2019年10月1日に軽減税率制度が開始して1年が経ちました。品目によって税率が変わり、中でも飲食店では店内飲食かテイクアウトかで税率が変わることが大きな話題となりました。また同じ商品でも持ち帰ることでお得に食べられるということもあり、テイクアウトの需要も増加していました。
さらにその需要の増加の追い風になるように新型コロナウイルスの感染が拡大し、外出自粛やソーシャルディスタンスの保持といった影響から、テイクアウトの需要はさらに増加しています。
本記事では軽減税率制度の基本をおさらいし、注意すべき外食とテイクアウトの線引きについて詳しく説明したあと、実際にテイクアウトを導入するときのポイントについて解説します。
軽減税率の基本をおさらい
テイクアウト需要の高まりを利用してテイクアウトを始める際には、軽減税率制度についてよく理解しておく必要があります。飲食店ではどのような場合に軽減税率の対象になるのかなど、制度の対象や期間について具体的に解説します。
軽減税率とは
軽減税率制度は2019年10月から施行された税制度で、軽減税率の対象となる品目は10%への消費税増税後も税率が低く設定され、8%に据え置かれます。消費税増税によって消費者への負担が増加してしまうため、低所得者への負担を抑える目的で制定されました。
軽減税率の対象となるもの
軽減税率の対象となる品目は主に「飲食料品」と「新聞」の2種類です。
飲食料品では、スーパーやコンビニなどで販売されている飲食料品のほぼすべてにおいて軽減税率が適用されます。一方で「医薬品」や「生活必需品」といった飲食料品以外の品目に加え、飲食料品の中でも「店内で飲食した場合」や「お酒」などは対象外となります。
また、新聞で軽減税率の対象となるのは、週2回以上発行されており定期購読を契約している新聞に限られます。
軽減税率の対象にならない飲食料品
前述の通り、飲食料品の中には一部軽減税率の対象外となる品目があります。それが「酒類」「外食」「ケータリング・出張料理」です。
なお外食については、店内で飲食しないテイクアウトに関しては軽減税率の対象です。また食品と食品以外のものが一緒になって販売されている「一体商品」や「果物狩り」「潮干狩り」といった商品、サービスも軽減税率の対象外となります。
軽減税率はいつまで?
政府は軽減税率制度について永続的に続ける方針としており、実際に現段階で制度の期限は発表されていません。
軽減税率制度開始時から同時に実施されていたキャッシュレスのポイント還元策は2020年6月に終了したものの、軽減税率制度については期限を設けないことで低所得者の負担を引き続き軽減するとされています。
外食とテイクアウトの線引き
軽減税率制度の中でも特に明確に区別することが難しいと言われているのが、外食とテイクアウトです。
この線引きについて店内でのトラブルを防ぐためにも2つの利用方法の違いについて店舗側が把握し、その違いを店舗側が顧客にきちんと示す必要があります。
【軽減税率】テイクアウトとイートインの線引きは?飲食店が気をつけるべきポイントとは?
2019年10月1日より消費税が8%から10%へと引き上げられました。消費税の増税によって社会全体や国民にはさまざまな影響が出ると言われています。政府は増税による消費者の負担増加や景気悪化を懸念していくつかの施策を実施することを発表しており、その内の1つが軽減税率制度です。この記事では、軽減税率の概要、対象となる商品やシチュエーション、事業者における対策について解説します。軽減税率の概要2019年10月の消費税増税と同時に開始される軽減税率制度ですが、その内容には複雑な部分も多く、未だしっ...
外食(イートイン)とテイクアウトの区別のポイント
外食とテイクアウトを区別する際に、基準となるのが政府の発表している外食の定義です。
政府では外食の定義について「テーブル、椅子、カウンター等の飲食に用いられる設備のある場所で行う、飲食料品を飲食させるサービス」と定義しています。
実際に飲食店においてどちらの税率が適用されるかを判断する際には、「店内で飲食するための設備があるか」と「顧客が店内で飲食する意思があるか」が判断のポイントです。
飲食店で注文した料理を食べ切れず持ち帰る場合は、テイクアウトとはならず、軽減税率の対象外です。
またケータリングや出張料理については、政府は「顧客が指定した場所において行う、加熱、調理又は給仕等の役務を伴う飲食料品の提供」と定義しています。
なお有料老人ホーム等で提供される飲食料品や学校給食については軽減税率8%の適用対象です。
テイクアウトと言って店内で食べた場合は?
軽減税率の対象かどうかの判断は、購入時に顧客に確認した意思が基準となります。
購入時にテイクアウトである旨を申し出て、購入後に店内で飲食した場合、支払いの税率は8%なのにテイクアウトしていないことになります。
こうしたケースにおいて、顧客が購入時から気が変わったり、予定が変わったりした場合には罪に問われることはないと考えられますが、故意に嘘をついた場合は詐欺罪に問われる可能性があります。
顧客の中には新しい制度について把握していない人もいる可能性もあり、店舗ではトラブルを防ぐための対策が求められます。
トラブル回避策
テイクアウトした商品のイートインスペースでの飲食はお断りする張り紙などで注意を呼び掛けることで、軽減税率に関する顧客とのトラブルを防ぐことができるでしょう。
また容器を分けたり、注文窓口を分けたりといった対策を取ることで、店内飲食とテイクアウトをしっかりと区別することもできます。
注文の際に都度、顧客に意思確認をするのが一般的な対応ですが、顧客の大半がテイクアウト利用のコンビニエンスストアやスーパーなどでは、基本的には持ち帰りで税率を設定し、店内飲食をする場合にのみ申告を呼び掛けるというのも一つの方法です。
テイクアウトを始めるときのポイント
軽減税率制度の導入だけでなく新型コロナウイルス感染拡大の影響も受け、テイクアウトの需要は急増しています。
新たにテイクアウトを始め売上増加を図るには、いくつかのポイントを押さえなければなりません。商品の用意や具体的な準備について解説します。
高まるテイクアウト需要、売上比率を高めるのも一策
軽減税率制度開始後、需要が高まっていたテイクアウトですが、新型コロナウイルスの感染拡大を機にその需要がさらに急増しています。
口コミサイトであるぐるなびが2020年5月に実施した調査において、直近1か月でテイクアウトを利用した人は61.5%にも上ったことが分かっています。
さらに1か月前と比べてテイクアウトの利用回数が増加した人は40.1%、今後も増加しそうだと答えた人は32.4%もいました。
コロナ禍において外食業界は苦境に立たされていますが、業績が伸び悩んでいる店舗は売上におけるテイクアウトの比率を高めることも視野に入れて検討する必要があるといえます。
メニューの選定:テイクアウトに向いている商品とは?
テイクアウトの導入が重要になっているとはいえ、始めるにあたっては提供している商品がテイクアウトに向いているのかを正しく判断することも大切です。
例えば、店舗で人気があり、かつ家庭で作ることが難しいメニューはテイクアウト向きだといえます。
また、持ち帰ることやそのあとに食べるシーンを想定して、時間の経過とともに味が落ちないメニューであること、外でも食べやすいメニューであることなども考慮する必要があります。
最初からテイクアウト用に多数のメニューを準備するのは大変であり、リスクも大きいため、まずは1~2種類から始めて慣れていくというのも一つの手です。
専門機関の情報チェックや告知活動、容器の選定
テイクアウトは商品によって事前に販売許可が必要な商品があります。すでに飲食店営業の許可を取得している場合でも、開始前には必ず専門機関の情報を確認しなければなりません。
また、テイクアウト商品を提供するために必要な容器や調味料入れといった備品の準備も必要です。
ほかにもテイクアウトサービスを開始したことを顧客に知らせることも重要です。
店内にPOPを作成したり、ポスティング広告を配布したり、口コミサイトやGoogle マップでその旨を表示したりといった方法が考えられます。
さらに資金面においては、テイクアウトやデリバリーを新しく始める飲食店に対して政府や自治体が助成金を用意しているため、自店が付与対象となる制度を確認し、積極的に活用するとよいでしょう。
テイクアウトやデリバリーを始める飲食店が受け取れる助成金/限度額・補助内容・条件を整理
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テイクアウトは軽減税率8%対象、店側はわかりやすい表示などの対応を
軽減税率制度とは品物によって消費税率が8%か10%の2種類に分かれる税制です。飲食店において店内飲食は通常の10%の税率が適用されますが、テイクアウトでは8%の軽減税率が適用されます。
こうした新しい税制や新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、テイクアウトの需要は大きく増加しています。店舗では軽減税率制度への対応が求められているほか、コロナ禍でさらにテイクアウトやデリバリーへの対応が求められるようになりました。
これからの導入を検討している飲食店は、自店のメニューがテイクアウトに向いているか、テイクアウトメニューを提供するためにどのような準備が必要かなどについて十分な検討が必要です。
そして実際にテイクアウトサービスを開始する際には、税制度や専門機関の許可取得の要否などの細かい規定をきちんと確認し、把握しておくことが大切です。
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