ファストフード企業のコロナ対策|外食自粛ムードでの対策事例紹介

8月1日時点での新型コロナウイルス感染者数は3万6,234人となり、東京都では8月1日に過去最多となる472人、大阪府では7月29日に過去最多となる221人の新規感染者を記録するなど、第2波到来により予断を許さない状況が続いています。

緊急事態宣言解除により経済活動は再開したものの、感染リスクが懸念される外食に対し消費者は依然として慎重な姿勢を崩しておらず、接客サービスを余儀なくする飲食店舗はコロナ対策に万全を期した上での営業が強く求められています。

本記事では、飲食業界の中でもファストフード業界に焦点をあて、外食に対する顧客の動向、および実施可能なコロナ対策について解説します。

外食に対する顧客の動向

ITソリューションを扱う「野村総合研究所(NRI)」は、2020年4月下旬と5月下旬の2回にわたり、全国約1万人を対象に実施したインターネット調査を実施、6月1日に発表しました。同調査から垣間見える、外食を躊躇う消費者の姿勢について解説します。

外食自粛ムードが続く

同調査によると、緊急事態宣言の発令期間中に一度も外食しなかった人の割合は約63.5%に上っています。2020年4月の飲食業の売上高は前年同月と比べて39.6%減と大きく落ち込むなど、外出自粛要請により大きな影響を被ったことが伺える結果となっています。

また、同調査の「外出再開のタイミング」に関する設問では、緊急事態宣言後に外食を再開するとの回答は32.4%に留まっており、宣言が全面的に解除され、都道府県を跨いだ移動制限が解除された後でも「外食を再開しない」層は67.6%と過半数を占めています。

さらに、同調査によって明らかになった「生活者の利用頻度」と「外食再開意向」に基づき、野村総合研究所は各フェーズ毎に外食需要を数値化した推計を発表しています。

この推計によると、外食需要は「緊急事態宣言の解除後」のフェーズにおいては、新型コロナウイルス感染拡大前の水準の50.1%、「移動制限の全面的な解除後」のフェーズにおいては78.0%に留まっており、外食には依然として慎重な姿勢を崩さない消費者の意向が浮き彫りになりました。

顧客が飲食店に求めるコロナ対策

上記に加えて、「店内飲食を利用してもよいと思う店舗の条件(感染防止対策)(複数回答可)」に関する設問では、「店員の衛生管理(マスクの着用、手指消毒、咳エチケットなど)の徹底」が63.8%を占め最多となっています。

次いで「消毒や換気の徹底」(61.5%)、「利用者の衛生管理の徹底」(46.5%)と基本的な対策が続いており、店舗側だけでなく利用者側にも感染症対策が必要であると認識している結果となりました。

一方、「利用人数制限や座席の間隔確保等の混雑回避の徹底」も45.3%を占めるなど、ソーシャルディスタンスや3密対策についても重視していることが伺えます。

特徴的な点としては、項目を複数回答した割合が89.4%に上っており、さらにこのうち、5つ以上の項目を選択した回答者は、全体の38.2%にも上っています。特に、女性や高齢者の割合が高く、感染予防の対策に万全を尽くしている店舗かどうかが店舗選びの一つの基準となっていることが調査によって明らかになりました。

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ファストフード店のコロナ対策:テイクアウト・デリバリー強化など

飲食業が売上減少により苦境に立たされる中、注目を浴びたのはテイクアウトやデリバリーに注力した外食チェーンです。日本フードサービス協会が発表した「外食産業市場動向調査4月度」によると、全業態での前年同月比売上高は60.4%と大きく減少したものの、ファストフード業態は84.4%に留まっています。

中でも洋食ファストフードは、テイクアウトの需要が大きく増えて前年度と比較して102.8%と伸びを記録し、コロナで落ち込んだ外食需要に代わり、売上を下支えしました。

デリバリー実施と受取方法の変更で接触機会を減らす

「マクドナルド」は元よりテイクアウトやドライブスルーに注力していますが、コロナ禍という状況を鑑みて、最近では自社サービス「マックデリバリー」や、UberEatsによるデリバリー、また注文専用アプリから注文・決済できる「マクドナルド モバイルオーダー」などを導入しました。

このような非接触でのサービス提供への取り組み強化により、4月の客数は19%減であったものの売上は6.5%増という結果となっています。このように、外食の意向はあるものの、感染リスクを懸念する消費者心理を的確に捉えた施策で、マクドナルドは売上を伸ばすことに成功したと言えるでしょう。

ピザチェーン業界でも同様に、配達員と顧客の接触を避けるため非接触でのサービス提供を推進する動きがあり、「ドミノ・ピザ」は他ピザチェーンに先駆けて3月6日より「あんしん受取サービス」を、「ピザーラ」では5月7日より「置き配達サービス」を開始しています。

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コロナによって始めたキャンペーン

接触機会を減らした施策に加え、需要が急拡大したデリバリーやテイクアウトを主眼に置いたユニークなキャンペーン実施にも、各社が力を入れています。

「バーガーキング」を展開するピーケージャパンホールディングスは、5月1日からテイクアウト限定で、対象商品を注文すると2個目が無料になるキャンペーンを実施しました。

また、同じくデリバリー限定で、同梱されたレシピを参考に、好きな具材やソースを加え自分だけの本格バーガー作りが体験できるキット「COOKING BURGER @Home」の販売に着手するなど、外出自粛による巣ごもり消費を突いた施策により、売上拡大を図っています。

加えて、「ドミノ・ピザ」では一人暮らしターゲットを狙い、ピザ業界初となる「デリバリー最低注文金額」の撤廃を実施しました。コロナ禍で伸びているデリバリー需要を多方面から捉え直し、さまざまな新しい試みに取り組んでいます。

ウィズコロナ時代の宣伝

上記のようなサービスやキャンペーンの実施においては、外出を助長するプロモーションよりも自宅での自粛を促す対策が重要です。

「ドミノ・ピザ」では花見の時期に合わせ、2枚目が無料になる「ドミノ お家で花見」企画を実施し、公式YouTubeチャンネルでBGMつきの花見映像を配信しました。

さらに、ゴールデンウィーク期間中は、「おうちでゴールデンウィーク」と題し、デリバリー限定でピザが30%割引を実施すると共に、ZoomやLINEで使える背景画像を配布しました。

外出自粛による巣篭もり需要を好機と捉え、消費者のニーズを掴み商品訴求につなげるという施策は、今後のアフターコロナにおける重要な視座といえるでしょう。

3密回避などの店舗内でのコロナ対策

ウィズコロナにおいては、感染リスクを極力抑えた形でのサービス提供、および顧客への開示が必要不可欠であり、デリバリーなど店舗外でのサービスに注力の他、店舗内でも感染対策を徹底し顧客に訴求することも重要です。本項では、店舗内で実施可能なコロナ対策について解説します。

顧客への感染防止呼びかけ

これまでに「DAISO」や「カメラのキタムラ」、「ファミマプリント」などとコラボレーションで話題を呼んでいる「ガールズトレンド研究所」などで有名な、エンターテイメント事業を手がけるフリューは、「かわいいは高カロリー」がコンセプトのファストフード店「CHUBBY AIRLINES」1号店を、千葉県浦安市のイクスピアリ内にて7月9日、オープンさせました。

航空会社をイメージしたとされるフォトジェニックな店内には、雰囲気を壊さないようオリジナルデザインを配した飛沫防止用シートや、「NO密なお付き合い推奨。」などとユニークなキャッチコピーで、ソーシャルディスタンスを呼びかけるフットサインなどを設置し、世界観を保持しながらも感染予防を呼びかけています。

このような、デザインの一部として感染予防案内が組み込まれている店舗設計は、ウィズコロナを見据えた新しい生活様式を体現したものであると言えるでしょう。

店舗内での感染防止策と自衛策

安全な店舗運営という観点では、ソーシャルディスタンスなど顧客への呼びかけに加え、店舗の衛生環境維持や、店舗従業員自らも感染予防に気を配ることなどが重要です。

先述の「CHUBBY AIRLINES」では、フォトジェニックな顧客への感染予防呼び掛け実施の他、店舗入り口へ消毒液設置や座席などのこまめな消毒、定期的な店内換気に加え、混雑時の入店制限など、基本的なコロナ予防対策にも取り組んでいます。

また、従業員自らも感染予防に努めるため、マスク着用やこまめな手洗い・うがい・消毒などの徹底、施設入場時の検温や体温チェックなどを実施しています。

さらに、このような施策を実施するだけでなく顧客に発信し訴求することも、コロナ禍で外食に慎重な顧客を呼び込む上では欠かせません。

野村総合研究所の調査で明らかになったように、顧客の多くは「店舗におけるコロナ対策が万全であるかどうか」を注視しているため、店舗での対策を詳細に公開することで来店ハードルを下げる効果が期待できます。

大手ファストフードチェーンの「マクドナルド」では、「新型コロナウイルス感染拡大防止の取り組みとお知らせ」として特設ページを設け、店舗での取り組み状況詳細について顧客へ周知を図っており、今後ウィズコロナで安定した集客を見込むためには、このような施策に取り組むことが重要です。

販促ルートの多様化と同時並行で店舗の感染対策を

新型コロナウイルス感染拡大によって苦しい立場に立たされているファストフード業界ですが、収束の目処が立たない現在、販促ルートの多様化や店舗における感染予防対策を強化し、売上回復に努めることが急務です。

実施可能な策としては、大手ファストフードチェーンの「マクドナルド」や「ピザーラ」、「ドミノ・ピザ」などが取り組んでいる、非接触でのサービス提供が可能なデリバリーを強化するなどの施策や、店舗においては顧客への呼びかけ強化・従業員の体調管理の徹底などによる感染対策などが挙げられます。

また、「CHUBBY AIRLINES」のように、ウィズコロナを前提とした店舗設計も、今後の飲食業界においては需要が高まっていくと予想されます。

販促ルート多様化と店舗での感染対策の徹底、顧客への周知といった新しい店舗運営のあり方に、注目が集まっています。

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この記事の筆者

口コミラボ編集部

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