ツァイガルニク効果とは、最後まで終わった物事よりも、中途半端なタイミングで終わった物事の方が強く記憶に残る現象を指しています。テレビCMやマーケティングの場面でも活用できます。
そこで本記事では、ツァイガルニク効果の基礎知識からマーケティングに活用できる事例まで、幅広く紹介していきます。
ツァイガルニク効果とは
ツァイガルニク効果とは、最後まで達成された物事よりも、達成できなかったことや中断している物事のほうが記憶に残る現象です。提唱したのは、ドイツのゲシュタルト心理学者であるクルト・レヴィンです。この考えに基づきソビエトの心理学者ブルーマ・ヴリホヴナ・ツァイガルニクが心理実験をおこない、1931年に実証されました。
ツァイガルニク効果は、別称ゼイガルニク効果、ゼイガルニック効果とも呼ばれています。
勉強や片付けを中断された際にキリがよいところまで進めてしまったり、恋愛で振られてしまった相手のことを考えてしまったりと、日常的な場面でもツァイガルニク効果が発揮されることがあります。
ツァイガルニク効果を証明した実験
ツァイガルニクは、- 複数のタスクを完了させてから次のタスクに移るグループ1
- タスクを全て中断して次のタスクに移るグループ2
に分けて実験を行いました。
全てのタスクが終了した時点で、行ってきたタスクにはどのようなものがあったかを質問すると、中断したグループ2がグループ1の2倍程度のタスクの内容を回答できるという結果になりました。
この結果からタスク完了前であれば内容が記憶に残りやすく、反対に完了してしまうと徐々に記憶から薄れていくという心理状態が証明されました。
ツァイガルニク効果は誘客の定番テクニック
動画の途中で流れてくる広告や、Webサイトを閲覧中に現れる広告の多くがツァイガルニク効果を利用しています。例えば「○○を飲むだけで痩せるダイエット!続きはサイトでチェック」という宣伝文句では、伝達されるべきメインの情報を隠すことで、続きを知りたくなる心理を煽っている広告例です。Webサイトに誘導したり、記事を読んで欲しい時に利用される宣伝方法です。
「冬物アウターセール情報更新しました!」というようなコピーをECサイトからのメルマガで目にしたことがあるのではないでしょうか。上述のケース同様、最も価値のある情報をあえて具体的に記載しないことで、ユーザーが知りたいと感じる効果を狙っています。
「家電量販店スタッフが語る『絶対に教えたくないお得情報』5つ」のようなタイトルでは、具体的な数字を出しつつ、肝心なことを隠す手法が用いられています。
これらのキャッチコピーでは、具体例を出さず、抽象的な表現と具体的な情報をバランスよくミックスすることで、ユーザーの関心をひきつける役割を果たします。
ツァイガルニク効果を利用したマーケティング事例
ビジネスシーンでもツァイガルニク効果は利用できるように、少し視点を変えるとマーケティングの面でも有効的な利用が行えます。1. 番組途中のコマーシャル
ドラマやテレビ番組でよく見られる手法の1つに、結末やクライマックスを先延ばしにするというものがあります。「衝撃のクライマックスは60秒後!」「CMの後はあの人気女優が生出演!」といった文句も、知りたい内容をCMなどで一旦遮断させ、視聴者に強く興味を持ってもらうツァイガルニク効果を利用しています。
特に連続ドラマやスペシャル番組などでよく使われており、CM間際に意味深な発言をする、ラストに大どんでん返しを持ってくるといった場面でもツァイガルニク効果が利用されています。
2. ニュースサイト・漫画アプリの試し読み
ニュースサイトやスマートフォンの漫画アプリでは、通常有料のニュース記事や漫画を途中まで無料で公開しているケースが多く見受けられます。この場面は途中までニュースや漫画を読んでいるので、続きが気になってしまうという心理を利用しています。
そのため有料のサイト会員になる、課金して続きの漫画を購入するといった購買活動につながります。
3. 開示する情報を制限した記事タイトル
記事のタイトルでは、あえて全てを伝えずに一部だけ切り取ってタイトルにするケースがあります。記事の中枢部分であるワードやポイントをうまく省いてタイトルにすることで、中身までしっかり読んでもらう、あるいはクリックしてもらうためにツァイガルニク効果が利用されています。
またSNSではInstagramの投稿のトップ画像に同様の手法が使われており、興味を引くタイトルを1枚目に投稿する方法も広まってきています。
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1. 疑問・課題を与えるメッセージを投げかける
記事タイトルや商品購入サイトでのうたい文句のような顧客の心を惹きつけるタイミングで、顧客が解決したいと感じる疑問や課題を同時に与えることができれば、受け手の興味関心を持続させることにつながります。具体的には、魅力的ととらえられる情報を提示しつつ、顧客が興味を持つ部分を隠します。
明らかになっていない部分に興味を持ったユーザーは、内容を知ることを自分にとっての課題として意識することになります。結果として、記事や商品購入サイトへ足を運んでくれるという流れです。
2. 「ペイウォール」を作る
ペイウォールとは、Webサイトの一部のコンテンツを有料とし、料金を支払ったユーザーのみがアクセスできるサービス体系のことです。元から有料のサイトやメディアは全てを有料とせず、一部のサービスや記事だけ無料で公開することで、有料コンテンツへの導線を作れます。
さらに無料の部分でコンテンツの質や自分が求めている情報が掲載されているかなど、ユーザー側で判断もできるため、双方納得のいく需要と供給が実現できます。
3. 情報を小出しにする
3つ目のポイントは、情報を小出しにして最後まで興味を持たせる手法です。メルマガ情報やSNSの公式アカウントを通じて、一度に全ての情報を伝えずに情報解禁日の提示をしたり、「詳しい情報はこちら」などとサイトへの誘導したりすることも情報を小出しにする手法に含まれます。
ユーザーに継続的に興味を持ってもらうため、メルマガの開封率や商品・サイトのリピート率なども向上します。
ツァイガルニク効果を活用して集客に役立てる
中途半端なタスクは記憶に残りやすいことを示したツァイガルニク効果は、仕事や人間関係、マーケティングなど様々なシチュエーションで活用できます。しかし一方で情報を小出しにしすぎてユーザーの心が離れていってしまうといった注意点も挙げられます。
情報を小出しにする手法はツァイガルニク効果では有効的ですが、情報をどの程度充実させるのかや、情報開示の頻度には気を付けて実際のマーケティング施策に役立てるとよいでしょう。
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