人には聞けない飲食店の廃業届提出方法|必要な届け出と注意点について

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帝国データバンクの調査によると、7月22日時点での「新型コロナウイルス関連倒産」364件のうち、「飲食店」が最も多い51件となっています。

緊急事態宣言は解除され、経済活動は元の状態に戻りつつあるものの、宣言下の長期にわたる休業や外出自粛要請の影響は大きく、廃業を決断する事業者は後を絶ちません。

一方で、廃業には開業時同様、さまざまな事務手続きを経る必要があるため、廃業時のトラブルを防ぐためにも、万が一の事態に備えて頭に入れておく必要があります。

本記事では、廃業時の必要な手続きと届け出の手順について解説します。

廃業届とは?

新型コロナウイルスにより大きな打撃を受けている業界は多数ありますが、飲食業界もその一つであり、事業継続の見通しが困難になっている事業者も少なくありません。万が一の事態に備えて準備をしておくことで、コロナ収束後に立て直しを図ることが可能です。

廃業届

「廃業届」とは、正式には「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」と呼ばれ、国税庁によると「新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続」を指します。

事業を始める際、さまざまな書類をそれぞれを管轄する行政機関に提出し許認可を得る必要がありますが、休業・廃業に関しても同様に廃業届を各機関に提出する必要があります。

届出によっては、提出を怠ったり提出期限をすぎてしまうと罰金が課せられるものもあるため、再度開業することになった場合に足枷となってしまわないよう、手続き内容を理解しておく必要があります。

新型コロナの影響による廃業

新型コロナウイルスの感染拡大に伴って、人々は外出自粛を余儀なくされ、世界全体が未曽有の事態に陥っています。特に飲食店は外出自粛要請によって国内外の観光客や友人・家族との外食のみならず、同僚や取引先など仕事関係の会食機会の減少により、売り上げが激減しています。

冒頭でもお伝えした通り、7月22日時点での「新型コロナウイルス関連倒産」364件のうち、「飲食店」が最も多い51件となっています。

政府の緊急支援もあるとはいえ、先行きの見通せない状況により閉店を余儀なくされる飲食店も出始めている一方で、不動産契約内容により閉店後すぐに退去することが難しいケースも多く、売上が上がらないにも関わらず負債だけが募っていく状況に、頭を抱える事業者も少なくありません。

各所への必要な届け出や手続き

開業に際しても様々な手続きが必要ですが、廃業にも必要な手続きがあり、怠ると不要な出費が嵩んだり、場合によっては罰金が科せられることもあります。

廃業する前に必要な解約通知

開業している物件が賃貸物件の場合は、賃貸契約の解除が必要であり、ほとんどの場合で「書面による」解約通知が義務付けられています。

しかしながら、解約申請から実際の解約までは「解約予告期間」として一定の期間を要し、テナントが事業用かつ飲食店舗物件の場合は、テナント所有者にに賃貸契約の解約を申し出てから3か月、あるいは長い場合は8か月後に解約となります。

そのため、この間はたとえ廃業後であったとしてもテナント料の支払いは発生するため、当初から余裕を持った資金計画を講じておく必要があります。

また、居抜きとして次の事業者にテナントを引き継ぎたい場合、次の事業者が決まっていない段階で明け渡しをしてしまうと原状回復工事の費用が発生する可能性も生じてきます。廃業時の費用を少しでも抑えるためにも、次の事業者が決定した段階でのテナント所有者へ告知が重要です。

各種行政機関への届出

飲食店の廃業に際しては、テナント所有者への解約通知提出に加え、保健所や警察署、消防署、税務署、電気やガス・水道などの公共機関への届け出も必要です。通知を怠った場合、処罰の対象となる場合もあるため、事前に確認しておくことが重要です。

まず、廃業から10日以内の届出提出が義務付けられているのは、保健所と警察署(深夜酒類提供飲食店営業の届け出を行い深夜営業をしていた飲食店が対象)となります。

また、スナックやキャバレー、料亭など風俗営業許可を取得して営業していた場合には、「風俗営業を廃止したとき」から遅滞なく認定証を公安委員会に返納しなければならない旨定められており、返納を怠ると30万円以下の罰金が科せられる場合があります。

さらに、税務署へ税金関係の書類提出も必要です。税金免除を目論み、提出を怠っていると税務署から直接通知が税金納入督促の書類が送付される上に、故意に納税を避けようとした悪質な行為だとみなされた場合は最悪の場合追徴課税となる場合があります。

具体的には、「個人事業」の場合は所得税申告に関しての廃業届が必要であり、事業を廃止した日か1か月以内の提出が義務付けられています。一方、売上高が1,000万円を超える「消費税課税事業者」の場合も同様、速やかな届出提出が必要となります。さらに、青色申告の承認を受けている場合は、申告を取りやめようとする年の翌年の3月15日までに手続きが必要になります。

加えて、消防署への届け出も重要です。開業時に届け出た「防火管理者選任届」について、廃業日を防火管理者の解任日として届け出る必要があります。

なお、電気や水道、ガスなどの公共機関は、基本料金の発生を抑えるため、廃業後ではなく廃業前のタイミングで前もって解約日を連絡しておく必要があります。

額が小さいからといって甘く見て解約を怠っていると、追徴金等が科せられる場合があるため、忘れずに手続きを済ませることが肝要です。

レンタル品やリース契約品など取引先への連絡

ビールサーバーやおしぼりウォーマー、有線放送などの音響設備やグリスフィルター、玄関マットなど、毎月代金を支払っているレンタル品は、返却の手続きが必要になります。

廃業時に誤って廃棄してしまうと、高額の弁償代金を支払わなければならないケースが存在するため、忘れずに返却することが重要です。

一方、厨房機器などリース契約による大きな設備は、契約内容によって処分方法が異なるものの、廃業時に契約が残っている場合は清算をした上で、返却が必要となります。

返却したからといって支払いが免除され残債がゼロになるわけではなく、また所有権はリース会社にあるため、独断による販売は不可とされています。契約事項を確認し、漏れの無いように留意します。

食材や酒類の仕入れ先にも連絡が必要です。しかし対応方法は業者によって異なり、売掛金の未収を防ぐため売掛金の締日を早める、または商品を現金と引き換えるよう要請されるケースが存在します。営業不振による廃業の場合は、ある程度要求に応じざるを得ないものの、事情を説明し理解を得られるよう努力をすることも重要です。

困難な状況を次につなげるために

廃業と一口に言っても、今まで事業として行ってきたことがすべて突然なくなるわけでありませんし、実際に廃業に至るまでには時間がかかります。

実際に廃業に至るまでにどのようなことをすれば、次の商機が巡ってきた際に機会を掴めるのか、そのポイントについて解説します。

廃業にかかる負担を軽減

飲食店廃業にあたってはさまざまな手続きや契約の処理が必要になり、それだけでかなりの費用がかかります。

さらに、不動産の賃貸契約には原状回復義務が伴うため、通常は多額の原状回復工事費用が必要となるものの、この課題を解決し得る策として今日注目を集めているのが「居抜きでの店舗売却」です。

「居抜き」とは、次に開業したいと考えている人が現在開業している方と近い内装を求めている場合、内装をそのままで譲渡することを指します。居抜き物件として譲渡することで、店舗物件の原状回復工事が必要なくなる他、リース契約をしている什器などは契約ごと譲渡することにより、面倒な処分の手間を省くことも可能となります。

さらに、有償で譲渡となったあかつきには、出費が嵩む中での収入獲得にもつながります。また、什器がリース契約等になっている場合、契約ごと譲渡することもできるので違約金も必要なくなります。

ただし、居抜き物件として譲渡するには物件所有者や管理会社の承諾が必要であり、物件と内装と什器それぞれについての様々な契約が輻輳することになるため、トラブル防止の観点でも専門の業者などの活用を検討すると良いでしょう。

顧客への挨拶

さらに、これまで店舗を贔屓にしていた常連客への挨拶も重要です。

急に閉店してしまうと顧客が無駄足を踏んでしまい、信頼を落としてしまうだけでなく、今後再度開業を決意した際にも、強い逆風を受けてしまう事態に発展しかねません。

電話やメール、SNSなどを活用した告知は、廃業前の再来店喚起にもつながります。再度開業をした場合も視野に入れ、顧客との長期的な関係維持に務めることは、廃業時こそ必要です。

廃業までの段取りこそ大切に

飲食業宿泊施設などの事業者へ暗い影を落とした新型コロナウイルスの感染拡大は、未曽有の天災ともいうべき状況ですが、たとえいったん事業を畳むことになったとしても、再建や事業再起は可能はゼロではありません。

債務を不必要に増やすことなく、きちんと事業を整理することで気持ちにけりをつけ、リベンジへの桎梏とせず、むしろ足掛かりにできるよう種を蒔いておくこともまた有効です。

第2波到来が囁かれている現在、事業者は万が一の事態に備え、万全に予防策を講じておくことが重要です。

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