ロシアによるウクライナ侵攻を受け、日本国内でロシア料理店に対するネット上での誹謗中傷、嫌がらせの被害が相次いでいます。
Googleマップなど、店や施設に口コミを投稿できるサービス上で、低評価の投稿とともに誹謗中傷や嫌がらせ、政治的な投稿を行うものです。
ウクライナ出身のオーナーの店舗でも被害が発生しており、Googleやその他口コミサイトの速やかな対応が求められています。
Googleユーザーによる「ヘイトクライム」ロシア料理店に嫌がらせ
今回、悪質口コミの投稿は3月1日頃から始まったとみられ、少なくとも25件のロシア料理店、スラブ料理店が被害に遭っています。
「美味しくなかった」「本当に最悪」「変な味した。人間肉?」などの口コミとともに低評価が投稿され、さらには兵士の遺体や兵士のIDらしきものなど、無関係な写真を同時に投稿する口コミも散見されました(※3月18日現在、一部はすでに削除されています)。
これらの書き込みは事実無根であり、人種、民族などに対する偏見、憎悪による嫌がらせである「ヘイトクライム」に該当します。
今回の悪質投稿、Googleの対応は
ヘイトクライムは個人や属性に対して行われる直接的な犯罪行為であり、そもそも倫理的に許容されるものではありません。
また、Googleが定めたガイドライン上においても、今回のような悪質な投稿は禁止されています。
Googleガイドラインで禁止されているコンテンツ
Googleのガイドラインに照らし合わせると、今回の口コミ・画像投稿は、以下のようなコンテンツに該当すると考えられます。
- スパムと虚偽のコンテンツ - 利用していない(店舗の商品・サービスを利用していない)ユーザーの投稿
- 関連性のないコンテンツ - 政治的な投稿
- 違法なコンテンツ - 露骨な暴力や不当な暴力を描写した画像
- 不適切なコンテンツ - 冒涜、不適切な言葉を用いた投稿
- 危険なコンテンツおよび中傷的なコンテンツ - 民族・国籍などに基づいて差別する投稿
これらの投稿をGoogleが発見、もしくはユーザーが報告した場合、Googleは投稿を削除します。
今回は明らかに料理店と無関係な投稿であることに加え、ロシアという国籍・民族の料理を扱っているからという理由で差別・中傷が行われているため、Googleからも極めて悪質と判断され、削除される可能性が高いでしょう。
実際に、投稿は3月18日現在、すでに削除済みとなっているものもあります。
<参照>
ローカルガイド ヘルプ:禁止および制限されているコンテンツ
口コミ炎上へのGoogleによる対処
その他、店舗・施設で多数の批判的な口コミが投稿される「炎上」状態に陥り、個別の口コミ削除のみでは対処できない場合、Googleは口コミ一覧のページや施設情報そのものをブロックし、閲覧不可にするなどの対処を行うことがあります。
たとえば11月、台湾で発生したGoogle口コミの炎上に伴い、Googleは該当の施設における口コミ一覧ページを閉鎖する対応をとっています。
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1万6,000件の炎上口コミが「消滅」…台湾Googleマップで起きた不可解な現象
不適切な投稿から店舗を守るには
もちろん今回のケースでは、ロシア料理店側には何も罪はなく、悪質口コミを投稿するユーザー側に問題があります。倫理的な問題はもちろんのこと、無関係な口コミによって、店舗本来の評価が正確でなくなってしまう点も問題といえます。
こういった炎上時にはGoogle側も何らかの対応をとることが多くなってはいますが、Google上の情報は膨大であり、すべてに対応してもらえるわけではないのが現状です。
そこで店舗側でも、評価に悪影響を及ぼす悪質口コミから店舗を守る「自衛」のような対応をとることは可能です。不適切な口コミについてはプラットフォーム側に報告し、その他のネガティブな口コミに対しても返信するなどの対応をとります。口コミ投稿のガイドラインや対応の方法についてあらかじめ理解し、どう対応するかを決めておくことが望ましいと言えるでしょう。
法的措置も可能
さらに、日本の法律に基づき、投稿者を特定することもできます。その後、
- 名誉毀損
- 営業権の侵害(営業妨害)
などを理由として損害賠償請求が可能です。
ただし、民事訴訟を起こすには、まずGoogleとプロバイダに対して発信者情報開示請求を行う必要があります。こうした手続きは、インターネット等の分野に強い弁護士に依頼して進めることが一般的です。
<参考>
Buzzfeed News:日本のロシア料理店に中傷相次ぐ。ネット口コミに兵士の遺体? ウクライナ出身オーナーも被害に
朝日新聞デジタル:ロシア料理店に中傷、グーグルが投稿削除 店主「戦争反対なのに」
弁護士ドットコムニュース:Googleマップに嫌がらせの書き込み…「ぼったくり」「タックル大学」代償は
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