観光DXとは、観光業界におけるデジタルトランスフォーメーションのことで、デジタル技術を活用して既存のサービスの品質を向上したり、課題を解決したりすることを目的としています。
DXは日本政府も推進しており、業界を問わず近年注目を集めています。観光業界においては、新たな観光体験としてバーチャルツアーを開催するなど、これからの観光業における可能性を含んでいます。
本記事では、DX導入の参考になるよう、さまざまな観光DX事例を紹介していきます。
旅行代理店・OTA(オンライントラベルエージェンシー)の観光DX事例
旅行代理店やOTA(オンライントラベルエージェンシー)も販売領域においてDXを進めているのでさまざまな事例を紹介します。
Trip.comはライブコマースで収益向上
Trip.comでは、Trip.com LIVEの放送で、旅行系YouTuberとのコラボをしたりするなど積極的にDXに取り組んでいます。
日本からの放送では、ワーケーションにぴったりのリゾート地の数々を視聴者に紹介しました。
ベルトラはバーチャルツアーの実施
世界中のツアーやアクティビティの予約を行っているVELTRAでは、家にいながら気軽にオンラインで海外や国内の旅行ができるバーチャルツアーを提供しています。
海外旅行では1時間半で2500円程度という低価格で楽しむことができ、さまざまなテーマに沿ったバーチャルツアーを提案しており、ガイドによる詳しい解説を聞きながら観光体験ができます。
JTBのスマートフォンアプリ「JAPAN Trip Navigator」
JTBが開発した訪日外国人向けのスマートフォンアプリ「JAPAN Trip Navigator」では、宿泊やツアーの予約機能はもちろん、観光情報の提供をし、旅行前から旅行中も一貫してこのアプリを活用することができます。
AI搭載のチャットボットによるサポート機能もあり、訪日旅行におけるさまざまな課題を解決することができます。
地域における観光DX事例
観光地でも、新型コロナウイルスによるニューノーマルに対応した観光DXを促進しています。
北海道・阿寒バス/オンライン「どこでもバスツアー」立ち上げ
阿寒バスでは、気軽に旅行気分を味わえるオンラインでのバスツアーを始めました。
バーチャルツアーではZoomを利用し、バーチャルで魅力を知ってもらい、旅行が行けるようになった時に実際に足を運びたいと思ってもらえるよう尽力しています。
ニセコ/AIチャットボットを導入で案内を自動化
ニセコでは、夏と冬とで繁閑期の差が大きいという課題を抱えています。このような課題を克服するため、通年で通用できる国際リゾートを目指しており、積極的にさまざまなDXを取り入れています。
BEBOTは、AIを活用したリアルタイムのコミュニケーションプラットフォームです。
ニセコではこのサービスを導入し、ウェブサイトでの観光案内や交通情報に加え、リフト運行情報、天気情報などを提供しています。利用者が直接自分のスマホでリアルタイムな情報を入手できます。
チャットを通じて旅行者のニーズや不満を把握し、データを基に対策をすることで、顧客満足度向上を目指し、再訪率を高めることができます。
ニセコにまだ来たことがない外国の方々にも、ニセコの魅力を伝えることにもつながります。渡航規制緩和後の旅行先の候補に入れてもらえるよう観光DXを活用しています。
凸版印刷とMEBUKUによる「クーポン付き音声ガイド」
凸版印刷とMEBUKUはそれぞれが提供するデジタルサービスを提携し、観光施設で対象の音声ガイドを利用すると周辺の観光施設や店舗で利用できる電子クーポンを配布するサービスを提供しています。
この提携により、観光客が1つの観光場所にとどまることなく、周辺の観光施設や店舗へ誘導することができます。
また、訪問先では配布した電子クーポンを利用した新たな消費を創り出すことが可能です。
多気町の「謎解き街歩き観光ガイド」や、「祈りの旅 熊野古道 女鬼峠」などの導入実績があります。
<参照>
凸版印刷とMEBUKU、観光DXサービスの実証実験を開始
VISITはちのへ「TXJ」導入で国内外の宿泊や商品の購買を促進
国内地方では、地域事業者の観光DX導入の遅れによる機会損失が大きな課題となっています。
その課題を解決するため、VISITはちのへでは、八戸地域の宿泊施設予約や商品購入をできるようにし、直接旅行者へ発信しています。
このシステムにより、VISITはちのへと地域事業者のWEBサイトに、決済機能が付随したオンライン予約機能が提供されるだけでなく、さまざまな海外旅行会社への接続が可能になります。
またこの導入で、予約ページのアクセスや予約状況が可視化され、顧客情報管理が安全に活用でき、リピーターの獲得、地域内の周遊、災害発生時の来訪者情報の把握などができます。
宿泊施設の観光DX事例
宿泊施設では業務効率化、利便性や顧客満足度向上を始め、コロナ禍でできる施策を中心に取り組んでいます。
神奈川県鶴巻温泉・陣屋の「陣屋コネクト」
老舗旅館「元湯 陣屋」では、倒産寸前の経営危機でしたがV字回復を果たしました。
Sales forceと提携し、最新のクラウド型旅館・ホテル管理システムを開発し、システムの効率化をはかっています。
近年ではホテル・旅館同士で人材や食材、情報などを交換し合うネットワーク「宿屋EXPO」を推進し、街全体での観光地域づくりに取り組んでいます。
<参照>
ニューノーマル時代の地域観光経営 第1回 持続可能な地域経済活性化~地域でお客様を創る
リッチモンドホテルは清掃ロボットを導入
リッチモンドホテルでは、国内全店にソフトバンクロボティクスの業務用清掃ロボット「Whiz(ウィズ)」を導入することを発表しました。
清掃作業員の人員・コスト削減で清掃の均質化・効率化を目標にしています。
主に館内の共有スペースにて導入予定で、ロボット導入によりコストカットをすることで、人間にしかできないおもてなしのサービスを集中的に向上を図ります。
ヒルトンの「ヒルトン・オナーズ・アプリ」
ヒルトンでは、自社グループのホテルを予約、チェックインなどが可能なアプリを提供しています。
ホテルに宿泊している間にも、ユーザーがさまざまなサービスをアプリから利用できるよう利便性を高め、顧客満足度に向上を目指します。
和歌山県熊野エリアのゲストハウス「WhyKumano」
和歌山県熊野エリアのゲストハウス「WhyKumano」では、オンライン宿泊サービスを提供しています。
SNSで開催日を発表し、利用者の都合が合う時に予約してサービスを利用することができます。
オンライン宿泊サービスではZoomを使用し、料金は一人1,000円です。
料金には、後日訪問時に使えるワンドリンクの代金が含まれており、訪問が可能になった際にオフラインでの来店を促進できます。
先進事例が、観光領域での自社商材DXの参考に
観光DXは、旅行代理店を始め、自治体、宿泊施設など、観光産業のさまざまな場面で取り組みの事例があります。観光DXの現場では、AIやユーザーのデータ、バーチャル環境を使った販売促進や、新しい旅の在り方が提唱されています。移動が制限される社会において、観光産業の維持と成長にDXは欠かせないでしょう。
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