新型コロナウイルスの影響による外出自粛でフードデリバリーサービスの需要が高まるなか、圧倒的な存在感を見せているのがUber Eats(ウーバーイーツ)です。
Uber Eatsはフードデリバリーサービスとしてトップの知名度と利用率を獲得しており、今後もさらなる成長が期待されています。
この記事では、Uber Eatsがトップシェアを獲得した経緯をふまえ、Uber Eatsの持つ光と影について解説します。
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Uber Eats、フードデリバリーサービスの知名度・利用率ともに1位を獲得
2020年6月、消費動向の自主調査結果を公開するMMD研究所は東京、千葉、神奈川、埼玉の1都3県において、フードデリバリーサービスに関する調査を実施しました。本調査で「知っているフードデリバリーサービス」について質問したところ、最多となる67.2%の回答者がUber Eatsと回答しました。なお、その他の回答を見てみると出前館が64.0%、マクドナルドやドミノピザなどの直営店が48.4%でした。
また「最も利用しているフードデリバリーサービス」について質問したところ、32.8%の回答者がドミノピザやマクドナルドなどの直営店と回答しています。Uber Eatsは直営店に次ぐ27.8%となっており、続いて出前館が16.6%、楽天デリバリーとdデリバリーが同率の6.1%、LINEデリマが5.7%でした。
調査結果を見ると、Uber Eatsは数あるフードデリバリーサービスの中で最も利用されているといえます。
Uber Eatsは2019年から2020年で15.8%の伸びを記録
2019年と2020年の調査結果から「最も利用しているフードデリバリーサービス」を比較したところ、Uber Eatsは最高となる15.8%の伸び率を記録していました。
伸び率が高い順に見てみると、Uber Eatsに次いでマクドナルドやドミノピザなどの直営店が7.7%、出前館が4.4%となっています。
新型コロナの感染拡大による外出自粛の影響により、フードデリバリーのニーズは大幅に増えました。
この世相を追い風に、Uber Eatsは確実に業績を伸ばすことに成功したといえます。
Uber Eatsはフードデリバリー戦争になぜ勝てたのか
Uberは2014年、米国カリフォルニア州のサンタモニカにて、「Uber FRESH」という名称でフードデリバリーの提供を始めました。Uber FRESHは翌2015年に現在の「Uber Eats」へと改名し、2016年には日本へ上陸。現在に至るまでサービスを展開しています。
なお、日本では2020年9月現在、計27都道府県にてサービスを提供しています。
配達パートナー、飲食店、ユーザーの順にプロモーション
Uber Eatsがサービスを始めるまで、飲食店がデリバリーを提供するには車両と人員の確保に費用がかかる点が懸念されていました。そのため、飲食店の中にはこのことが原因でデリバリーサービスの導入に後ろ向きな事業者も存在していました。しかし、Uberは配達員それぞれに配達を委託するビジネスモデルを確立することで、飲食店が初期投資なくデリバリー事業を始められる方式を提供しました。
Uber Eatsは自社にて配達員を用意しないため、新たな都市に進出した際には配達パートナーと呼ばれる配達員を集めることが最初の課題となります。
Uber Eatsではまず配達パートナーを確保した上で飲食店の登録数を増やし、最後にユーザー数を増やすという順にビジネス展開を進めています。
この順序をふまえ、Uber Eatsでは2017年に配達パートナーを対象とした広告、2018年に飲食店を対象とした広告、2019年にユーザーを対象とした広告を作成し、3つのターゲットに対して順番にプロモーションを展開しました。
現在ではテレビCMも放映されており、利用ユーザー数を増やすためのプロモーションを強化しています。
初期費用は無料、手数料も競合デリバリーサービスより安く設定
Uber Eatsは、初期費用無料で店舗を登録できます。例えば、競合となる出前館の場合、店舗登録には初期費用として20,000円が必要なため、飲食店はより手軽にUber Eatsへと参入できます。飲食店側が支払う手数料は、Uber Eatsでは一律で代金の35%となっています。一方、競合となる出前館はサービス利用料が代金の10%、配達手数料が代金の30%、決済手数料が代金の最大3%となっており、最大で代金の43%となります。
Uber Eatsと出前館では手数料に最大8%の差が生じるため、この差額も事業者にとってUber Eatsが魅力的な理由のひとつとなっています。
なお、出前館では飲食店支援価格として、2020年5月から10月までは配達手数料を30%から23%に値下げしています。
SNSを活用しクーポンを配布することでお得感を演出
Twitter:Uber Eats Japanによる投稿
Uber EatsはTwitter上でさまざまなクーポンを配布しており、Twitterの若年層ユーザーを中心に、Uber Eatsに対するお得感を持たせ利用に繋げることに成功しています。
多くのクーポンはUber Eats公式アカウントのツイートに記載されている「プロモコード」をアプリに入力するだけで適用されるため、クーポンを使う際の煩雑さもありません。
Uber Eatsの公式アカウントでは、ほぼ全てのツイートでUber Eatsのお得さを前面に押し出しており、ユーザーを対象とした内容でツイートを発信しています。
一方、競合となる出前館の公式アカウントでは、事業者とユーザーに向けた情報を同時に発信しており、ユーザーに対しては出前館の利便性を強調するとともに、イメージキャラクターを担当しているタレントのツイートや、関連するニュースのツイートなども積極的にリツイートしています。
Uber Eatsは、サービスのお得さを強調することに注力したSNS運営から、多くのSNSユーザーに「Uber Eatsはお得」という印象を与えることに成功しました。
Uber Eatsの光と影とは
Uber Eatsは、SNSを活用したプロモーションや初期費用なしに店舗登録できる手軽さ、そして安価な手数料などにより、これまで多くの飲食店とユーザーから支持を集めてきました。
一方で、ネット上ではトラブルに関する口コミも散見されます。最後にUber Eatsの光と影について、利用者の声とともに紹介します。
Uber Eatsの光:ユーザーも店舗も手軽に利用できる
ユーザーにとってUber Eatsを選ぶメリットとしては、最低注文金額が存在しないことと個人経営の店舗が多いことが挙げられます。
競合となる出前館では、多くの店舗で最低注文金額が1,500円前後に設定されています。しかし、Uber Eatsでは最低注文金額を設けておらず、ユーザーが気軽に注文できる環境を整えています。
また、出前館はチェーン店の登録が多いものの、Uber Eatsには個人経営の店舗が多く登録されており、選択肢が豊富である点も魅力のひとつです。
一方で飲食店にとってUber Eatsに登録するメリットとしては、初期費用がかからないことや手数料が比較的安いことが挙げられます。
Uber Eatsの影:配達パートナーが原因のトラブルも
Uber Eatsの配達パートナーには18歳以上であれば誰でも登録できるほか、登録後はすぐに仕事を始められます。配達を始めるにあたり先輩や上司からの指導や研修が存在しないため、配達パートナーの品質には差が生じています。
Twitter:尾上 雅則 さん @ugaya40 による投稿
Twitterにおいては、中身が溢れていてもそのまま配達されたことや、配達が大幅に遅延したこと、頼んだものと違う商品が届いたことなどが報告されています。
Twitter:ユメ☆見すと。さん @_POISSON_LUNE による投稿
さらに、配達パートナーが注文者の家を見つけられず商品をそのまま持ち帰ったり、配達パートナーが交通事故に遭ったという事例も報告されています。
競合となる出前館では、配達員に対して出勤初日に研修を実施したり、問題が発生した際に配達員が配達拠点に報告できる体制が整えられています。
出前館では、配達員だけでなく登録店舗にとっても安心して配達を任せられるサポート体制を築いており、上記のような問題は起こりにくくなっています。
Uber Eatsの特徴を知り、賢くフードデリバリーサービスを活用しよう
Uber Eatsは、ユーザー獲得に向けた効果的なプロモーションと、初期費用無料かつ安価な手数料で店舗を運営できるシステムなどにより、フードデリバリーサービスにおいてトップシェアを獲得しました。数あるフードデリバリーサービスの中で最も高い知名度と利用率が特長のUber Eatsは、飲食店の認知拡大や集客促進にも効果的です。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け「内食」需要が高まっていますが、飲食店においてはUber Eatsなどのフードデリバリーサービスを活用することで、内食の需要増加に上手く応えられるでしょう。
<参考>
- MMD研究所:インターネットでのフードデリバリーサービス利用経験は46.4%、2019年より16.5ポイント増、最も利用しているフードデリバリーサービスの上位は「直営店」「Uber Eats」「出前館」
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