コロナ禍での営業自粛などで打撃を受けている事象者に対し、政府や各自治体は経済活動の維持に向け、さまざまな支援策を設けています。
厚生労働省や各知自体のサイトなどで、随時補助金や助成金、給付金の制度を公表していますが、制度の新設や期間延長など変化が激しく、リアルタイムに把握しきれていない事業者も存在します。
本記事では、企業を支援する補助金と助成金について違いや申請手順などを解説します。
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補助金と助成金の違い
補助金と助成金、どちらも国や地方公共団体、民間団体などから支給されますが、支給する目的が根本的に違います。
補助金は、国策に関わり公益性が高い事業に取り組む企業に対し、支給する支援金で、助成金は雇用や研究開発の資金として支給されます。
このように支給目的が異なるため、対象となる事業者の条件や金額、支給タイミングも全く異なります。
1. 共通点/公的な資金が財源
補助金の財源は法人税になるため、法人税の滞納がある企業は申請する資格がありません。
助成金は企業が支払う雇用保険料が財源で、受給するためには、雇用保険の適用事業者であり、且つ滞納せず保険料支払っていることが条件となります。いずれも国や自治体から交付される公的資金で、返済は不要です。
2. 補助金は事業内容やプロジェクト・助成金は雇用や労働環境に焦点
補助金が公的資金から輩出されるのは、国として支援したい背景があるからです。日本経済の発展や社会課題解決のために実現したい政策があり、実現するにはその政策を推し進める企業の力が必要です。
よって、補助金の支給は、国策に貢献できる事業で、なおかつ公的な利益をもたらす事業か否かで判断されます。たとえば「IT導入補助金」は、政府の働き方改革やICT利活用を進める一貫で、ITツールの積極活用を後押しするものです。
助成金のうち雇用関係については、継続的な雇用確保や労働環境の維持、人材育成の支援を目的としており、事業内容は問いません。コロナにより売上げが一定割合減少した法人、個人向けの「雇用調整助成金」などが該当します。
3. 補助金は国策と事業の関連性が重要。採択率は低い傾向
補助金申請で行われる審査は、非常に厳しいと言われています。書類審査で事業計画を提示する必要がありますが、予定している事業内容と、国が掲げる国策との結びつきや貢献度合いが明確でなければ認められません。
実績ベースではなく、計画時点で申請するため、新製品や新サービスの開発でも具体性のある内容が必要です。
受給できる金額が高額ということもあり倍率が高く、採択率が5%に満たないものもあります。
<参照>助成金?補助金?名前は似ているけど、違うものなの?助成金と補助金5つの違いと2つの共通点 | 融資のことで悩んだら【資金調達ノート】
4.助成金は受給資格に合致すれば、採択率ほぼ100%
助成金は、支給資格の基準がクリアできていればほぼ採択される傾向にあります。
具体的には、雇用保険適用事業所かつ滞納していないこと以外にも、過去1年以以内に労働関連法規に違反していないなど、普段から雇用に関する適正な管理ができていることが前提条件となります。
助成金によっては業種や社員数などの条件が指定されている場合もありますが、一定条件を満たせば受給できるため、補助金に比べるとハードルは低いといえるでしょう。
5.申請期間や支給額の違い
補助金は公募が年数回と限られており、補助金予算が決定した後の3月~5月に公募が開始する傾向があります。
申請期間は1か月程度が一般的ですが、公募件数に上限があるため応募企業が多数の場合、締切が早まったり抽選などになる可能性があります。支給額は数百万~数十億円で、入金のタイミングは申請からおよそ1年後になります。
一方、助成金は年間を通して随時募集していますが、予算に達した時点で終了となるため、中には発表から2か月程度で受付を締め切るケースもあります。
支給額は数十万~百万円程度で、入金は申請から2~3か月後のものがほとんどです。
申請手順と注意点
補助金、助成金それぞれ申請から支給までの手順が異なります。また、注意すべき点もあるため、事前に把握した上で計画的な準備が必要です。
補助金の場合
補助金は、申請して、実際に事業を行った後に支給される流れです。
- 公募開始
- 申請書類提出
- 書類審査(場合によっては面接審査もあり)※1~3か月程度
- 交付決定(採択通知を受領)
- 事業実施
- 事業完了
- 支給申請
- 入金
支給対象は、事業全部か一部の費用となっており、具体的には市場調査費、原材料費、機械設備費、人件費、委託費、外注費などが該当します。
支給額は高額ですが入金は事業完了後なので、まず自社で投資金額を準備する必要があります。
補助金の受給が目的化し、過剰な設備の購入などで固定費が嵩み資金繰りが苦しくなる、といったケースにならないよう、長期的な視野で検討すると良いでしょう。
助成金の場合
続いて助成金ですが、入金までの流れはシンプルです。申請前に現地調査が必要な場合もあります。
- 公募開始
- 実施計画申請
- 実施
- 支給申請
- 入金
最初に実施計画を提出しますが、助成金ごとに異なる要件があるため、その要件を満たしたものを作成します。
公示されてから作成に着手すると出遅れる可能性もあるため、前年度の助成金内容を参考にし、予め準備を進めると余裕が持てます。
助成金の受給条件を意識して採用する人材を選んだり、基準値に合わせ従業員を無理に増員すると、非生産的な結果となってしまいます。
支援制度の目的と事業計画との関連性が重要
審査が厳しく採択率が低い補助金申請では、事業計画の内容が最も重要です。事業内容を具体化して落とし込み、社会的意義の観点でも説得力のある内容にします。
事業のスケジュール、市場ニーズ、競合と差別化できる特徴、必要経費、収支計画など漏れなくしっかり記載します。
前年の基準をベースに予め作成したり、概要レベルで公開された時点で大枠を作ったりすると効率的です。
助成金は、日頃から労務管理を徹底しているかが肝です。申請する前に、就業規則の整備や、労働条件通知書、労働者名簿、賃金台帳などの運用が徹底されているか改めて見直すと良いでしょう。
補助金や助成金の情報収集に便利なサイト
最近ではコロナ関連の補助金や助成金が増えていますが、例年募集するものから新たに追加されるものまで、支援制度は都度変わります。
リアルタイムに情報収集するためにも、検索サイトなどで最新の制度ラインナップをチェックできると安心です。
補助金ポータル
ウェブサイト「補助金ポータル」では、公募中の補助金や助成金制度を、都道府県や市区町村などの地域や、「テレワーク」「販路拡大」「観光・インバウンド」といったカテゴリ、フリーワードで検索できます。
締切日や支給金額でソートできるのも便利です。また、コラムでは最新の支援制度情報から注目の支援制度の紹介まで日々更新されており有益な情報を得られます。
質問に答え、自社にあった制度をピックアップしてくれる無料診断の機能もあります。
補助金ポータル | 使いたい補助金・助成金があるなら補助金ポータル
J-Net21
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従業員や企業経営のために、効果的な支給制度の利用を
コロナや気候変動、消費者ニーズの変化などで経営が厳しい事業では、日々の売上げアップや集客強化も重要ですが、国や自治体からのバックアップにも目を向けると、資金面に余裕ができ、選択肢が広がる可能性があります。
補助金と助成金では、目的や申請基準などシステムが異なるため、自社に合った制度や種類を選択し、チャンスを逃さず効果的に取り入れることが大切です。
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