【事例あり】日本全国のエール飯まとめ:自治体と市民が支援する飲食店応援プロジェクト

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別府市内で始まった「#エール飯」キャンペーンは、コロナで打撃を受けた市内の飲食施設を支援する取り組みです。北は北海道、南は沖縄まで、テイクアウトムーブメントを広げるに至りました。

ハッシュタグを付けて、料理写真をSNSに投稿するだけという手軽さに加えて、地元企業を巻き込んだ取り組みによって地域での一体感を創出することに成功した同キャンペーンは、SNSの持つ圧倒的な拡散力や、認知度向上への有効性を裏付けたともいえるでしょう。

本記事では、エール飯の発端となった別府での事例に加え、全国で実施されるエール飯の取り組みについて解説します。

エール飯とは

「エール飯」とはその名の通り、地元飲食事業者へのエール(支援)を送るという目的のもと、別府市で始まったキャンペーンです。

エール飯の取り組みが始まったきっかけと、キャンペーンの参加方法について解説します。

始まりは大分県の「別府エール飯」

今や全国にその規模を広げるエール飯ですが、元々は大分県別府市で始まりました。

「美味いは、コロナに負けない。持ち帰れ、別府の美味い飯。」をモットーに、テイクアウト利用の促進を図ることで、顧客を呼べない飲食店飲食店を利用できない顧客の両者を結ぶキャンペーンとして、別府市の支援のもと始動しました。

お弁当とSNSに投稿するとき使えるハッシュタグの「別府エール飯」の文字
▲別府市の取り組み「#別府エール飯」:公式サイトより編集部スクリーンショット

仕組み:飲食店と利用客が「#〇〇エール飯」でSNSに投稿

同キャンペーンへの参加方法はシンプルです。

飲食店側・顧客側双方が「#別府エール飯」というハッシュタグをつけて料理写真をSNSへ投稿するだけで、参加可能となっています。

所要時間はわずか数分という参加ハードルの低さ、手軽さが功を奏し、当初は「別府市民11万7,000人総出のSNSプロジェクト」に過ぎなかったものの、次第に全国へと展開されていきました。

「エール飯」のキャンペーンでSNS投稿をする手順
▲「エール飯」キャンペーン参加方法:公式サイトより

全国のエール飯まとめ

エール飯は、以下の地域で実施されています。

地方名

エール飯実施地域(基本的にハッシュタグの名称は「地名+エール飯」、例外はカッコ内表記)

【北海道】

室蘭、札幌、後志、白老、黒石、ニセコ(NISEKOくっちゃんエール飯)

【東北】

青森、弘前、八戸、五所川原、一関平泉、盛岡、奥州、名取、大仙、最上、白河、南会津、喜多方

【関東】

鹿嶋、水戸、茨城、栃木、足利、おやま、那須、群馬、蓮田、杉戸、岩槻、柏、印西、流山、かまがや、きみつ、富津、多古、立川、東村山、町田、東大和、東久留米、国分寺、清須、あきる野、福生、自由が丘、学大、瑞穂、昭島、青海、奥多摩、八王子、国立、新宿、羽村、相模原、厚木、湘南

【甲信越・北陸】

柏崎、三条、上越妙高、射水、小矢部、加賀、つばた、うちなだ、石川、坂井、駒ケ根、木曽、信州

【東海】

せき、静岡、牧之原、すそのん、藤枝、富士、富士宮、焼津、清水町、島田、吉田、函南、名古屋、東海市、碧南、豊川、西尾、奥三河、豊田、安城、刈谷

【近畿】

桑名、滋賀、上京、右京、長岡京、吹田、東大阪、柏原、西淀川、堺、大東、淀川、城東、東淀川、姫路、尼崎、加古川、北はりま、橿原、ありだ

【中国】

島根、松江、鳥取、津山、倉敷、浅口、勝英、いばら、東広島、下松、岩国、周南、光

【四国】

徳島、三木、安芸、松山(松山テイクアウト部)

【九州】

大川、あさくら、宗像、久留米、豊前、田川、うきは、篠栗、福津、岡垣、古賀、みやま、水巻、志免、九産大、かすや、おごおり、唐津、東彼、上五島、菊池、益城、別府、宇佐、中津、小林、都城、南さつま、鹿児島、枕崎、出水

【沖縄】

なは、宮古島、うらそえ

エール飯の全国事例

当初は別府市内のみに留まっていたものの、「エール飯」ムーブメントは現在日本各地へ広がっています。

本項では、とりわけ話題を呼んでいる「静岡」と「沖縄」の事例について解説します。

「別府エール飯」日本初の話題性、地域企業も協力し推進

エール飯元祖である「別府エール飯」は、Instagram上でのハッシュタグ付き投稿件数が1万件にものぼり、大きな反響を呼びました。

背景には、3月18日という新型コロナウイルス感染拡大初期に開始したことにより、話題性を呼び開始1週間でさまざまなメディアに取り上げられたことや、プロジェクトの盛況を受け、別府市が地元企業「テレビ大分」を巻き込み、新たに恩返しプロジェクトを始動させたことなどが挙げられます。

「#別府エール飯 スピンオフ企画 #別府エール飯の恩返し 桜プロジェクト」と題した同プロジェクトは、約100店舗の「別府エール飯」参加店舗が、4月4日・5日の2日間にわたり、テイクアウトを利用した市民へ対し、桜を1輪添えてプレゼントする、というものです。

地元企業を巻き込み、地域全体が一丸となって支援に取り組んだことにより成果を挙げた、好例であるといえるでしょう。

「静岡エール飯」インスタ映えグルメの店舗が多く参加

「別府エール飯」の広がりを受け、ハッシュタグ投稿件数が1万6,000件と、元祖以上に反響を集めたのが「静岡エール飯」です。

開始は4月と、別府に比べると遅いにも関わらず1.6倍の投稿数を誇っており、スイーツやカフェ、ハンバーガーなど「インスタ映え」する料理を提供する事業者の積極的な参加により、拡散効果が働いたと見られています。

また、地元企業の「しずおかオンライン社」が発行する女性向けフリーマガジン・webサービス「womo」に掲載されたことも、キャンペーン促進に寄与したといえるでしょう。

「沖縄エール飯」沖縄グルメが当たるキャンペーンで認知度アップ

6月に開始された「沖縄エール飯」は、沖縄の魅力を全国に発信すべく、約25万人のコミュニティで構成されているメディア「おきなわLikes」によって推進されています。

ハッシュタグ投稿件数は約1,300件に留まっていますが、6月時点での参加店舗数は300件を誇っているほか、Twitterの公式アカウントは6月創設にも関わらず、9月16日時点でフォロワー数は4,954人と、5,000人に迫る勢いで増加するなどじわじわとその影響力を強めており、今後のさらなる拡大が期待されています。

なお、現在は「沖縄の「美味い」が当たる!SNSキャンペーン」というプレゼントキャンペーンの実施によって知名度向上を図っています。

公式サイトではジャンルや地域で飲食店を検索できる機能に加えて、オンラインショップも併設しており、ハッシュタグの枠だけにとらわれず、さまざまなアプローチによって多角的かつ幅広い支援を実施しています。

エール飯はじめとした支援プロジェクトでウィズコロナに新しい売り上げを

新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛要請により、厳しい立場に立たされた飲食事業者ですが、このような事業者を支援しようという取り組みは全国に広がっています。

「#エール飯」はその話題性から地元企業をも巻き込み、Instagramで数万件以上の投稿にまで発展しました。

今後、飲食事業者が売上回復を図るためには、ウィズコロナ時代に求められている新しい生活様式への適応を図るとともに、このような支援プロジェクトの積極的な活用が鍵となるでしょう。

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