UGC(User Generated Content)とは、日本語で「ユーザー生成コンテンツ」と訳され、一般ユーザーによって作られたコンテンツのことを指します。口コミやSNS投稿などは、この顕著な例です。
企業の広告と違い、UGCにはユーザーの心からの評価が現れるため、消費者目線に共感したユーザーにより拡散されやすいという特徴があります。SNSでの情報拡散は消費者の購買につながることも多く、提供している商品やサービスのマーケティングに大きな効果が期待できます。
本記事では、UGCの意味やマーケティングにおけるUGCの重要性、ユーザーにUGCを投稿されることのメリット、デメリットに触れながら、UGC活用時に注意すべきことについて紹介します。
UGCとは
UGCの意味
UGCはUser Generated Contentの頭文字をとった略称であり、「一般のユーザーによって作成されインターネット上に公開されたコンテンツ」を指します。
個人のSNSアカウントやブログなどに投稿されている写真や文章、動画もこれに該当します。
UGCの例
UGCの具体例として、InstagramやTwitter、FacebookといったSNSに投稿された写真やテキストやイラストや動画、YouTubeに投稿された動画が挙げられます。
また、食べログやAmazon、ECサイトに書き込まれるレビューもUGCの一つです。
このほかにも、Wikipediaやまとめサイトのテキストやクックパッドのレシピから、Spotifyのプレイリスト、ボーカリストの楽曲といった既存のサービスを活用したコンテンツまで、UGCは多岐に渡ります。
UGCの存在感が高まる理由
ユーザー数の多いインターネットサービスは、商品の認知を高めたり、ユーザーに行動を促したりするために利用すべきプラットフォームです。同時に、ユーザー数の多さから、露出を高めることが難しくなっています。プラットフォームの特性を理解しコンテンツを公開したり、広告枠を利用することで、自社の情報や商品をユーザーに届けることもできます。Google検索で上位に表示されるようにSEO対策に取り組むことや、リスティング広告の利用はデジタルマーケティングの基本ともいえます。
こうした施策には、ある日突然アルゴリズムが変動することで従来の効果が得られなくなってしまう、あるいは広告料が高すぎるといった問題がつきまといます。
ところがUGCは、こうした問題とは無関係に企業のデジタルマーケティングにポジティブな効果を与えてくれます。UGCは、プラットフォームのアルゴリズムや広告費に関係なく、そのコンテンツの魅力そのものでインターネットユーザーの目を引きます。
UGCを利用したSNS時代のマーケティング
最近では、インターネット上で情報を検索する際、消費者はGoogleなどの検索エンジンを使うより先に、SNSの検索機能を使って情報収集をする傾向があります。
SNS時代における購買行動プロセスはULSSAS(ウルサス)と呼ばれます。ULSSASは、UGC、いいね(Like)、SNSでの検索(Search1)、検索エンジンでの検索(Search2)、購買など(Action)、拡散(Spread)の頭文字です。
このカスタマージャーニーを活用することは、インプレッションの獲得につながります。UGCを利用したマーケティングとしては、ハッシュタグを用いたキャンペーンや、UGCそのものを広告クリエイティブやランディングページに素材として活用する方法が想定されます。
また、SNS上で人々に大きな影響を与える「インフルエンサー」の存在を活用することも近年ではメジャーな方法です。インフルエンサーに商品・サービスを利用してもらい、写真や感想をSNSに投稿してもらうことでUGCを生み出すことができます。
さらに、口コミサイトでは情報が掲載されているページにユーザーがアクセスする必要がありますが、SNSでは拡散された情報が自動的にタイムラインに表示されるため、より多くの人に情報を届けられます。加えて、いいね機能やリツイートなどSNSの機能が拡充されたことにより、UGC投稿がより拡散されやすくなっています。
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UGCを活用するメリットとデメリット
UGCは企業にとってメリットもある一方で、デメリットもあります。UGCの特徴を的確に把握しておくことで、自社のマーケティングにUGCが有効であるかどうかの判断ができます。これらの情報は導入前に必ず知っておかなければなりません。
UGCを活用するメリット
企業がUGCを活用する最大のメリットは、コンテンツを目にしたユーザーが、商品やサービスに対し親近感を抱く点にあります。有名人を起用したプロモーションは商品の良さやイメージを適切に伝えられますが、実際に使用している場面を想像することが難しいという欠点があります。一方UGCであれば、一般ユーザーが実際に利用している場面をコンテンツとして発信するため、商品やサービスを身近に感じてもらうために役立ちます。
プロモーションによる情報発信とは違い、UGCではユーザーが使用した際の感想が発信されるのが特徴です。こうした発信は客観性のある評価として、商品の購入やサービスの利用を検討しているユーザーへの後押しとなります。
さらに、UGCで発信される情報は企業の想定を超えた角度から商品やサービスが紹介される場合があります。企業はUGCならではの着眼点から着想を得ることによって、新たなプロモーションや商品開発に活かせるようになるでしょう。
UGCを活用するデメリット
一方でUGCにはデメリットもあります。
その一つが情報の正確性を保つことが難しい点です。UGCは一般ユーザーが発信するコンテンツであるため、発信される情報の事実確認ができません。間違った情報が拡散される可能性もあります。
また、コンテンツの質を統一することが難しいのもデメリットです。UGCを活用する場合は、ユーザーにコンテンツを一任するのではなく、ユーザーがコンテンツを製作しやすいように、製作のハードルを下げる工夫を設けることが重要です。
そして、UGCは個人によってつくられたコンテンツであり、企業はその発信を管理することができないため、コンテンツ内で著作権や肖像権などの権利を侵害する可能性も否めません。実際に、ユーザーが店内写真をSNSで投稿したものを企業が拡散したところ、写り込んだ別の来店客によりクレーム発生したケースがありました。ユーザーが見落としがちな権利侵害に対しては、企業側が特に注意を払う必要があるといえるでしょう。
UGC活用のポイント
実際にUGCの投稿をマーケティング施策に導入すべきかどうかは、商品やサービスによっても大きく変わります。検討にあたっては、UGCの効果が期待できるの商品・サービスとはどのようなものなのかを知っておく必要があります。
UGCが創出されやすいものとは
UGCが生まれやすい商品には、菓子や音楽、映画、本のように人に推奨しやすい商品が挙げられます。
また、アパレルやコスメといった写真に映えるものや個性が出るもののような、自己表現の一環として投稿可能な商品もUGCが生まれやすくなっています。
ほかにも物理的な商品は写真や動画に残しやすく、SNS等に発信してもらえる可能性が高まります。
UGCが創出されにくいものとは
一方でUGCが出にくいとされているのは、ゴミ袋、乾電池といった、日常生活に当たり前になりすぎていて、購入や利用に際して感情が動かない、情緒的価値が薄い商材です。
また、コンプレックス商材と言われる、購入について他人に公開することがはばかられるような商品もUGCが出にくいとされています。具体的には増毛やダイエット、整形などがあります。利用していることを知られたくないものや、利用していることで特定の症状であることが露呈することが特徴です。
高価で、購入される機会が比較的少ない商品もUGCが生まれる可能性が低くなります。
UGCを使った企業のマーケティング事例3選
実際のUGCの事例を3つ紹介します。
1. スターバックス/オリジナルデザインの投稿
コーヒーチェーン大手のスターバックスでは、「#WhiteCupContest」というハッシュタグを用意し、白いカップにデザインを施した写真を投稿するキャンペーンを実施しました。このキャンペーンでは、もっともすぐれたデザインは実際にスターバックスにて期間限定デザインとして採用されることとし、このポジションを狙った数々のユーザーから高いクオリティーのUGCが投稿されました。
2. Adobe/技術力をPR
また、デザインソフトウェア会社であるAdobeは、クリエイターの技術を利用したUGCの投稿により製品の特性を世の中に訴えることに成功しました。
この事例では、同社の製品を使用した画像に「#Adobe_Perspective」というハッシュタグを付けSNSに投稿することを奨励しました。クリエイターは自分で手掛けた画像の完成度の高さを伝えるべく、SNSにコンテンツをアップし、結果としてAdobe製品の性能の高さを広く知らせることになります。
3. オーストラリア政府観光局/投稿を促すハッシュタグ
実際に手に取れない商品を対象にハッシュタグキャンペーンを展開し、UGCを生み出すのに成功した例にはオーストラリア政府観光局の事例があります。
観光局は「#SeeAustralia」のハッシュタグを付けてオーストラリアの風景や体験に関する画像を投稿するよう呼びかけ、結果340万件以上の投稿が記録されました。この取り組みから派生させ実施したUGCキャンペーンでは、サイトへのエンゲージメント率が30%増加するなど高い効果を発揮しています。
商材に合わせてUGCの活用の検討を
UGCとはUser Generated Contentの略で、一般のユーザーにつくられたコンテンツを指します。消費者に対し、商品やサービスに対する親近感を与えられることがUGCの強みです。それだけでなく、コンテンツ内で伝えられる情報を中立的観点からの評価として信頼してもらえることも大きな利点となります。
しかしながら、ユーザーが発信するコンテンツであるため、コンテンツ内の情報の正確性や、他のユーザーの権利を侵害していないかについては十分考慮しなければなりません。こうした点や、UGCを利用したマーケティング施策に向く商品や向かない商品があることも踏まえて検討、設計するべきでしょう。
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