八百屋の経営では、コンビニエンスストアや大型スーパーなど、他業態との差別化や口コミ発生の促進が重要です。
独自のサービスや八百屋にしかない魅力を押し出せれば、集客につながるでしょう。また、成功事例を知ることも経営のヒントになります。
この記事では、八百屋の市場環境と課題、集客方法、経営の成功事例を解説します。
八百屋の現状
集客を考えるうえでは、市場環境を分析する必要があります。需要と供給のバランス、八百屋が抱える集客上の課題を把握すれば、より効果的な対策ができるようになります。
以下では、八百屋の店舗数や、スーパー、コンビニエンスストアなどの競合業態との違いを解説します。
八百屋の店舗数
2018年に発表された総務省の「経済センサス‐活動調査」では、「野菜・果実小売業」の事業所数を公表しています。この調査によると2016年時点では、全国に18,397軒の八百屋・果物屋があるとされています。
さらに、2016年に発表された「経済センサス-基礎調査」では、都道府県別のデータも公表されています。調査によると2014年時点では、人口10万人あたりの軒数は高知県(30.49軒)で最も多く、滋賀県(6.64軒)で最も少ないということでした。
人口10万人あたりの軒数の上位には他に山梨県、山形県、長崎県、下位には愛知県、奈良県、埼玉県、大阪府が入っており、地方に多く都市部に少ない傾向です。
店頭以外での販売で利益を得ている
八百屋が商品を販売するのは店頭だけではなく、飲食店への配達販売も収入源の一つです。
飲食店では、食材の品質を維持する必要があるため、安価な大手の卸売業者でなく、個人商店を利用している店舗もあります。
大手業者は担当者の異動や発注システムの変更などのトラブルリスクもありますが、一方で個人商店では店主が受注から仕入れ、配達までを担っているため、窓口がわかりやすく信頼を得やすいというメリットがあります。
飲食店との取引は、八百屋の経営を支えるビジネスモデルです。
これからの課題
北海学園大学の菅原浩信氏は『青果小売店に求められる経営戦略と目指すべき将来像』の中で、八百屋の課題としてコンビニエンスストアやスーパーとの競争をあげています。
顧客層が広く、営業時間の長いコンビニ、品揃えの豊富な大型スーパーに対抗するには、八百屋ならではの「特長」が必要です。
有機栽培や生産者直送などのこだわり、顧客との積極的なコミュニケーションなど、他業態との差別化を図ることがポイントです。独自のセールスポイントを確立すれば、顧客の獲得につながるでしょう。
集客方法
市場や課題の把握だけでなく、集客方法も重要です。さまざまな選択肢から効率よく集客につなげられる方法を選ぶ必要があります。
集客を目指すうえでポイントとなるのは、顧客ニーズの反映です。以下では、八百屋が取り組むべき集客方法を解説します。
オリジナリティを出す
顧客と直接会話できることは八百屋の強みです。
会計を待つ人に商品の試食を勧めるなど、積極的なコミュニケーションを図るとオリジナリティを演出できます。
旬の食材を実際に食べおいしさを知ってもらえれば、購入につながりやすくなるでしょう。
試食には商品の宣伝だけでなく、顧客を退屈させない役目もあります。
また、店舗で扱う青果を使用したスムージーやぬか漬けなどを販売する方法もあります。
加工商品を販売する場合は、素材の味を活かせるメニューを選ぶことがポイントです。
常に美味しい状態を心掛ける
八百屋ならではの知識と経験を活かして、販売商品を常に美味しい状態にしておくことも大切です。
大根やトマトなど、収穫直後よりも数日置いた方がおいしくなる野菜は、すぐ店頭に出さずバックヤードで保存するのも良いでしょう。
商品の味は口コミに直結するため、食べ頃を見極めて販売することが重要です。
また、国産や減農薬など、顧客が安心して食べられる野菜の提供にも力を入れる必要があります。
常陽産業研究所の櫻井氏、水戸中央青果の菊池氏によれば、消費者は青果物を購入する際に
- 鮮度・品質
- 安全性
- 価格
の三点を重視しています。
これらの点を意識して店舗運営に反映できれば、顧客ニーズに応える店舗づくりにつながります。
居心地の良い店内
居心地の良い店舗をつくるには、顧客の視点から見ることが大切です。自分が顧客の立場で、どんな店舗なら不便なく買い物ができるかを考えると良いでしょう。
代表例は、商品を陳列する高さです。商品が高い位置に陳列されていれば、お年寄りの買い物や子どものおつかいには利用されにくくなってしまいます。
また、手書きのポップを用意することも効果的です。顧客とのコミュニケーションは大切ですが、中には買い物の最中にあまり話しかけてほしくない人もいます。
そのような顧客にはポップを通して多くの情報を提供できるよう、生産者の情報や商品の特徴を記載しましょう。
八百屋経営の成功例
集客に成功している八百屋では、独自の戦略に基づいて店舗を運営しています。
実例を知り、店舗に合った経営戦略の立案に役立てることが大切です。
以下では、東京都内を中心に成長している八百屋「旬八青果店」の取り組みを紹介します。
『旬八青果店』の取り組み
東京の五反田に本社を構えるアグリゲートは、2013年に目黒で「旬八青果店」をオープンしました。現在は都内に8店舗を展開しています。
旬八青果店は生産、流通、小売までを一貫して展開するビジネスモデル(SPA)を採用しており、八百屋としては異例の粗利率を維持しているといいます。
また、米国の自然食品スーパーを参考に、日本の顧客ニーズに対応する形へと変化させているそうです。
目利きには特に力を入れており、試食を重ねたバイヤーや店員は、顧客の野菜選びや疑問に対して的確なアドバイスをしています。
オリジナル弁当を販売
旬八青果店では、全国各地から仕入れた野菜を使用したお弁当、お惣菜を販売しています。
確かな目利きで選別された食材は高品質で、多くの野菜を摂取できる点が評価されています。
中には、1日の野菜摂取量の目安である350グラムの野菜を使用したお弁当も販売しています。
500円から700円ほどで、リーズナブルな価格設定をしている点も人気の理由です。
またお弁当やお惣菜の販売は、形の悪い規格外青果に新たな価値を与えるための施策でもあります。
これは、八百屋のノウハウを活かしてサービスを多様化させている例です。
イートインの導入
新橋の「新虎通りCORE」では、青果の販売だけでなく、イートインスペースを備えた「旬八キッチン&テーブル」を展開しています。
朝はおにぎりやスムージー、昼はお弁当や丼、平日夜や休日の昼夜はビュッフェとさまざまなサービスを提供しています。
ビュッフェでは、青果を使用した料理やデザートはもちろん、オリジナルのお酒も用意しており、豊富なバラエティが魅力です。
旬八青果店では、店舗で販売する野菜に興味を持ってもらうきっかけとして、お弁当やビュッフェなどを活用しています。
八百屋は口コミが大事
コンビニエンスストアや大型スーパーに比べて、営業時間や品揃えに限りがある八百屋の集客は簡単ではありません。
飲食店への配達など、店頭での販売以外に取り組む八百屋も多く、厳しい状況の中で利益をあげるために各店舗が工夫しています。
集客力を高めるには、八百屋ならではの知識やノウハウを活かすことがポイントです。
プロの目利きや食べ頃の見極めで商品の美味しさにこだわるだけでなく、情報量の多いポップや顧客とのコミュニケーションでオリジナリティを演出することが重要です。
また、店舗で仕入れた食材を使った加工食品の販売や料理の提供で、おいしさを知ってもらうことも大切です。店舗と商品の魅力を最大限に伝えれば、口コミの発生につながります。
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