福岡県を中心に鉄道・バス事業や不動産業、レジャー・サービス事業等を行う西日本鉄道株式会社(以下:西日本鉄道)は、株式会社mov(以下:mov)が運営する口コミサイトの一括管理ツール「口コミコム 」を活用し、Googleビジネスプロフィールを用いた店舗PRの実証実験を実施しました。
Googleマップ上での「反応数(※ルート検索や電話などのアクションを起こした数)」が施策前の544.44%を記録するなど、来店客数の増加につながる成果を得ています。また、Googleビジネスプロフィールを用いた店舗・サービスPRの実証実験は、鉄道会社としては国内初の試みです(mov調べ)。
今回は、実証実験を始めた経緯や実験の施策、成果などについて、西日本鉄道株式会社 まちづくり・交通・観光推進部課長 大田 隆さんにお話を伺いました。
実験を通して、口コミ活用の有用性を社内の「共通認識」に
ーー今回の実証実験の背景には、どういった課題があったのでしょうか。
課題として、コロナ禍でインバウンドの旅行需要が落ち込んだことで、国内の旅行者に向けた集客施策や、今後のインバウンド回復に備えた施策が必要になったというのが大きいですね。国内もインバウンドも共通して、潜在的な顧客に魅力を知ってもらう「種まき」のような取り組みが必要だと考えていました。
以前、アンケートで観光客が観光前にどういった行動を取っているのかを調査したところ、ほぼ全員がGoogleを活用していることがわかりました。
そのためGoogleビジネスプロフィールの情報整備や口コミ活用は、「コロナ禍の今できる施策」として、有用性を認識していたところです。
一方で、口コミを活用して集客・売上につなげるというのはやったことがないことばかりで、その有用性も、社内で「共通認識」と言えるまで共有できているとは言えませんでした。実際の現場で施策を試しながら、理解や学びを深める取り組みが必要だと感じていたんです。
そこでGoogleビジネスプロフィール・口コミ対策を専門とするmovさんにアドバイザーとしてお力を貸していただき、今回の実証実験を行いました。
Googleビジネスプロフィール活用の実証実験を実施
ーー実験では、どの店舗で、どういった施策を実施したのでしょうか。
今回西日本鉄道では、Googleマップ上の店舗情報管理ツール・Googleビジネスプロフィールを活用した集客力向上に関する実証実験を、パン・スイーツ専門店「ル プティパレ」と、土産物店「西鉄縁線駅みやげ」で実施しました。今回の取り組みは店舗側で口コミの有用性を認識し、自ら施策を回していくことが重要なので、その点でもご協力いただけそうな店舗を対象として設定しました。
最終的なゴールとしては、実験で得られたデータや知見を水平展開することで、各施設の集客力を底上げすることを目指しています。
施策としては
- Googleビジネスプロフィールの情報整備
- Googleビジネスプロフィールでの投稿
- Google口コミ投稿の促進
- 口コミへの返信
- 写真の投稿
など、必要な情報を整備するとともに、店舗の魅力を発信するような取り組みを行いました。
さらに、施策後の効果検証では、Googleマップ上の「検索数(※検索に表示された回数)」「プロフィール閲覧数」「反応数(※ルート検索や電話などのアクションを起こした数)」を確認しました。
特に「反応数」は、来店を見すえた積極的なアクションであり、「来店に最も近い数値」です。これが上がるかどうかが、かなり重要なポイントですね。
Googleマップの反応数、544.44%増!検索数・閲覧数も増加
ーー施策の効果はいかがでしたか?
はい。実験の結果、検索数は
- ル プティパレ:昨年同月比259.17%増
- 西鉄縁線駅みやげ:施策実施前平均比415.25%増
次にプロフィール閲覧数は
- ル プティパレ:昨年同月比173.81%増
- 西鉄縁線駅みやげ:施策実施前平均比668.16%増
さらに、反応数は
- ル プティパレ:昨年同月比173.75%増加
- 西鉄縁線駅みやげ:施策実施前平均比544.44%増加
と大きく向上しました!
ーーこれらの数字をご覧になって、いかがでしょうか。
情報を整備し、口コミの数や投稿の数を増やしていったことで、Googleマップの検索数や反応数なども目に見えて増えましたね。特に「来店に最も近い数値」である「反応数」が大きく増えたので、来店客数の増加にもつながったのではないかと思っています。
ーー実験を実施して、関係者の方の口コミ・Googleビジネスプロフィールに対する意識は変わりましたか。
最初は「何をやっていいかわからない」状態だったのが、現場で施策を回せるまでに成長しました。「やったことがないことをやる」ということに対してハードルが高いと感じがちなのですが、「やってみたらできるじゃないか」と自信にもつながりましたね。
また、取り組みを聞きつけた別の店舗の担当者が「具体的にどんなことをしているのかぜひ教えてほしい」と聞きに来たりしました。先ほどの「口コミ活用の有用性を社内の共通認識」にする」という課題の解決に、かなり近づいたと思います。
あらゆる口コミ施策が「口コミコム」で完結
ーー今回の取り組みでは、movが提供している口コミサイトの一括管理ツール「口コミコム 」を用い、施策を行っていきました。「口コミコム 」は実験においてどのように寄与したのでしょうか。
口コミ・Googleビジネスプロフィールの管理がこれ一つで完結するので、施策を実施するにあたって効率的に取り組めました。複数のスタッフが口コミ対応を行うような場合にも適していると思います。
また、口コミ投稿件数やGoogleマップへのアクセス数など、実施した施策の効果まで口コミコム 上で一度に見られるのが良いですね。
ーー実験では、KPI設定から施策の実施、効果検証まで、movが徹底サポートさせていただきました。サポート内容についてはいかがだったでしょうか。
まず、「口コミは大事」「こういうことが可能になるよ」といった「この実験を実施する意味」みたいなところから、現場の方々に繰り返し教えていただきました。
やはり実際お客さまと接するのは現場なので、現場の方々が口コミの有用性をわかっているかが本当に重要ですよね。
「本社にやれと言われたので仕方なく」というモチベーションではなく、「お店のためになるからやる」という気持ちでできたのは、movさんのおかげです。
また、実験を開始する前のKPI設定や具体的な施策の提案から、実験中の運用面のサポート、さらには効果検証までしっかりご支援いただいています。
先ほどの話にもつながりますが、最初「何をやっていいかわからない」状態だったのを、現場で施策を回せるようになるまでサポートいただきました。movさんがいないと今回の実験はできなかったと思っています。
今後はノウハウを「水平展開」し、グループ全体の集客力底上げへ
ーー今後はどのような形で口コミやGoogleビジネスプロフィール活用に取り組まれていくのでしょうか。
今後は、今回の実験で得たGoogleビジネスプロフィール・口コミ活用のノウハウを各施設へ水平展開し、グループ全体の集客力を底上げしていきたいと考えています。
今回は実証実験という形式で特定の店舗で取り組みを行いましたが、本来はあらゆる店舗・施設・サービスで口コミ活用やGoogleビジネスプロフィールの情報整備は可能ですし、お客さまにとって必要な情報を届ける上でもやるべきことですよね。
まだまだ本気で取り組んでいる会社が少ないからこそ、先んじることで優位性が生まれるのではないでしょうか。
今回の実験で得た成果を社内で共有し、Googleビジネスプロフィール・口コミ活用の重要性を「共通認識」とした上で、集客力の底上げに向けた取り組みを進めていきます。
※実証実験のさらなる詳細をご覧になりたい方は、以下のフォームからお問い合わせください。