大手グルメサイトを運営する株式会社favyは2020年9月1日、新宿ミロードの対象飲食店にて、ドリンクパスを販売するサブスクリプションサービスを開始しました。
コロナ禍による外出自粛などの影響から、おうち時間を充実させる動画や音楽配信サービスのサブスクリプションサービス(いわゆる「サブスク」)の需要が高まっていますが、「飲食店のサブスク」も話題になりつつあります。
今回は、いま飲食店からも消費者からも注目を集める、「サブスク飲食店」の事例や事業者にとってのメリットなどについて解説します。
飲食店に広まる「サブスク(サブスクリプション・定額課金サービス)」
いま話題の「サブスク」の波は、飲食店にまで広がっています。
サブスクのおこりは2013年頃、パソコンのソフトウェアの販売から始まったと言われます。それまでパッケージ売りが主流だったものを、月額課金方式に変更したのが期限で、そこから動画や音楽配信サービスへと概念が広がっていきました。
やがて、おおよそ2018年頃、飲食店に「サブスク」の概念が持ち込まれました。新型コロナの影響による外出自粛から、一気に注目を集めたように感じるサブスクですが、実は新型コロナが発生する前から居酒屋やカフェを中心に広まっていました。
一般消費者に浸透するサブスク、ただし飲食のサブスクはまだまだ
月額カーリースを展開するナイル株式会社が、2020年7月〜8月に実施した調査によると、全国の男女約2,000人に対しサブスクの利用者は4割となっており、人気のサブスクは動画や音楽配信であることが明らかになりました。
この調査では飲食は「その他」として分類されています。
バッグ・アクセサリー、食品、美容・コスメ、家具・雑貨、飲食店、車、洋服、英会話などと合わせても利用者は7.9%と、まだ世間に浸透していない現状がうかがえます。
飲食のサブスクは、今後も長期化が予想されるコロナ禍において、これから伸びしろが期待されるジャンルといえるでしょう。
なぜ飲食店は今サブスクをはじめるべきなのか
サブスクに世間からの注目が集まるなかで、飲食店が今サブスクをはじめるべき3つの理由を解説します。1. ベースとなる収益ができる
飲食店は通常、「売上=飲食代金」というマネタイズシステムのため、売上が季節や社会状況に左右され不安定という側面を持ちます。そこでサブスクをはじめることで、会員費が安定した固定の売上となるため、来店人数にかかわらず、ベースとなる収益を確保できます。
特に現代では、新型コロナウイルスの感染拡大状況により来店客数が見込みづらいなど、不安定な状態が続くため、安定的な収益の確保を確保する上で、サブスクは非常に重要な役割を果たします。
2. クロスセルによる収益増が期待できる
サブスクは「来店1回につき◯◯◯円の商品無料」という内容の場合、それ以外のメニューの注文も望めるなど、結果的に収益の増加が期待できます。「来店のたびに◯◯◯円の商品が1品半額」とすると、よりお得に利用したいという顧客心理から、来店回数が増え売上拡大に繋がるでしょう。
このように、サブスクでは、クロスセル(他の商品などを併せて購入してもらい、顧客単価を高めること)による収益増が期待できます。
3. 顧客ロイヤルティを上げて口コミに期待
サブスクを利用する顧客は、定期的かつ継続的に飲食店を利用するため、顧客ロイヤルティの高い層といえます。
一般的に、ロイヤルティが高い顧客は良い口コミを投稿するなどして、積極的に周囲に勧めてくれる傾向があります。
そのため、サブスクを導入しロイヤルティの高い顧客を多く抱えることで、新規顧客の獲得への効果も期待できるでしょう。
「サブスク×飲食店」18事例まとめ
サブスク飲食店はまだまだ伸び代が期待される分野として注目される一方で、すでにさまざまなユニークなサブスク飲食店が登場しています。それでは早速、サブスク飲食店の事例をみていきましょう。カフェ/喫茶店編
サブスクを導入したカフェと喫茶店の例を、3つ紹介します。
1. お花好きに人気のコーヒーサブスク『ODEONS COFFEE&GALLERY』
東京都麻布十番のカフェ『ODEONS COFFEE&GALLERY』では、自家焙煎のコーヒーを軸とした、複数のサブスクを実施しています。「マンスリーコーヒー無料会員」は、月額3,000円で、自家焙煎のマンスリーコーヒーを1回の来店につき1杯まで提供するコーヒーサブスクです。
コーヒーに加えて月に2回お花ももらえる「コーヒー&フラワー会員」といったサブスクもあり、コーヒー+αのユニークなサブスクを提供しているのが特徴的です。
2. 月額3000円でコーヒー無料『coffee mafia』
『coffee mafia』は、日本で初めてサブスクを始めたコーヒースタンドです。通常480円のハンドドリップコーヒーが、月額3,000円のサブスクに登録すると、無料で提供されます。
スペシャルティコーヒーといった他の対象ドリンクも200円引きになることから、サブスクのメリットである、クロスセルによる収益増が期待できる仕組みが特徴的です。
3. 名古屋ならではのモーニングサブスク『IZUMI-CAFE』
名古屋にある『IZUMI-CAFE』では、月額4,320円のサブスクを利用すると、通常1杯400円のコーヒーが無料で提供されます。朝7時から11時までに来店すると、指定のモーニングも無料になるとして、喫茶店のモーニングが有名な名古屋ならではのモーニングサブスクとして注目されています。
ラーメン屋編
サブスクを提供しているラーメン屋の事例を、2つ紹介します。
4. ラーメン食べ放題のサブスク『野郎ラーメン』
関東を中心に展開するラーメンチェーン『野郎ラーメン』は、月額8,600円で1日1杯ラーメンが無料で提供されるサブスクを実施しています。指定の800円前後のラーメン3種類から選べ、決済などの申し込み手続きは全てアプリで完結させるなど、利便性の高さも特徴です。サブスクは野郎ラーメン全店舗で使用でき、二郎系ラーメンのファン層を中心に、話題となっています。
5. ラーメンが毎日無料に『ばんからラーメン』
東京の秋葉原と池袋に店舗を持つ『ばんからラーメン』は、2020年2月からサブスクの提供を開始しました。月額6,800円でラーメンが毎日無料になる「ラーメンパスポート」や、月額300円でトッピングが無料になる「トッピングパスポート」など、お得感の高い複数のサブスクを展開しています。
居酒屋編
サブスクを導入している居酒屋の事例を、4つ紹介します。
6. 月額4000円で飲み放題無料『金の蔵』
大手居酒屋チェーンの『金の蔵』は、月額4,000円で、通常1,800円の飲み放題が1日につき1回無料になるサブスクを実施中です。月に3回通うと元が取れる仕組みであり、リピーターを増やす効果や、飲み放題とともにフード類の売上拡大が期待されます。本サブスクは全国の対象店舗で利用でき、専用アプリからクレジットカード決済で購入できる利便性も特徴です。
7. 1か月間ドリンクが199円『串カツ田中』
全国に展開する串カツ居酒屋チェーン『串カツ田中』は、「田中で飲みPass」を月額550円で販売し、ドリンクが1か月間199円で提供されるサブスクを実施しています。本サブスクは、全国250店舗以上で使えるといったメリットも特徴的です。
400円以下のドリンクを対象にしており、プレミアムモルツ中ジョッキや角ハイボールがほぼ半額になるなど、ロイヤルティの高い顧客を惹きつける新たな施策となっています。
8. 月額3,000円で飲み放題『ひもの屋』
海鮮居酒屋の『ひもの屋』は、月額3,000円で通常1,500円の飲み放題が無料になる「飲み放題定期券」というサブスクを提供しています。対象店舗は、『渋谷東急本店前店』『新宿区役所前店』『西池袋店』です。
2020年5月末までは「初回入会キャンペーン」を実施し、通常3,000円のサブスクを入会初月は2,020円に設定するなど、サブスク会員の取り込みを強化しました。
9. 牡蠣が何人前でも半額『イザカヤキツネ』
大阪の心斎橋にある、牡蠣とクラフトジンを中心に提供する居酒屋『イザカヤキツネ』では、生牡蠣のサブスクを実施しています。月額3,000円で何人前食べても半額になるといった内容が特徴です。牡蠣と合わせて、アルコールや他のメニューの売上拡大が期待できる、クロスセルによる収益増が期待できるサブスクの事例といえるでしょう。
レストラン編
サブスクを提供しているレストランとして、2つの事例を紹介します。
10. サラダバーとランチビュッフェが無料に『農家の台所』
新宿三丁目に位置するレストラン『農家の台所』では、1日1回ランチビュッフェやサラダバーが無料で提供されるサブスクを実施しています。
月額8,310円の「農家の台所DINNERサラダバーパスポート」は、1日1回サラダバーを無料で利用できます。
11. 1日1杯クラフトビールが無料『ビストロ酒場 CRAFTxCRAFT』
東京の赤羽にある『ビストロ酒場 CRAFTxCRAFT』は、月額2,980円で1日1杯クラフトビールを無料で提供するサブスクを販売しています。ビールは6種類のなかから1種類選べ、毎日通うと1杯99円になるなど、常連客を惹きつけるとともに新規顧客の獲得も期待できる斬新なサービス内容が特徴です。
焼肉編
サブスクを販売している焼肉店の事例を2つ紹介します。
12. 2,980円で毎日飲み放題が無料『焼肉・ホルモン料理 とらじ亭』
東京の日暮里にある『焼肉・ホルモン料理 とらじ亭』は、月額2,980円で2時間の飲み放題を、毎日無料で提供するサブスクを販売中です。ドリンクは100種類以上を対象とし頻繁に訪れる顧客を飽きさせない上に、来店回数の制限も設けていないため、来店すればするほどお得になるという顧客心理が働き、来店回数の底上げからさらなる売上拡大が見込めるサブスクとなっています。
13. 高級焼肉が半額『YAKINIKU FUTAGO 17th St.』
東京の新橋にある高級焼肉店『YAKINIKU FUTAGO 17th St』では、年会費16,500円で特別会員になると、アラカルトメニューがいつでも半額になるサブスクを実施しています。会員1名につき3名まで利用可能としており、ロイヤルティの高い顧客がリピーターとして頻繁に店舗を利用するきっかけになるだけでなく、口コミから新規顧客の獲得も期待できる仕組みが特徴的です。
スイーツ編
スイーツ関連でサブスクを実施している飲食店事業者の事例を3つ紹介します。
14. 月額5,980円で毎日アイス1個無料『サーティワンサブスク』
口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】
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