飲食店の引き継ぎ方法を解説|確認事項・注意点・必要な手続き

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加齢や経営難などの理由により経営をしている飲食店を手放すこと検討している経営者は、廃業ではなく家族や他人へ引き継ぐことで廃業させることなく経営を続けることができます。

最近では親族間で継承する事業者の数は減少傾向にある中、M&Aを利用して、外部から後継者を探すケースが増えてきています。

この記事では、飲食店を引き継ぐ際の流れや注意点、ポイントについて解説します。


事業の経営から退く際の方法3つ、譲渡、閉店、売却の違い

事業の経営から退く方法は大きく分けて下記の3つがあります。

  • 譲渡
  • 閉店
  • 売却

それぞれの方法にメリットやデメリットがあるため、自分の環境に合わせて引き継ぎ方法を理解しなければいけません。店舗の経営状況に合った引き継ぎ方法を選択することが重要です。

譲渡

譲渡とは、友人や知人、家族や従業員などに店舗を譲り渡すことを指します。譲渡のタイミングで経営者が変わるので、それまでに必要な手続きを完了させておく必要があります。

譲渡する側のオーナーは廃業届を提出し、引き継ぐ側は開業届を提出して手続きを進めます。

親から子どもに店舗を譲渡する場合には、子どもに無償で譲渡する場合は贈与税が発生するので注意が必要です。また子どもに譲渡する場合でも、オーナーである親は廃業届、譲渡先である子どもは開業届を提出する必要があります。

届出がないまま経営者の変更を行い営業すると無許可営業となり、2年以下の懲役刑や200万円以下の罰金が発生するので、これらの手続きは必ず行わなければなりません。

閉店

どうしても経営を続けることが難しく、引き継ぐこともできない場合は閉店を検討せざるを得ないかもしれません。しかし、閉店をするにも多くの費用が必要です。

業態や立地によって変わりますが、飲食店を閉店する際には主に以下のような費用がかかります。

  • 内装の解体費用(平均相場1坪あたり2〜5万円ほど)
  • 厨房機器やエアコンのリース代の支払い
  • 金融機関の借入金の返済
  • 解約までの期間の家賃

その他にも人件費や食材費などのうち、後払いとしているものも費用としてかかってきます。

また、法人として飲食店を経営している場合、解散費用や決算費用もかかります。

閉店の際にかかる費用を抑えるために、利用していた厨房設備をリサイクル業者に買い取ってもらったり、食器をオークションに出したりするのも1つの手段です。

売却、M&A

飲食店の経営から退く方法として「売却する」という方法もあります。売却の中には企業の合併買収を意味するM&Aという方法もあり、事業継続手段として注目されてきています。M&Aとは、他の会社を買ったり2つ以上の会社が合併することを指します。

M&Aによって飲食店を売却するメリットとして主に以下の3つが挙げられます。

  • 後継者がいなくても事業継承ができる
  • 経営者は譲渡益を得られる
  • 買収企業によって事業が発展する

売却する側としては、これまで培ってきた技術やノウハウを継承でき、従業員の雇用や取引先への影響も小さく抑えられます。

買収する側としても、すでに人材やノウハウが揃っている状態で事業のスタートが可能なため、これらの獲得に必要な期間やコストを削減することができます。

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引き継ぎ前の確認事項と注意点

飲食店の引き継ぎの際には確認しておかなければいけない点や注意点があり、事前にチェックしておかないとあとから大変な問題につながり思わぬ損失や契約違反などにつながる可能性があります。

これから飲食店の引き継ぎを考えている人に向けて、漏れがない引き継ぎをするための確認事項を解説します。

引き継ぎにかかる費用の確認

引き継ぎをするためにはまず、飲食店の引き継ぎにかかる費用の確認をすると良いでしょう。

借金や金利などの負債が残っていたりする場合もあるため、引き継ぐ前に未払金や負債の確認は欠かせません。

親族や友人に経営を引き継ぐ際はこうした確認が漏れてしまうことも考えられるので、しっかりと引き継ぎぐ際の費用についてチェックが重要です。

引き継ぐを行う際は事業継承を専門とする業者に相談するという選択肢もあります。

飲食店を経営していても、事業継承における知識を持っているケースは少ないため、自分で全てをやるよりも時間の短縮につながり、失敗するリスクも軽減できます。

専門の業者に依頼する場合は当然費用もかかるため、こちらも必要な費用として引き継ぎの準備を進めていく必要があります。

従業員や取引先への告知のタイミング

店舗の引き継ぎが完全に確定するまでは、従業員や取引先に事実を知らせないことも重要です。

引き継ぎに関して確定していない段階で従業員や取引先に知られてしまうと、従業員が退職したり取引先との関係が悪化する可能性があります。

そうした場合、引き継ぐこと自体が難しくなってしまいます。噂程度でも広まると不信感を持たれてしまうので、適切なタイミングが来るまでは一切口外しないことをおすすめします。

準備は早めに

引き継ぎの準備はできるだけ早く進めると良いでしょう。店舗の引き継ぎは単に届出を出して、経営に関する権利を譲渡して終わりではありません。引き継ぎ後も店舗が問題なく経営できることが大切です。

そのため、経営に関する権利だけでなく、店舗の経営に関する知識や経験についても引き継ぎ、十分にやっていけるだけの力を育てる必要があるため、想定より時間がかかります。

こうした引き継ぎをし、引き継ぎ相手を飲食店の経営者としてしっかりと育成させることができて初めて、引き継ぎが完了したと言えるでしょう。

引き継ぎに必要な手続き

ここからは、引き継ぎに必要な手続きについて解説します。

飲食店の引き継ぎにおいて、必要な手続きは多くあります。必要な資格や税金の確認など、どれも重要な手続きなので、引き継ぎ先と意思疎通を取りながら正確に進めることが重要です。

引き継ぐ際に必要な名義変更

飲食店の引き継ぐ際に、以下の内容において引き継ぎ先へと名義変更が必要です。

  • 営業許可証
  • 仕入先
  • 賃貸契約
  • 水道光熱費

経営している店舗が賃貸契約の場合は、前の経営者から引き継ぎ先の相手に店舗を譲る際に新たに契約を結ぶ必要があります。

そのため、引き継ぎ先が店舗の物件の貸主となります。しかし引き継ぎ相手が何らかの理由で賃貸契約ができない場合は、飲食店を営むことができないため注意が必要です。

賃貸契約が結ぶことができたら、次に飲食店営業許可書の名義変更も必要です。その際、再度保健所から許可の撮り直しを求められるので、引き継ぎ先は次に説明する食品衛生責任者の資格を取得しなければなりません。

他にも仕入先や現在使用している電気やガス、水道の契約の名義も変更が必要です。

飲食店経営に必要な資格

飲食店の経営において必要な資格があります。店舗を引き継ぐ側は、飲食店の営業に必要な、食品衛生責任者や防火管理者などの資格を持った人を配置させなければなりません。

食品衛生責任者は食品衛生上の管理や運営にあたる職務で、飲食店を営業する際に施設に1人は所属させなければいけません。飲食店の開業時にも食品衛生責任者の届け出を提出する必要があります。

防火管理者は30人以上の店舗を営業する場合に必要です。防火管理者には以下の2つあるので、経営する店舗の広さによって必要な資格が異なります。

  • 延床面積が300平米以上の場合:甲種防火管理者
  • 延床面積が300平米未満の場合:乙種防火管理者

防火管理者になるためには、消防署で行われる講習会を受講することが必要です。

税金の確認

引き継ぐ側は開業届を提出するだけで完了します。しかし、親から子へ引き継ぐことによって贈与税が課税される可能性があるので注意が必要です。

贈与税は、先代経営者の屋号付き口座や在庫商品、営業車両など、経済的な価値があるものすべてが課税対象です。

先代経営者が未払いにしていた買掛金や借入金などの債務は、引き継ぐ資産から差し引いた金額が課税対象となります。

贈与税には年間110万円の基礎控除があるため、贈与税は110万円以下であれば課税対象となりません。

また、20歳以上の後継者が父母や祖父母から贈与を受けた場合は、110万円を越えると特別贈与財産の税率が適用されます。

特別贈与財産の税率は以下の通りです。

110万円を超えた金額 税率 控除額
200万円以下 10% -
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 15% 10万円
600万円以下 20% 30万円
1,000万円以下 30% 90万円
1,500万円以下 40% 190万円
3,000万円以下 45% 265万円
3,000万円超 50% 415万円
4,500万円以下 50% 415万円
4,500万円超 55% 640万円

確認を怠らずに引き継ぎを

飲食店の事業から退く方法としては、「譲渡」「閉店」「売却、M&A」の3つの方法があります。必要な費用や手続きについては方法によって異なるので、ご自身にあった方法を選ぶことが重要です。

また、引き継ぎにかかる費用や取引先・従業員への告知など、引き継ぎの前に実施しなければいけないことも多いため確認が必要です。

あわせて、名義変更や必要な資格など、引き継ぎに必要な手続きについても確認しておかなければなりません。

飲食店引き継ぎのポイントや流れを覚えておき、引き継ぎ先にも負担をかけないように準備を早めに始めると良いでしょう。

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    口コミラボ編集部

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