観光庁は10月30日、「宿泊旅行統計」調査における9月の速報値を発表しました。
新型コロナウイルスの影響から宿泊業界は大きな打撃を受けましたが、最近では宿泊者数・客室稼働率ともに回復傾向にあります。
また、8月にはリゾートホテルなど高級ホテルに限られていたとみられるGo To Travelキャンペーンの効果が、ビジネスホテルなど低価格帯のホテルにも広がってきています。
本記事では、9月の宿泊旅行統計調査の速報値をふまえ、宿泊業界の最新動向やGo To Travelキャンペーンの効果について解説します。
宿泊旅行統計にみる、9月の宿泊業界
ここでは、9月の宿泊旅行統計から、宿泊者数と客室稼働率の動向について、以下で詳しく解説します。
9月の延べ宿泊者数:8月より減少も、前年同月比では回復傾向
9月の延べ宿泊者数は、2,555万人でした。8月の2,615万人と比べると減少しています。
しかし8月より9月の方が毎年宿泊者数が減少する傾向にあるため、前年同月比でみると回復しているといえます。延べ宿泊者数は8月の58.6%減から9月は47.6%減まで回復しているほか、日本人延べ宿泊者数は8月の51.8%減から9月は37.4%減まで回復しました。
一方訪日外国人の宿泊は21万人で、前年同月比97.4%減とほとんど回復がみられませんでした。日本は現在ほぼ全ての国からの観光客の受け入れを制限しているため、現在の外国人宿泊者は、ほとんどが日本在住の外国人に限られてしまっているためと考えられます。
訪日外国人の宿泊者数はいまだ回復しないものの、日本人宿泊者数はかなりの回復をみせています。背景として、19〜22日の4連休「シルバーウィーク」の後押しもあり、Go To Travelキャンペーンが継続して利用されていることが挙げられます。
観光庁が発表した「GoToトラベル事業」の利用実績によると、7月22日〜9月15日が約1,689万人泊だった一方、7月22日〜10月15日までで3,138万人泊となりました。9月中旬以降の1か月で、2倍近く利用者数が増加しています。この理由として10月から東京発着が対象となったことが大きいといえますが、9月も引き続き、Go To Travelキャンペーンが宿泊者数の下支えになっていることは間違いないといえるでしょう。
GoToキャンペーン効果、ビジネスホテルにも
9月の客室稼働率は全体で35.6%となり、8月の31.9%から3.7ポイント増加しました。
8月から9月の1か月間で、最も客室稼働率を伸ばしたのはビジネスホテルでした。8月の37.2%から、9月の43.9%に6.7ポイント上昇しています。
一方、最も客室稼働率が伸び悩んだのは旅館で、8月の28.9%から9月の29.2%に0.3ポイントの上昇にとどまりました。
8月までは、Go To Travelキャンペーンの効果は高級ホテルに偏っていたようですが、9月に入りキャンペーンが出張に利用されることが増え、ビジネスホテルが大きく稼働率を上げたと考えられます。
「GoTo」効果は"リゾートホテル"で顕著:8月宿泊者数はどこまで回復したのか【宿泊旅行統計】
観光庁では、国内宿泊施設における宿泊者数や客室稼働率などの数値をまとめた「宿泊旅行統計」を毎月発表しています。新型コロナウイルスの流行により大きな打撃を受けた宿泊業界ですが、最近では少しずつ回復傾向を見せています。今回は9月30日に発表された8月の宿泊旅行統計の速報値から、宿泊業界の動向やGo To Travel(トラベル)キャンペーンの効果について解説します。<注目ポイント>8月の宿泊者数は2,600万人超え、7月の1.2倍に回復8月の客室稼働率は32%超え、7月から2.5ポイント増加G...
ただし観光庁は今後、ビジネス目的のGo To Travelキャンペーンの利用を制限するとしているため、11月以降の動向には変化が表れるかもしれません。
宿泊業界の現状は?9月の宿泊業界を振り返る
9月の宿泊業界では、延べ宿泊者数が前年同月比で回復傾向にあったほか、客室稼働率は8月より3.7ポイント増加するなど、連休による旅行需要の高まりとGo To Travelキャンペーンの効果がうかがえました。
ここでは、9月の宿泊業界の動向として、東京対象のGo To Travelキャンペーンの予約開始、大阪で実施されたキャンペーン、宿泊旅行業の倒産概況について解説します。
Go To Travelキャンペーン、東京発着旅行の予約開始
7月22日のGo To Travelキャンペーンの開始時は、東京都での感染の広がりに鑑みて、東京発着の旅行はキャンペーンの対象外とされていました。
しかし、新型コロナウイルス感染拡大が一定程度収束したことを受け、9月18日から東京都を対象としたGo To Travelキャンペーン商品の予約が開始され、10月1日からGo To Travelキャンペーンの対象地域に東京都が正式に追加されました。
10月の宿泊旅行統計では、宿泊者数と客室稼働率のさらなる回復が期待されます。
「大阪の人・関西の人いらっしゃい!」キャンペーン、20万泊達成
大阪観光局では、新型コロナウイルスの打撃を受けた観光事業者を支援する目的で、6月中旬より「大阪の人・関西の人いらっしゃい!」キャンペーンを実施していました。
関西2府4県在住者は、大阪府内で1人1泊7,000円以上の特典付き宿泊プランを利用すると、じゃらんやホットペッパーなどの対象サービスにおいて2,500円分のポイントが還元される内容です。
大阪観光局は、予定していた20万泊を9月25日に達成したと発表しました。Go To Travelキャンペーンと併用可能な上、9月はシルバーウィークに客足が戻ったことから、キャンペーンの成果につながったと考えられます。
10月もGo To Travelキャンペーンと並行したキャンペーンが継続されることで、宿泊・旅行業のさらなる回復につながることが期待されます。
9月の旅行業倒産は4か月ぶり0件に
東京商工リサーチの調査結果によると、9月の旅行業倒産件数は、4か月ぶりに0件となりました。倒産が発生しなかった月は、今年に入って2回目です。
9月の宿泊業の倒産件数は9件と、3か月ぶりに前年同月(7件)を上回りましたが、四半期別にみると、4〜6月は51件だったのに対し、7〜9月は20件と徐々に落ち着いてきている様子がうかがえます。
7月から開始されたGo To Travelキャンペーンや、政府による各種助成金等の支援策が下支えした結果との見方ができるでしょう。
Go To Eatキャンペーンも本格始動、10月の宿泊者数は更に増加予想
9月の宿泊業界は、Go To Travelキャンペーンの浸透や大型連休の旅行需要の高まりも後押しし、日本人の延べ宿泊者数は14.4%回復したほか、客室稼働率は8月から3.7ポイント上昇するなど、徐々に回復傾向にあることが数値にも表れています。
10月からは、Go To Travelキャンペーンの対象地域に東京都が含まれるようになったことに加え、Go To Eatキャンペーンも開始されています。Go To Travelキャンペーンとの相乗効果で、さらなる宿泊・旅行業界の活性化が期待できるでしょう。
<参照>
観光庁:宿泊旅行統計調査 (令和2年8月・第2次速報、令和2年9月・第1次速報)
ーーGo To トラベル事業における利用実績について(7月22日~9月15日)
ーー事務局が対象商品として適切であると認めるか否かの 基準・考え方について
大阪日日新聞:いらっしゃい!20万泊到達 宿泊回復「大きな成果」
旅行新聞:20年度4~9月は71件 宿泊業の倒産件数、過去20年間で3番目 東京商工リサーチ
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