セーフティネット保証とは、自然災害など突発的な原因で経営が不安定となった中小企業が、信用保証協会から通常とは別枠で融資を受けられる制度です。
新型コロナウイルスの感染拡大により、経営困難に陥っている中小企業が増えていることから、2020年3月よりセーフティネット保証4号、5号が発動されています。
現時点で、セーフティネット保証4号の指定期間が12月1日まで、5号の指定期間が1月31日までとなっているため、今から申請してもまだ間に合うと考えられます。
そこで本記事では、セーフティネット保証制度の概要や、申請方法について解説します。
セーフティネット保証制度とは?
セーフティネット保証制度とは、自然災害などの原因で経営が不安定となった中小企業が、信用保証協会から通常の保証限度額とは別枠で融資を受けられる制度です。セーフティネット保証制度には1~8号までありますが、新型コロナウイルスによる経営不振は突発的災害に起因した売上高減少であるため、セーフティネット保証4号に当たります。また、現在業況の悪化している業種に対する救済措置である、セーフティネット保証5号も発動しています。
4号では借入債務の100%が保証され、5号では80%が保証されます。最大で無担保8,000万円、有担保2億円の保証の利用枠があります。
セーフティネット保証制度の条件
セーフティネット保証4号の条件は、以下の2つです。
- 指定地域で1年以上事業を継続していること
- 災害等の影響を受けたあと、「最近1か月間の売上高等」が、前年同月比で「20%以上減少」していること
かつ、「その後2か月間を含む3か月間の売上高等」が、前年同期比で「20%以上減少する見込み」であること
セーフティネット保証5号の条件は、以下の2つです。
- 最近3か月間の売上高などが前年同期と比べて5%以上減少していること
- 製品等の原価のうち、20%以上を占める原油等の「仕入れ価格が20%以上上がっている」にもかかわらず、「価格に転嫁できていない」こと
また、セーフティネット保証5号の対象となるためには、指定業種に属する事業である必要があります。指定業種はこちらから確認できます。
セーフティネット保証制度の指定期間
セーフティネット保証制度4号は2020年12月1日まで、5号は2021年1月31日までが指定期間となっています。セーフティネット保証制度のメリットとデメリット
セーフティネット保証制度は低金利で融資が受けられ、審査が通りやすい一方、あくまで融資であるため返済の必要があるというデメリットがあります。以下では、セーフティネット保証制度のメリットとデメリットを詳しく解説します。
メリット:低金利で融資が受けられる・審査が厳しくない
セーフティネット保証制度を利用するメリットとしては、まず、一般の融資よりもかなり低金利で融資が受けられる点が挙げられます。保証料率はおおむね1%以内と定められています。また、困難にある企業を支援する制度であることから、審査が通常の融資ほど厳しくなく、一定の基準に適っていれば融資を受けられます。
他にもメリットはいくつかあり、たとえば追加融資ができること、保証人がいらないこと、遅延金の支払いの必要がないことなどが挙げられます。
デメリット:あくまで融資。返済の必要がある
セーフティネット保証制度を利用するデメリットとして挙げられるのは、この制度を利用しても借金がゼロになるわけではなく、信用保証協会に融資元が移るだけだということです。またこの制度を利用すると、既存の融資を代位弁済してもらえますが、一時的に銀行口座が凍結されてしまうこともあります。
セーフティネット保証制度の申請方法
セーフティネット保証制度の対象となる中小企業は、本店などの事業所所在地の特別区または市町村の商工担当課等の窓口や、郵送、Web申請などにて、必要書類を提出します。必要書類
法人の場合の必要書類はおおむね以下の通りです。- 認定申請書(指定様式)
- 売上高が比較できる書類(指定様式)
- 履歴事項全部証明書
- 委任状(代理申請の場合のみ)
個人の場合の必要書類はおおむね以下の通りです。
- 認定申請書(指定様式)
- 売上高が比較できる書類(指定様式)
- 直近の確定申告の写し
- 委任状(代理申請の場合のみ)
各自治体によって必要書類や部数は異なる場合があるので、必ず自治体の公式サイトなどで事前に確認しましょう。
申請方法
郵送またはWebで申請します。手順は以下の通りです。
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必要書類を事前に準備する
必要書類一覧の「1.認定申請書」や「2.売上高が比較できる書類」など指定様式が準備されている書類は、自治体のWebサイトよりダウンロードして記入します。
Web申請の場合は、準備した書類をスキャンしておきます。書類をスマートフォンで撮影したものをアップロードする方法でも可能な場合がありますので、自治体のWebサイトで確認すると良いでしょう。 -
書類に漏れがないかどうか確認し、送付
手続きをより迅速に進めるためにも、書類漏れがないようにしましょう。自治体のWebサイトにチェックリストが用意されている場合は利用するといいでしょう。
Web申請の場合は、自治体のWebサイトにアクセスし、申請ページから必要書類をアップロードし、必要事項を打ち込めば申請完了です。 -
自治体の書類審査→認定書をもらう
自治体によって、郵送の場合と本人が役所まで受領に行かなければならない場合があります。
受領に行く際には、本人確認ができる運転免許証やマイナンバーカードなどの身分証を忘れないようにしましょう。
<参照>
中小企業庁:セーフティネット保証4号の概要