ハロー効果は、ある事象を評価する際、その事象が持つ特徴に評価が引きずられてしまう「認知バイアス」の一つです。
マーケティングなどビジネスの分野でもハロー効果は応用されており、代表的な例としては「多くの消費者に信頼されている有名人をCMに登場させる」といった手法が上げられます。
評価の高い人や物を宣伝に取り入れることで、商品そのものに対する評価の向上も期待されるハロー効果ですが、ハロー効果ではある特徴が強調されるがために製品がもつ他の特徴の印象が薄らいでしまうというデメリットもあります。
本記事では、ハロー効果の特徴や定義のほか、ハロー効果をマーケティングに応用する方法・注意点を紹介します。
ハロー効果とは/認知バイアスの一種
ハロー効果とは、ある事象を評価する際、その事象が持つ特徴に評価が引きずられてしまう認知バイアス(偏見や先入観)を表した言葉です。
アメリカの心理学者、エドワード・ソーンダイクが1920年に提唱しました。
この項目では、ハロー効果の概要や、ハロー効果のポジティブ・ネガティブ面、事例を紹介します。
ある際立った特徴が、全体の印象を左右
ハロー効果の「ハロー」は、神や仏の背中から放射するとされる神秘的な光を意味する「ハロー(halo)」の意味です。
人がある事象を評価する際に、その事象がもつ特徴的な点が、全体に対する評価を左右するさまを、後光のように広がり大きな影響力を発揮することになぞらえてこのように呼ばれています。
ポジティブ・ネガティブに分けられる
ハロー効果には「ポジティブ・ハロー効果」と、「ネガティブ・ハロー効果」と呼ばれるものがあります。
ポジティブ・ハロー効果は、評価の対象となる物や人に備わっている特定の項目の評価が高いと思われる場合に、その項目以外の評価も釣り上げてしまうことを指します。
一方、ネガティブ・ハロー効果は、評価の対象となる物や人がもつ特徴が低い評価を受けている場合、それ以外の項目の評価も低くなってしまうという現象です。
ハロー効果の身近な例
ハロー効果はマーケティングなどのビジネス分野で意図的に応用されているほか、日常生活においてもハロー効果といえる例が見られます。
身近なハロー効果の例としては、ある会社では英語力と仕事内容に関係がないにもかかわらず、TOEICが高得点な社員を優秀な社員だ判断してしまうことや、日本の会社が作った製品のCMに外国人俳優や女優が出演していると、その商品が海外でも使われているような印象を受けるといった現象が挙げられます。
マーケティング現場に見られるハロー効果
ハロー効果をマーケティングに応用するには、広告に有名人や3Bを活用する、口コミを活用するといった方法が考えられます。
この項目では、ハロー効果のマーケティングへの応用方法を紹介します。1. 有名人や「3B」起用の広告
商品やサービスのプロモーションは、ハロー効果を応用した戦略だとも言えます。プロモーションを介して商品やサービスに良い印象を与えられれば、消費者の興味・関心を引き出したり、企業に対するイメージの向上にもつながります。
企業のプロモーションにおけるハロー効果の活用例としては、ターゲットとなる購入者層が好感を持つ有名人にCM出演を依頼するといった手法が挙げられます。購入者が好感を持つ人物に商材をすすめさせることにより、商材に対しても好意が向けられやすいといったハロー効果が見込めるためです。
また、「3B」と呼ばれる属性に当てはまる人や物を活用することで、ポジティブなハロー効果を促しやすくなるとも言われています。
3Bは「Beauty」「Baby」「Beast」の頭文字からなる用語で、それぞれ「美しい人」「赤ちゃん」「動物」という意味です。
多くの人は可愛らしい物や綺麗な人にポジティブなイメージをもちやすいため、3Bのいずれかに当てはまるモデルはハロー効果を促しやすいと言われています。
2. 一般人の口コミにも影響力がある
有名人やモデルを起用したプロモーションの他に、一般人が投稿する口コミもハロー効果に活用できます。
口コミには店舗やサービスを評価するもので、ハロー効果がポジティブに働くか否かは口コミの内容によって左右されます。
良い評価の口コミが多い場合、これらを見た消費者は「これだけ多くの人が高評価を出しているから、良い店に違いない」と、店舗やサービス全体をポジティブなイメージでとらえるようになります。
悪い口コミについては、それへの対応をセットで消費者に確認してもらうことで、誠実さを印象づけることができます。
こうした、新規顧客の開拓に役立つ口コミを集めるには、マーケティングに力を入れてサービス利用者の母数を増やしたり、話題性を高めるたりするほか、来店時に口コミを書いてもらえるようにさりげなくお願いをするといった方法があります。
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ハロー効果をマーケティングに応用する際の注意点
ハロー効果をマーケティングに応用する際は、ポジティブ・ハロー効果を意識することや、ターゲットの嗜好を分析することが求められます。
この項目では、ハロー効果をマーケティングに応用する際の注意点を紹介します。
1. 実際の品質と乖離しないように注意
ハロー効果には、上述したようにある特徴につられて評価対象全体の評価を上げる「ポジティブ・ハロー効果」と、ある特徴につられて評価を下げてしまう「ネガティブ・ハロー効果」の2種類があります。
企業がプロモーションに活用するのは「ポジティブ・ハロー効果」です。有名人をプロモーションに起用する以外にも、宣伝で商品やサービスの効果を前面に出すことにより、製品のデメリットの印象を和らげることができます。
ポジティブ・ハロー効果を取り入れる上での注意点としては、ポジティブな効果の強調を意識しすぎて、実際の特徴からかけ離れたキャッチコピーにならないよう気を付ける必要があります。
消費者からの信頼を得るには、よい商品やサービスを作ることを前提に、宣伝方法を工夫しながらあくまでも事実に即した情報を発信するのが鍵となります。
2. ターゲットにとって重要なものを理解
ハロー効果をマーケティングに応用するためには、ターゲットとなる消費者層が求めるものや、ライフスタイルをイメージしておくことが重要です。
商品やサービスのどのような点を魅力的に感じるかは人によって異なるため、ハロー効果を取り入れる際は情報を発信する相手に合わせて伝えるべき製品の特徴やメリットを絞り込む必要があります。
あらかじめターゲットとなる層を見通しておくことで、ハロー効果を宣伝に取り入れやすくなるでしょう。
3. 強調されるポイント以外の特性をどう伝えるか?
ハロー効果を宣伝や広告に活用することで、企業にとっては商品やサービスのメリットをアピールしやすくなる、売り上げにつながりやすくなるといった効果が見込めます。
しかし、ある特定の特徴を意識させることで、ものごとの評価を上げたり下げたりする効果がもたらされるハロー効果は、消費者にとって不便をもたらす場合もあります。
ハロー効果を用いると「有名人がテレビで紹介しているから、試してみよう」といった動機付けが生まれる一方、機能や品質といった点には注意を払われづらくなってしまいます。結果として、ハロー効果によって一時的な人気は高まっても、安定したリピーターを獲得しづらくなってしまう可能性もあります。
また、起用したモデルなどが不祥事を起こしてしまった場合、消費者の怒りやクレームがそのモデルが紹介した商品に向いてしまうことも起こり得ます。
ハロー効果による商品やサービスの印象づくりには、慎重さが求められる
「ハロー効果」は、ある事象を評価する際、評価の対象となる物や人物がもつ特徴に評価が引きずられる認知バイアスです。
1920年に心理学者により提唱されたこの効果は、商品のブランディングやマーケティングの分野でも活用されており、日々見かける広告でもしばしば取り入れられています。
企業がハロー効果を取り入れる方法の例としては、消費者に信頼されている有名人を起用することや、美人・赤ちゃん・動物など多くの人に好かれやすい属性(3B)を持つモデルを活用すること、そして高評価の口コミを集めることなどが挙げられます。
ポジティブな特徴を強調することで商品の評価を高めやすくなるハロー効果はマーケティングにも応用できる一方、行きすぎると商品そのものが持つ価値が消費者に伝わりづらくなる可能性もあります。
獲得した顧客を保持するには、ハロー効果を応用しながら、商品の機能や質を発信し続けることも求められそうです。
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