消費税増税時のキャッシュレス・消費者還元キャンペーンや、最近の新型コロナ感染防止策の一環としてなるべく人との接触を減らすという観点から、昨年末頃より日本でもキャッシュレス決済が普及し始めました。
そのような中、数多くのキャッシュレス決済の中で、ユーザーサイドの使い勝手の良さや、設置店舗数の多さで一歩リードしているのが「PayPay」です。
そこで本記事では、店舗の立場から、PayPayを導入するメリットや、具体的な手順について紹介します。
※2021年5月27日追記:PayPayはこれまで決済システム利用料について、無料で店舗にサービスを提供していましたが、2021年10月1日より有料になります。利用料率は8月31日に発表される予定です。
店舗にとってのPayPay
キャッシュレス決済には、以前から使われているクレジットカードやデビットカード、電子マネーやスマホ決済、さらにQR・バーコード決済など多様な方式があります。PayPayはこの中で、QR・バーコード決済に含まれます。
PayPayは、ソフトバンクとヤフーが設立したPayPay株式会社が運営する、スマホを使って支払いができるキャッシュレスサービスです。その一番の特徴は決済方法の簡易さにあります。
PayPayでの決済は、店側は購入金額を計算したら、ユーザーにカウンターに置いたQRコードやバーコードを読み込んでもらうだけで完結します。入金のタームがクレジットカードと比較すると格段に短い点も、PayPayの特徴のひとつです。
0円から始められる
PayPayの導入コストは、現在導入費用、決済システム利用料、入金手数料全て無料です。
このうち決済システム利用料が無料なのは、2021年9月30日までとなっています。
さらに入金手数料は、決済銀行にジャパンネット銀行を利用すると永年無料で、その他金融機関利用の場合は入金サイクルが当月末締め(月1回の入金)の場合は無料ですが、累計決済金額1万円以上で都度入金とする場合は105円(税込)の手数料が発生します。
こうした制度は加盟店を増やすための初期段階のキャンペーンのような側面もあるため、無料で加盟できる今のうちに加盟しておくのが賢明です。
最短翌日入金
前述の通り、入金の早さがPayPayの特徴の一つです。具体的には、ジャパンネット銀行を利用した場合は売上金額に関わらず自動で翌日入金、他行利用の場合には、最短翌々営業日に入金となっています。
また当月末締めにし、その分を翌々営業日(ジャパンネット銀行なら翌日)に入金するシステムもあります。しかしこの場合、210円の手数料が発生するうえ、キャンセル不可なので注意が必要です。
QRコードを準備するだけ
PayPayでは、2種類の決済方法が採用されています。
1つ目は、店舗に提示してあるQRコードをユーザーが読み取り、会計金額をユーザーが入力して店舗側が確認する「ユーザースキャン」です。そして2つ目は、ユーザーがQRコードを店舗側に提示して、店舗がQRコードを読み取る「ストアスキャン」(アプリ版使用の場合のみ利用可能)です。
ただし、決済手数料が無料となるのは、ユーザースキャン方式で対応した場合に限定されています。
■ユーザースキャンの手順
- ユーザーが専用アプリを立ち上げる
- スマホの画面にバーコードが表示されるので「支払う」をタップ
- バーコードとQRコードが表示されたら、「スキャンで支払い」をタップ
- カメラが起動するので、店のQRコードをスキャン
- 支払い金額の入力画面が表示されるので、支払金額を入力して「支払う」をタップ
- 店舗スタッフはユーザーに提示された「支払い完了」画面を確認
これで決済が完了します。つまり店側がレジ打ちを除き実際の支払い業務の中でやることは、QRコードを準備すること、そして支払い完了の画面を確認することだけなので、支払い業務の簡略化が可能になります。
手厚いサポート
PayPayでは、加盟店に対し、次のような手厚いサポートを実施しています。
- 24時間365日稼働の相談窓口の設置
- 不正取引が発生した場合、原則加盟店に取引金額の全額を補償
- 不正利用によるユーザーに損害が発生した場合にも、補償はPayPayが負担
- 不正防止をブロックする仕組みの構築と同時に、専任スタッフによる常時監視
使い方や不正利用の防止といった、店側が導入に際して特に不安に思う点に関し、手厚いサポートを実践しています。
PayPay加盟店になるメリット・デメリット
PayPayの仕組みを検証する中で、店舗側がPayPayに加盟するメリットがいくつか浮かび上がってきましたが、ここではより具体的に、店舗側がPayPayに加盟するメリット、デメリットについて紹介します。
メリット1:ユーザー数が多く集客につながる
2020年6月末日現在、PayPayの登録ユーザー数は3,000万人を突破しており、およそ日本国民の4人に1人がPayPayに登録していることになります。
キャッシュレス決済の場合、使い慣れてしまうと鞄からお財布を取り出すことが面倒くさくなるという人も少なくありません。
またキャッシュレス決済の先進国中国などでは、屋台で100円の焼き鳥1本買うにもキャッシュレス決済で、財布や現金そのものを持ち歩かない人が増えているともいわれています。
日本でもキャッシュレス決済の普及と共にそのようなユーザーは増加することが予想されています。そのようなユーザーは、店選びのポイントとして、必然的にキャッシュレス決済ができるか否かを重要視するようになります。
PayPayユーザーは、地図で簡単にPayPayを利用できる店を見つけられるため、PayPayに加盟してその地図に店舗が表示されるようになれば、集客につながります。
メリット2:マイストアで情報を配信
2019年11月より、PayPayでは加盟店向けのサービスとして「PayPayマイストア」の提供を開始しています。
PayPayマイストアは、イメージとしてはGoogle マイビジネスに近いもので、自店舗の情報を紹介する「ストアページ」を作成でき、そのページをベースに特売などの情報発信や割引クーポンの掲載などができます。
さらにユーザーが投稿したレビューやフォロワー数の確認が可能なため、顧客分析が簡単にできるようになり、マーケティング戦略にも活用できます。
デメリット:売り上げ金の管理が複雑
PayPayを導入しても、すべてのユーザーがキャッシュレス決済に移行するわけではなく、これまで通り現金決済するユーザーも少なからず残ります。
すると今まで単純に現金の出入りだけをチェックしていればよかった売上管理に加え、PayPayによる売上管理も必要になるため、売上金の管理が多少複雑になります。
さらにPayPayの売り上げは、Web上にある専用の管理サイトやスマホ用のアプリなどで確認する必要があるため、スマホやパソコンの操作、インターネットの扱いに慣れていないと、操作方法を理解するまでに多少時間を要す点もデメリットとして挙げられます。
PayPayの加盟店になるには
次に、実際にPayPayに加盟するための具体的な方法について紹介します。
申し込みから審査を経て、最短で申込みから1週間程度で利用可能になります。申し込みは基本として、オンライン上での申請になります。
導入手続き
- 加盟申請 PayPay加盟用の申請サイトから、業務形態・氏名・連絡先メールアドレス、連絡先電話番号を入力し、送信します。
- 申し込み案内メール受信 申請の際に入力したメールアドレス宛に、メールが送られてきます。そのメールに申込みフォームのリンクが記載されているので、リンク先に飛びます。
- 審査情報入力 申し込みフォームでは、メールアドレスといった個人情報、事業主や代表者、加盟店情報、入金金融機関情報、法人や本人確認書類、また業種によっては許認可証原本などを記入、添付し送信します。
- 審査 申し込みフォーム送信後、約2営業日で審査結果が登録メールアドレスへ届きます。
- 初期設定 審査の結果加盟の許可が下りると、登録住所宛に支払い用のQRコードなどを含む「PayPayコードキット」が送られてきます。
- 利用開始 初期設定完了後、PayPayコードを店頭に設置すれば、いよいよ利用開始となります。
アプリでよりスムーズに
PayPayでは、従来より決算管理システムとしてウェブ版の「PayPay for Business」を導入していましたが、加盟店の利便性向上を目指し、2019年7月より、加盟店向け決済管理ツールのアプリ版「PayPay for Business」のアプリ版をリリースしています。
アプリ版のリリースにより、加盟店では決済管理をスマホで手軽に行えるほか、アプリ版だけのサービスも利用できます。現在PayPay for Businessでは、次のような作業が可能です。
- 決済情報の管理
- 入金履歴の管理
- 返金対応
- ストアスキャンでの決済
- 登録口座の確認や情報の修正
この中でストアスキャンでの決済は、アプリ版のみで可能です。
決済情報や入金履歴の確認については、「今日」「昨日」「過去7日」など、特定の期間を設定してその間の決済状況や入金情報を確認できます。さらに登録されている口座情報の確認や、タップ1回でウェブ版に移行するだけで、登録情報の修正や更新も可能です。
そして便利なのが返金対応で、取引画面から返金する案件を選択して「返金する」ボタンを押すだけで処理が完了します。一部を返金する場合も同様で、返金金額を入力してから返金ボタンを押すだけで処理が完了します。これだけ多彩な機能を持ちながら、アプリの利用は無料なのも、嬉しいポイントです。
PayPayでキャッシュレス開始を検討
QRコード決済アプリ全体のユーザーは、2019年3月からの1年間で利用率12%から43%へと大幅に拡大しました。利用者のパイが広がったことは、それだけQRコード決済を導入することで、ユーザーの取り込みができるチャンスが広がったことを意味します。
さらにキャッシュレス決済は、それに付随する多様な機能を活用することで、ユーザーのニーズの吸い上げや、顧客情報の分析も手軽に行えます。ビジネスチャンスを逃さないためにも、もはやキャッシュレス決済の導入は個人商店にとっても急務な時代を迎えています。
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