率が高いという結果となりました。

このことから一度同意をすると悪い条件を与えられても断りにくいということが実証されています。

「フット・イン・ザ・ドア」「ドア・イン・ザ・フェイス」との違い

ローボール・テクニックと同様に、一度定めた意思を貫こうとする心理である「一貫性の原理」を利用した手法に、フット・イン・ザ・ドアドア・イン・ザ・フェイスというものがあります。

フット・イン・ザ・ドアは、小さな要望を積み重ねて大きな要望を通すという手法で段階的要請法といわれています。

逆に、ドア・イン・ザ・フェイスは本当の要望を通すためにあえてそれよりも大きな要望を伝え、たとえ断られても相手の断って悪いという心理を利用し、小さな本当の要望を了承させるという方法で、譲歩的依頼法とも呼ばれます。

ローボール・テクニックで消費者心理をつかむ例

ローボール・テクニックは、極端に安いと思うような目を引く集客フレーズで来店させ、実際は一部商品のみが該当する場合や別の商品を購入する必要があるといった手法で用いられています。

1. 一部のみが割引対象

「大特価」や「最安値」などの一見得に見える広告やチラシを提示しながら、実際の対象商品は一部のみという場合はこの手法にあたります。

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2. 「0円」「無料」で消費意欲をかきたてる

スマートフォンの契約時に「無料」と提示されていても、それは機種本体代金のみで、契約期間の縛りや通信料などで実際は追加料金がかかるケースはこの手法を用いた例といえます。

また、飲食店で「飲み放題0円」と書かれていても、実際は食事を注文しなければならず、その料理の代金が高めに設定されている場合などもこの手法にあたります。

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3. 先に割引額を提示してお得感を見せる

家電量販店などで、本体だけでなく充電器などの別売り商品も購入しないと割引は適用されないにもかかわらず、まずその高い割引率を提示し顧客が購買を決定した後で、別売りのオプションをつけるというのもこの手法にあてはまります。

ローボール・テクニックを成立させる3つの心理作用

ローボール・テクニックが通用する理由としては、認知的不協和、一貫性の原理、コンコルド効果という人間の3つの心理的作用が関係しているといわれています。

1. 認知的不協和理論

認知的不協和理論とは、人は自分の考えと行動が矛盾しているときに感じる不快感(認知的不協和)を解消するために考えを変えて矛盾を無くし行動を正当化するというものです。

ローボール・テクニックにおいては、自分が要望を承諾した後にたとえ望ましくない条件を突き付けられたとしても、考え方を変えることで自分の判断や行動を正当化しようとする心理が働きます。

2. 一貫性の原理

一貫性の原理とは、自分の意思や言動、行動などが矛盾しないように一貫した自分でいたいという心理のことを指します。

上述した割引率の高い商品を掲載したチラシの例では、この一貫性の原理に基づき、顧客が特売商品を見て何かを購入しようと来店した場合、その購入意思を貫こうという心理が働くことを利用したものといえます。

3. コンコルド効果

コンコルド効果は、あるものに時間や金銭を投じた結果、利益にならないとわかっていても、これまでの投資をもったいないと思いそのまま継続してしまう心理のことを指します。

マーケティングにおいては、次回来店時無料のクーポンや一定金額購入すれば送料が無料になる案内などに応用されています。

ローボール・テクニックでは異なる要望を提示されても、それまで投資した時間や工数を惜しいと感じるという点で、このコンコルド効果が関係しています。

ローボール・テクニックは受け取り手の立場で納得感のあるなしが大切

ローボール・テクニックは、人間の心理を応用した集客における一つの手法ですが、その使用方法によっては顧客や交渉相手との関係を悪化させてしまう可能性もあります。

ローボール・テクニックは、受け取り手によっては、詐欺のように思えたり、だまされているように感じたりします。

人間の行動心理学を活用し交渉に役立てることで集客や販促を強化することは大切ですが、自身の利益だけを考えた過度な活用は信頼感を損なうため注意が必要です。

この手法を用いた広告や宣伝文句を受け取る顧客の立場になって、戦略を検討することが重要でしょう。

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この記事の筆者

口コミラボ編集部

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