新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令により、飲食店では休業や営業時間を短縮するケースが発生しています。外出自粛によって客足が減少するなか、テイクアウトのみの対応で営業を継続する店舗も見受けられます。今回は、コロナ禍における飲食店の営業実態をふまえ、営業短縮をどう乗り切るべきかについて解説します。
飲食店の現状
4月7日に発令された緊急事態宣言の影響で外出自粛が広まり、飲食店も営業自粛や営業時間の短縮などの対応に追われました。さらに緊急事態宣言が延長された今、飲食店の売り上げの実態や今後予想される状況について、解説します。
緊急事態宣言解除が進むものの、一部地域では引き続き延長
5月21日に開かれた政府対策本部では、大阪、京都、兵庫の関西2府1県では宣言を解除する一方、東京など首都圏の1都3県と北海道は継続する方針で閣議決定が下されました。さらに5月21日には東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県も緊急事態宣言が解除されました。
社会・経済活動の再開が段階的に開始される状況とはいえ、すぐに経済活動が元の水準に戻ることは現実的でなく、経済の本格回復は長期戦となる見通しです。
営業自粛や短縮によりすでに売り上げが大幅に減少している都内の飲食店は、先行きが見通せないなか、一段と経営が厳しくなると不安の声を上げています。
飲食店の売り上げは減少、閉店に追い込まれる飲食店も
飲食店リサーチは飲食店.COMの会員514名を対象に、新型コロナウイルスによる売上への影響に関するインターネット調査を実施しました。2020年3月の売上を昨年同時期と比較した結果、約8割の飲食店で売上が減少したことが明らかになっています。
売上が半分以上減っているという店舗は2割以上あり、コロナによる営業自粛・短縮の打撃の大きさがうかがえます。
政府が1か月ほど緊急事態宣言を延長したことにより、飲食店の中には外出自粛による客足の落ち込みで売り上げが減少し、休業を決断する店も出てきました。
飲食店の営業時間はどうなる?
緊急事態宣言の解除が進む一方、首都圏の1都3県及び北海道では継続となり、飲食店は引き続き営業時間の見直しを迫られています。ただし、地域によって自治体からの要請内容が異なるため、注意が必要です。自粛要請の現状をふまえ、実際の飲食店の対応状況について解説します。
緊急事態宣言を受け、営業短縮をもとめる自治体も
緊急事態宣言が発令された4月には、東京都・神奈川県・大阪府・兵庫県・福岡県は、営業時間を5時から20時までの間に短縮、酒類の提供は19時までにするよう要請されていました。宅配やテイクアウトサービスは、営業時間の短縮対象には入らないとしています。
5月14日に39県で緊急事態宣言が解除された際には、一部の対象地域で営業短縮の要請も解除されています。福岡県は、適切な感染防止対策を講じることを条件に、居酒屋や喫茶店といった接待を伴わない飲食店の休業と営業短縮が解除されました。
東京都や埼玉県では、営業時間を22時までとなっており、神奈川県では27日午前0時から飲食店の営業時間が22時まで規制緩和される予定です。
飲食店の営業再開や営業短縮の解除は、各自治体の判断によるため、常に最新情報を把握する必要があります。
自粛要請に応じる飲食店
飲食店.COMが、4月13日〜17日に596人の会員へアンケート調査を行った結果、休業・営業短縮を選択する飲食店が4割以上にのぼりました。
休業または営業時間の短縮要請の対象である飲食店は「営業時間を短縮する」が43.2%、「休業する」が40%と、自治体からの要請に協力的な姿勢を見せる飲食店が多いことがわかります。
すかいらーくやマクドナルドといった大手チェーン店においても、企業主体で地域ごとに営業を短縮し、宅配やテイクアウトで対応できる体制を強化するとしています。
営業短縮の損失はどうカバーする?
飲食店の営業短縮は、売り上げの減少に大きく影響するため、どのように損失をカバーするかどうかが鍵となります。今回は、政府や自治体からの支援を活用する方法と、営業形態をテイクアウトやデリバリーに転換させる方法を紹介します。
政府や自治体からの補償金・融資の活用
東京都は4月22日から、休業や営業時間短縮の要請に協力した飲食店に「感染拡大防止協力金」を支給するとし、申請受付を開始しました。支給額は、単独店舗の事業者の場合は50万円、複数店舗を持つ場合は100万円としています。なお、東京都では緊急事態宣言5月末までの延長に伴い、飲食店への協力金が再度支給されることとなり、6月17日より申請が開始される見通しです。(https://www.tokyo-kyugyo.com)
静岡県は4月23日、感染拡大防止策として飲食店などに休業を要請し、損失を補償する補助制度の概要を発表しました。上限額は1事業者20万円とし、市町が県内の飲食店や宿泊施設などに交付した経費の半額を助成する内容です。期間は、市町が交付対象にした日から5月6日までとしています。財政基盤の弱い自治体も、ためらわずに休業要請できるようにする狙いがあります。
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テイクアウトやデリバリーの利用
飲食店の営業を継続したい場合は、テイクアウトやデリバリーサービスの開始も有効です。
既に営業許可を受けている飲食店は、「店内で提供しているものをテイクアウト商品として提供する場合には、特別な許可や届出は必要ない」と保健所に判断されるケースが多いといえます。ただし、届出が必要になる場合もあるため、詳細は必ず店舗管轄の保健所に問い合わせる必要があります。
確認後は、テイクアウト用の簡易容器をインターネットなどで購入し、テイクアウトを始めたことを告知する看板やポスターを出すだけで、テイクアウト営業が開始できるため、売上減少に歯止めをかける有効な施策として活用が進んでいます。
また、Uber Eatsや出前館などのデリバリーサービスへの登録も1つの方法です。
4月15日の小池百合子都知事による記者会見では、飲食店が新たにテイクアウトやデリバリーサービスを始める際に、初期費用を支援することを発表しました。初期費用はサービスに使用する容器や店舗の改装などにかかる費用を想定しており、1事業者あたり最大100万円の助成金を支給するとしています。
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緊急事態宣言が発令されて以降、
補償や非対面営業を活用して短縮営業を乗り切る
緊急事態宣言に伴う営業短縮の要請により、売り上げの減少が著しい場合は、政府や各自治体からの補償を活用するほか、テイクアウトやデリバリーなどの非対面営業を実施することが可能です。
飲食店の休業や営業短縮の要請解除は、各自治体の判断によって異なります。緊急事態宣言が解除された地域でも、引き続き休業が要請される場合や、感染拡大防止策を講じることを条件に営業が許可される場合もあります。各自治体がどのような判断をするのか注視しつつ、補償や非対面営業の活用で短縮営業を乗り切る必要があるでしょう。
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