ジオグラフィック属性とは、地理的な特徴のことです。マーケティング分野において、消費者を特徴づけるもののうち、地理的な要素を意味します。たとえば在住地域、地域特有の気候や文化、人口密度や都市化の程度などです。
本記事ではジオグラフィック属性について、マーケティングとの関係や、ジオグラフィック属性を活用したマーケティング事例も紹介します。
そもそもセグメンテーションとは?
ジオグラフィック属性はセグメンテーションの一つです。セグメンテーションは「区分」の意味で、複数のデータの集まりに対して、共通の特徴を持つグループに分けることを意味します。
まずはマーケティングにおけるセグメンテーションについて解説します。
セグメンテーションとは?市場の細分化
マーケティングにおけるセグメンテーションとは、不特定多数の顧客をいくつかに分類し、ニーズごとにグループ化したり、市場を細分化して考えることを指しています。
マーケティング戦略を考える際に利用され、自社がどのニーズを狙うのかを把握する目的に沿って行われています。
マーケティング業界では「STP分析」の1つに分類され、マーケティングの第一段階ともいわれています。
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2つの市場と代表的な要因
セグメンテーションの考え方としては、市場を2つに分類し、それぞれのニーズの細分化を行うことが一般的です。
市場は「消費財市場」と「生産財市場」に分けられます。消費財市場とは、主にBto Cがメインとなる市場で、個人が購入したり利用するサービスを取り扱っている市場です。
消費財市場では年齢や性別などを元にした「社会的要因によるセグメント」や、パーソナリティやロイヤリティを元にした「心理的要因によるセグメント」、地域や都道府県などのデータを元にした「地理的要因によるセグメント」の3つを用いて細分化します。
生産財市場は、消費財市場とは反対にBtoBを主に行っており、会社などの企業がサービスのために購入する商品やサービスが取引されている市場です。
生産財市場では、業種や状態を細分化する「人口動態変数」や、製品の使用パターンや使用頻度などで細分化する「オペレーティング変数」などを用いて細分化します。
セグメンテーションが重要な理由
従来のマーケティングでは、セグメントを考慮せずにマスマーケティングを用いて市場全体にアピールをすることが一般的でした。
しかし現在では顧客ニーズが多様化し、IT化によりターゲットとして定めたニーズの購買情報が簡単に手に入るようになりました。
この2つのことから、ITを用いてより高度なマーケティングを行う企業が増え、マスマーケティングは減少しています。
また、セグメンテーションを適切に実施すると、ターゲットに集中して利益を最大化できるため、企業や店舗の無駄なコスト削減にもつながります。
セグメンテーションに必要な4R
マーケティングを目的としたセグメンテーションにおいては、出来上がったグループに対して、顧客層選定のために評価を下します。
その評価の指標を4Rといいます。Rは4つの指標の英単語の頭文字で、それぞれRank(優先順位)、Realistic(規模の有効性)、Reach(到達可能性)、Response(測定可能性)です。
Rank(優先順位)では、セグメンテーションで分類されたセグメントを経営戦略など組織でもともと定めている指標に照らし合わせ、優先度を確認します。
Realistic(規模の有効性)では、実際に売上や利益が確保できる顧客層であるのかどうかについて判断します。
Reach(到達可能性)ではプロモーションやサービスを届けられるかどうかについて判断します。
Response(測定可能性)は、実際にセールスやプロモーションを行った際に反応や特性などを測定できるかどうかについて判断します。
ジオグラフィック属性とは
ジオグラフィック属性はセグメンテーションの一つに定義され、活用されており、別名では「地理学的属性」ともいわれています。
ここからは、ジオグラフィック属性を活用し、売上アップや売れ残りを削減する時に重要な意味や分類する意義、効果などを解説します。
顧客を地理的属性で分類
ジオグラフィック属性では、顧客やユーザーを「地理的属性」として分類します。具体的には人口密度や地域の気候、地域特性などが挙げられます。
また、ジオグラフィック属性のほかに「デモジオグラフィック属性」と呼ばれている属性も存在します。
デモジオグラフィック属性は「人口統計学的属性」のことを指しており、○○町△丁目ほどの小地域単位でエリアをセグメンテーションし、さらに該当地域の人口密度や文化などの属性を細かく指しているデータのことです。
ジオグラフィック属性で分類する意義・効果
ジオグラフィック属性で顧客をセグメントすると、主に3つの効果や意義が見込めます。
1つは売上の向上が挙げられます。各要因ごとにどんな顧客にどんな対象でアプローチをするかによって、有料顧客を効率的に増やすことが可能です。そのため顧客数と顧客単価の増加が見込め、売上の向上につながります。
2つ目は、売れ残りの削減です。人口密度や年齢、職業などによってセグメントをすることで、その地域や年代に合わせた品揃えを行うことで売れ残りを防止できます。
3つ目の効果は、セグメントが重要となる食料品や衣服、電化製品などの販売に有効的であることです。これらの商品は、地域や生活習慣によって売上に差が出ることが知られています。売れ残りを防いだり、効果的な販売促進を行ったりするための重要な参考指標とできます。
ジオグラフィック属性によるセグメンテーションの例
ジオグラフィック属性を活用してマーケティングを行うことで、企業側では利益拡大や顧客の確保など、さまざまなメリットが得られます。
そこで本項では、実際に企業がジオグラフィック属性を適切に利用し、利益拡大を図ったセグメンテーションの実例を3つ紹介していきます。
スタディサプリ
株式会社リクルートが提供している「スタディサプリ」は、予備校が集中する都市部から離れた地域で、大学受験を控える高校生を対象に、予備校レベルの指導を希望する生徒を対象にサービス提供をしています。
これらは地理的要因によるセグメンテーションと、予備校レベルの指導を望んでいるという社会的心理を突いています。
また、広告は高校生の目に止まりやすいようにバス停や最寄りの駅などに設置し、的確にアプローチしています。身近に現役大学生がいない地方学生から支持されるように、「合格特訓プラン」では生徒一人ひとりに担当コーチを設けています。
オフィスグリコ
企業や会社のオフィス内に、ワンコイン程度で購入できるお菓子を設置しておく「オフィスグリコ」でも、ジオグラフィック属性を活用しています。
地理的要因によるセグメンテーションでは、オフィス街で、ビジネスマンを対象に、「対面でお菓子を買いに行くのは恥ずかしい」という社会心理を突いています。
また、特に男性は「わざわざ買いに行くほどではないけど、オフィスに設置されていれば食べる」という心理が働きやすいと分析されています。
どん兵衛のスープ
日清が発売している「どん兵衛 きつねうどん」は、東日本と西日本、北海道でスープの味を変化させています。発売にあたって各地でうどんとそばを実食し、実地調査を行っています。
そこで担当者から「関東のうどんは関西では売れない」と判断し、関東ではかつおだしの風味を効かせたスープを採用し、関西では昆布だしとかつおだしが上品に調和したスープを採用しています。
ジオグラフィック属性を活用して最適なマーケティングを目指す
ジオグラフィック属性の活用では、適切にセグメンテーションを行い、地域や環境に合わせて販売する商品やサービスを変化させることが必要です。
より細分化したセグメントを行い、実施することで売上アップや売れ残り防止などが期待できます。ジオグラフィック属性という観点をこれまで取り入れていなかったという場合には、大きな改善が望める場合もあるでしょう。
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