バタフライサーキットとは、Google社が新たに提唱した、消費者が商品やサービスを選択するまでの情報検索行動の一つです。
不可逆性のパルス消費と違い、「さぐる・かためる」を蝶のように繰り返す行動が特徴的です。
本記事では、バタフライサーキットとは何か、8つの潜在的なモチベーションをもとに活用方法を紹介します。
<参照>「さぐる」「かためる」を蝶のように行き来するバタフライ・サーキットとはなにか:バタフライ・サーキットと 8 つの動機 - Think with Google
バタフライサーキットとパルス消費の関連性
ここでは、バタフライサーキットの概念や由来、パルス消費行動とは何が違うのかなどを紹介します。Googleが提唱したバタフライサーキットとは?
バタフライサーキットとは情報検索行動の一つで、消費者が購買行動を起こすまでに「情報を探る」と「納得して意思を固める」の二つの行動を繰り返し、購入の気持ちを高めていくことを指します。従来の消費者の購買行動はAIDMAやAISASなどの逆流しないプロセスを前提に提唱されてきましたが、スマホ普及後からは購買行動もデジタル化しました。
オンラインで気軽に購買行動を起こせるため「パルス消費行動」という衝動買いのパターンが増加した一方で、2020年頃からパルス消費では説明できない事象が現れはじめました。
この事象をGoogle社は、パルス消費行動が起こるまでの情報探索へのモチベーション変化の一種だと仮定し、「バタフライサーキット」と名付けて調査しました。
つまり、バタフライサーキットとはデジタル化によって情報を自由に手に入れられるようになり、消費者が購買行動を起こすまでのプロセスがより複雑化した事象のことを指します。
さぐる・かためる
バタフライサーキットのような無秩序な情報探索行動には、8つの潜在的なモチベーションが存在します。さらに8つの潜在的なモチベーションは「さぐる」と「かためる」に分類されます。選択肢をさぐる場合は「情報収集を楽しみたい」「網羅的に知識を蓄えたい」「人気なものが知りたい」「自分しか知らない情報がほしい」などのモチベーションがあります。
一方、選択肢をかためる場合は、「自分の考えが正しいか確認したい」「問題を解決できる答えがほしい」「予測が合っているか確かめたい」「自分の選択が正しいと思い込みたい」などのモチベーションに分類されます。
8つのモチベーションで「さぐる」と「かためる」の分類を蝶のように行き来する、ということがバタフライサーキットの名前の由来です。
パルス消費行動とは?
パルス消費行動とは、バタフライサーキットとは逆の購買行動の一つで、瞬間的に購入のモチベーションが高まって購買行動を起こすことです。たとえば、ネットショッピングをしている際に直感で欲しいと思った商品を見つけ、比較商品を探さずに購入を完了させます。バタフライサーキットよりも直感的な買い物とされています。
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バタフライサーキットの5つのパターンとは
Think with Googleのアンケート調査によると、バタフライサーキットで購買行動を起こす消費者のパターンが5つあることが明らかになりました。1. 全方位型
情報検索から購入の決定までの間でまんべんなくバタフライサーキットをして、「さぐる・かためる」両方のモチベーションのバランス良いパターンです。さまざまな情報が入手できる環境では自然にとられるパターンの一つで、バタフライサーキットをしている中で魅力的な商品に出会うとパルス消費に移行する傾向があります。
2. 主観型
全方位型のようにまんべんなくバタフライサーキットをします。「情報収集を楽しみたい」「網羅的に知識を蓄えたい」のモチベーションの割合が多い一方で、「人気なものが知りたい」「自分しか知らない情報がほしい」のモチベーションが極端にありません。これは日常的にモバイル検索をする消費者にみられるパターンで、他人の評価や口コミはあまり参考にせずに、自分のセンスを大事にしているタイプです。
3. 慎重型
慎重型は、バタフライサーキットをして購入したい商品を決定し、実際に店舗へ足を運んで購入するパターンです。情報をオンラインだけに頼らない消費者に多く、友人や店舗スタッフのおすすめを参考に商品を選びます。情報探索のモチベーションも「網羅的に知識を蓄えたい」「問題を解決できる答えがほしい」の割合が比較的大きく、買い物に対して慎重な姿勢です。
4. 真面目型
真面目型は、慎重型と真逆でオフラインからオンラインに購買行動を起こすパターンです。雑誌や友人からのおすすめなど、オフラインで得た情報で購買意欲が刺激され、そこからオンラインでバタフライサーキットを開始します。情報探索のモチベーションは「網羅的に知識を蓄えたい」「問題を解決できる答えがほしい」「心づもりさせて」「予測が合っているか確かめたい」の割合が大きく、自分が購入する商品をしっかり学んでおきたい傾向にあります。
5. 瞬発型
瞬発型はバタフライサーキットを楽しみ、その中で出会った感覚を重視した購買行動で、ピンときたら専門サイトに移動し、そこで確信を得られたら購入します。購入までがスムーズな一方で、購入決定後に自分の選択が正しかったのかを気にする傾向にあり、情報探索のモチベーションも「予測が合っているか確かめたい」「自分の選択が正しいと思い込みたい」の割合が大きいです。
バタフライサーキットを意識した施策
ここでは、バタフライサーキットの概念や性質を理解したうえで、どのようにマーケティングに活用できるのか、いくつか施策アイデアを紹介します。ターゲットを絞り過ぎない広告
バタフライターゲットで「さぐる・かためる」を繰り返す消費者をターゲットにする場合、より範囲を広げた広告が必要になります。一般的な広告は関連性や検索者の関心をターゲットにした広告が効果的とされてきましたが、この場合はバタフライサーキットをする消費者との接点を持ちづらいです。
バタフライサーキットやパルス消費行動による消費者の実態から考えると、より範囲を広げて接点を持つ機会を増やすための広告が必要になるでしょう。
オウンドメディアを運用
バタフライサーキットをする消費者との接点を増やすための方法として、オウンドメディアの運用も有効な手段の一つです。ただし、購入や申し込みの時に訪問してもらうだけでなく、情報収集のためにサイトを訪問してもらえるような運用が必要です。SEOやSNSの運用などといった施策も必要となってくるでしょう。
オウンドメディアは自社のブランドや商品の認知度を高め、ファンになってもらうことでリピーターを育成できる可能性があります。
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消費者自身が「欲求」に気づく仕組み
ほとんどの消費者は自身の購買行動を意識して買い物をしません。自身の欲求を認識できるシステムを組み込めば、消費行動に結びつく可能性が高まります。たとえば、バタフライサーキットをする消費者へ再アピールするために、リコメンド機能やリターゲティング広告を活用する方法があります。
消費者に対して「潜在的に欲しかった商品がわかる」「やっぱり自分にはこの商品が必要だった」という認識に改めさせ、バタフライサーキット中に再立候補できる可能性が生まれます。
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検討段階における行動パターンが多様化している
バタフライサーキットをする消費者の行動は「さぐる」と「かためる」に分類できますが、その情報探索のモチベーションパターンや目的はさまざまです。全ての消費者が必ずしもバタフライサーキットの原理にあてはまる行動をとるわけではありません。そうはいっても、バタフライサーキットという言葉が生まれたように、消費者の購買行動はより多様化して複雑になっていくことが予想されます。今向き合うべき消費者の行動原理について理解することが大切です。
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