焼き鳥チェーン大手の鳥貴族ホールディングスは、2021年8月からチキンバーガー専門店「TORIKI BURGER」を展開すると発表しました。
本記事では、好調なファストフード業界において、鳥貴族が展開しようとしている戦略やその可能性について考察します。
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鳥貴族がハンバーガー事業参入へ
そもそも鳥貴族とは、首都圏・関西・東海地方を中心に約600店舗を展開している居酒屋系焼き鳥チェーン店で、298円(税込327円)の均一価格が売りのお店です。その安さから、学生から社会人まで幅広い客層から根強い人気を誇ります。
また、国産国消を目標に掲げている鳥貴族では、2016年10月に全フードメニュー国産100%を達成しています。
そんな鳥貴族は、3月の中期経営計画見直しにおいて、2021年8月頃からハンバーガー事業に参入することを発表しました。
新事業でも変わらずこだわりの国産食材を使用し、イートイン、テイクアウト・デリバリー、さらにはドライブスルーまで対応する予定だといいます。
1号店の候補地は東京23区内ですが、日本全国に展開予定で、将来的には海外進出も念頭に置いており、コロナ禍を生き延び「グローバルチキンフードカンパニー」となることを目指しているということです。
低調の居酒屋事業を支える。第3の新規事業開拓も視野に
鳥貴族ホールディングスが発表した1月までの半年間の中間決算では、売上高は前年比37.8%減の108億円、最終損益は8億2700万円の赤字という結果になりました。
もともと外食市場は競争の激しい業界でしたが、新型コロナウイルスによる消費者の外出自粛や、ディナー営業をメインにしている居酒屋では店舗の時短営業が大きな要因となりました。
低調な居酒屋事業を支えるため、まずは好調なハンバーガー事業との二本柱で展開していき、さらなる成長のため第3の新規事業も視野に入れています。
ファストフード業界はコロナ禍でも好調。ただし競争は激しい
居酒屋事業と比べ、ファストフード業界はテイクアウトによる夜間営業が可能となっており、またコロナ禍以前からテイクアウトやデリバリーを提供していたため対応しやすいという事情があります。
そのため外食市場全体と比べても大きな落ち込みがなく、コロナ禍でも好調な業績を保ってきました。
まずは、ファストフード業界大手3社(マクドナルド・モスバーガー・KFC)の既存店売上高を比較してみましょう。
マクドナルドの2020年12月期決算によれば、チェーン店を含む全店売上高は5,892億円で、コロナ禍でありながらも過去最高の売上を記録したということです。
売上高自体は業界1位のマクドナルドが圧倒的ですが、KFCは緊急事態宣言下でも前年同月比を大幅に伸ばしており、モスバーガーは唯一前年を下回ることなく着実に売上を上げています。
※既存点売上高 前年同月比のグラフは以下
コストを抑え低価格で美味しいメニューを提供するマクドナルドに対し、モスバーガーは長年ブランディングで差別化をはかっています。
国産野菜を多用するなど比較的高価格で、「高品質」「おいしい」というイメージで認知してもらえるようなメニューを開発しているのです。これがコロナ禍の「プチ贅沢ニーズ」を捉え、売上を維持することとなりました。
一方高い成長率を記録したKFCでは、マーケティングを強化しました。1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4〜5月には「GWパック」と題してテイクアウト用に「まとめて買える」商品を展開し、売上高が前年と比較して30%以上増と大きく伸びています。
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鳥貴族のハンバーガー事業、どう差別化はかる?
鳥貴族のハンバーガー事業「TORIKI BURGER」では、すべての食材を国産とする見通しです。モスバーガーと同様高級志向のブランディングで業界1位のマクドナルドと差別化を図るのか、それとも今まで通り低価格でも国産食材という鳥貴族の強みを活かすのか、気になるところです。
これについては価格帯をマクドナルドの100〜500円に置くか、モスバーガーの300〜700円に置くかで変わってくると考えられます。
鳥貴族のDNAでもある「均一価格」は継続していくとのことで、ファストフード業界大手で常時均一価格を採用している企業はないため、鳥貴族のネームバリューと合わせて話題を呼ぶことは確実でしょう。
さらにドライブスルーへの対応も注目すべき点です。デリバリー代行の場合別途料金がかかったり、店舗より高い値段設定になったりすることが多く、ドライブスルーに対する需要は一定程度あると考えられます。
ドライブスルーに対応するためには、車が入れるスペースや商品を届けるまでの導線を確保しなければなりません。開店前から対応が決まっているのであれば大規模な改装が必要なく、スムーズに導入できるでしょう。
第3、第4の事業は?
居酒屋事業、ハンバーガー事業に続く第3、第4の事業については、今後創出するという見通しのほかは発表されていません。
コロナ禍で好調な飲食業態としてはファストフードのほか、換気のよいイメージがある焼き肉店、もともとデリバリーに強い回転寿司などがあります。
ここからは推測にすぎませんが、焼き鳥を売りとしている鳥貴族として、「鳥専門」で焼き肉業態に参入するといった可能性はなきにしもあらずでしょう。
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コロナ禍で低調の業績を支えるべく、新たな事業に乗り出す鳥貴族。今後もその動向に注目です。
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<参考>
株式会社鳥貴族ホールディングス:中期経営計画の見直しに関するお知らせ