情報収集手段のひとつに「インタビュー」があります。他者の話を聞き、必要な情報を的確に引き出すためには下準備が欠かせません。
本記事ではインタビューに関する基本的な情報、インタビューとヒアリングの違い、インタビューを成功さるためのコツや手法を解説します。
インタビューとは?
まずは言葉の定義をはじめとした、インタビューの基本情報を解説します。
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情報を得るために人と会って話を聞くこと
インタビューとは、情報収集や仮説検証を行うために他者から話を聞くことを指し、基本的にインタビュアー(質問する側)とインタビュイー(回答する側)の対話形式で行われます。
インタビューの目的は「相手から話を聞くこと」そのものである場合が多く、インタビュー自体がコンテンツ化され、記事や動画など、何らかの形で発信されることがほとんどです。インタビューで収集した情報から、テーマに対する新しい気付きや見方を生むことが期待されています。
似て非なる「ヒアリング」
インタビューに似たものとして「ヒアリング」があります。
インタビューの目的が「話を聞くこと自体」であるのに対し、ヒアリングは、すでにある別の目的のために、他者の考え方や情報などを聞き出して詳細を明らかにしていく手法を指します。内容の精度を高めることが重要であるため、ヒアリングはさまざまな人を対象に複数回実施されることもあります。
インタビューのコツや心掛けておくこと
インタビューは、インタビュイーがいてこそ実施できるものです。有益な情報を引き出すには事前の準備が大切です。ここではインタビューを実施する上でのコツや心掛けておくべきことを解説します。
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インタビューする相手を紹介してもらう
インタビューを成功させるためには、テーマに適したインタビュイーを見つける必要があります。テーマにふさわしい人物が知人ではない場合、紹介をお願いすることになります。
たとえば業界に精通したベテランにインタビューしたい場合、自身の知り合いの中でもっともそのベテランに近しいと考えられる人を訪ね、紹介を依頼するといいでしょう。まったくの初対面でアプローチをかけるよりも、共通の知人から紹介を通じて連絡をとることで、相手に不審がられることなくスムーズに依頼を受けてもらえる可能性が高まります。
下準備は念入りに
インタビューはインタビュイーの時間を拘束することにもなるため、相手にとってその時間が無駄なものとならないよう、念入りな下準備をすることが大切です。
特にやっておくべきことは、事前の質問リストの作成と、全体のタイムラインの意識です。
限られた時間の中でインタビュイーから欲しい回答を引き出すためにはどんな質問が適切か、緊張せずに話してもらうためにはどんな順番で質問を投げかけるべきか、といった全体の流れまでも想定しておきましょう。
インタビュイーについて調べておくことはもちろん、業界やインタビューのテーマについて事前に調査し知識を蓄えておくことも大切です。インタビュイーの経歴はもちろん、執筆歴があればそれも事前に目を通しておき、考え方や価値観などを知った上でインタビューに臨みます。
また、回答を引き出すだけでなく、相槌を打つなどのリアクションで話しやすい環境を整えることも意識するとよいでしょう。
多角的な質問を投げかける
インタビュイーの中には、質問に対してシンプルに回答する傾向が強い人もいます。
情報の裏をとるためだけなら「はい」「いいえ」で回答できるような質問を投げかけることもありますが、インタビューでは、インタビュイー自身の言葉で回答を得ることに意義があります。自身の言葉で答えやすくなるよう、多角的な質問を投げかけることが大切です。
ひとつの事象に関する質問でも、過去のこと、現在のこと、未来のことを問うのでは回答が異なるように、ひとつの物事に対して様々な角度で質問を投げかけてみましょう。インタビュイーの言葉を引き出しやすくなり、物事の全体像や本質が見える、深みのあるインタビューにつながります。
インタビュー手法4選
最後に、代表的なインタビュー手法を4つ紹介します。テーマに沿った回答をインタビュイーから引き出すために最適な手法を実践してみてください。
1. 構造化インタビュー
引き出したい情報や聞きたい回答が明確な場合には「構造化インタビュー」を実践してみましょう。あらかじめ設定した質問内容を、決まった文言で決まった順番で質問していく手法です。
インタビューはその場の流れなどで追加の質問が発生する場合も多いものですが、構造化インタビューではそれを避け、事前に決められた通りに進行していきます。
初心者やインタビュアーを務めることに苦手意識を持っている人は、インタビュイーを前にすると、緊張して十分に質問できなくなってしまうこともあります。そこで事前に決定した質問リストに沿って回答を得ることで、漏れのないインタビューが進行できます。
単調な回答とならないよう、質問内容はインタビュイーの言葉の引き出しやすさを意識しましょう。決定した質問事項を事前にインタビュイーに渡しておき、目を通してもらうという方法もあります。
2. 非構造化インタビュー
「非構造化インタビュー」は、質問内容を一切決めない状態で「対話」を行うインタビュー手法です。
明確な回答は必要なく、相手との深い議論を交わしたい場合や、インタビュイーに関する事前情報がなく質問内容が明確に決められない場合、明確な答えを引き出すことよりもじっくり話すことを優先する場合などに適しています。
インタビュイーには「インタビューをしたい」という依頼よりも、「話を聞かせて欲しい」といったニュアンスで依頼することで、かっちりとした構造化インタビューとは違う対話の場を設けることができます。
特にインタビューに慣れていない方や年配の方などから話を聞く際に有効な手法で、インタビュイーの気持ちや興味関心を意識し、相手の話を引き出していきます。相手に合わせて質問を投げかけていくため、一言ずつ聞き漏らさず観察しながら対話を進めます。
3. 半構造化インタビュー
半構造化インタビューは、構造化インタビューと非構造化インタビューの間に位置する手法です。
押さえておきたい質問事項を事前に固めておきつつも、実際のインタビューの流れに応じて、当初は想定していなかった質問を織り交ぜていきます。確実に聞きたいことが数項目しかない場合や、インタビュイーから想定外の回答も引き出したい場合などに適しています。
半構造化インタビューは多くのインタビューで実践されている手法です。質問がしっかり決まっている構造化インタビューでは相手の話を深掘りできない可能性があり、質問がまったく決まっていない非構造化インタビューでは聞きたいことが十分に引き出せない可能性がありますが、半構造化インタビューはそのどちらにも対応することができます。
ただインタビュイーによっては、話が盛り上がらず相手の言葉が引き出せなかったり、逆に話が盛り上がりすぎて脱線してしまったりする懸念点も挙げられます。
4. フォーカス・グループ・インタビュー
テーマや目的に該当する複数の人に対してインタビューを行う手法です。
たとえば「学校教育」をテーマにしたインタビュー記事を作成したい場合、いくつかの学校の教師や教育委員会の職員などを集めます。彼らに質問を投げかけ、対話してもらいながら回答を引き出すことで、多様な情報を収集します。
フォーカス・グループ・インタビューは、1人の回答ではなく、テーマに関係する様々な視点から回答を得たい場合、回答者同士の議論を通じて新たな発見を得たい場合などに適しています。
多くの人の回答が得られる一方で、数人のインタビュイーを集めるため謝礼金の準備や時間調整が必要になります。ほかにも秘密保持の徹底や話題が大きくそれたときの軌道修正など、インタビュアー側の負担が大きい手法でもあります。インタビュアーは進行役に徹し、全員がそれぞれ言いたいことを発言できているか、発語のコントロールやタイムキーパーを務めます。
ただ、インタビューに慣れていない人たちを同じテーマの元で集めて発言の場を設けることで、緊張がほぐれ、自然と発言が増えていくことが期待できます。
人の意思決定のほとんどは、周りの人々との会話を通じて形成されていきます。フォーカス・グループ・インタビューは回答者たちが他の回答者との交流を通して発言や議論を交わすことで、インタビュアーはより共通性の高い正確な情報を得られます。
取材対象などに合わせて手法を選択
インタビューは、得たい回答や引き出したい情報、インタビュイーの性格や人数などによって、適した手法が異なります。
いずれの手法も、成功させるためのコツは共通しています。インタビュイーやインタビューテーマについて事前に情報収集し、事前に質問やインタビューの流れを想定しておくなど、インタビュイーに失礼のないよう進行しましょう。
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