Eバウチャーとは、オンラインで発行される、商品券やサービスの利用券といったチケットのことです。
オンラインサービス上で発行したり、ECサイトからあるいは店舗からアプリを通じて送られたり、メッセージアプリでユーザーの間で送りあったりといった形式で使われています。
本記事ではEバウチャーの基本的な意味と現状、メリットやデメリット、Go To トラベルキャンペーンで広く使われた結果見えてきた課題について紹介します。
Eバウチャー(電子商品券)とは?
「バウチャー」は英語で「予約証明書」という意味を持っており、日本では「各種サービス利用券」「商品割引券」といった意味合いで使われています。ホテルで使われている「予約証明書」では、宿泊者の氏名や人数、滞在日数、プランなどが記載されており、バウチャーが料金を支払ったことや予約をしていることの証明書として扱われます。 ホテル以外にも旅行ツアーの予約や、航空券の予約にも使われるケースもあります。
バウチャーに「E」をプラスした「Eバウチャー」は、従来の印刷ありきの紙のバウチャーではなく、画面を見せるだけでバウチャーの役割を果たしてくれるシステムやそのチケットそのものを意味します。
最近ではGo To トラベルキャンペーンの「地域共通クーポン」やLINEの「電子チケット」などで認知度を広げています。
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Eバウチャーが注目される背景と課題
ライブやテーマパークのチケットなどはここ数年で瞬く間にEバウチャーへの変化を遂げていますが、一方で急速な変化よる課題も浮き彫りになってきています。なぜEバウチャーが注目を集めているのか、また注目の背景に隠れている課題点も追求していきます。
スマートフォンの普及により利用率が増加
インターネット調査やネットリサーチを行っているマイボスコムが2020年4月1日から5日にかけて「【クーポンの利用】に関するアンケート調査」を実施しました。調査では「直近1年間にクーポンを利用しましたか?」という質問に対して、72.0%の人が「利用した」と回答しています。
また「直近1年間にどのようなタイプのクーポンを利用しましたか?(複数回答)」という質問では、「スマートフォンや携帯電話のクーポン画面を、店頭で見せる、端末にかざす」(68.3%)、「紙に印刷されたもの」(67.2%)という回答が得られています。
2017年の同じ調査と比べると「スマートフォンや携帯電話のクーポン画面を、店頭で見せる、端末にかざす」は15ポイントほど増加しており、Eバウチャーが浸透してきていることが分かります。
Go To トラベル事業により電子クーポン利用を促進
Go To トラベル事業では、ウィズコロナの時代で「新しい生活様式」に基づいて旅行のあり方を普及、定着させることを目的としています。キャッシュレス決済を定着化させる目的で、独自に電子クーポンの発行をしている自治体も存在します。 電子クーポンのようなEバウチャーであれば非接触で利用ができるため、コロナウイルスの感染予防にもなります。
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Go To トラベル事業で見えた課題
印刷がなくても利用できる、非接触型のため感染予防になるなどメリットも豊富なEバウチャーですが、この利点を逆手に取った不正があったことも事実です。
Go To トラベルキャンペーンでは宿泊予約をして電子クーポンだけを無料で受け取り、宿泊を無断キャンセルするトラブルも発生しています。
他にも電子クーポンが使用できる店舗が限られているため、クーポンを取得しても使いきれない場合があるなど課題もあります。
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電子クーポンは利用しにくいという声も
Go To トラベルキャンペーンに伴い、旅行者に発券される「地域共通クーポン」を利用する場合、まずは専用の電子クーポン受け取りサイトにアクセスします。
サイトでは、旅行会社のID、発行された予約番号、初日に宿泊する都道府県の入力が必要となります。スマートフォンを使い慣れている若い世代ならともかく、そうではない年代や、オンラインサービスを使い慣れない人にとっては、電子クーポンは使いにくいという印象を持たれています。
またGo To トラベル事業の地域共通クーポンのうち、電子クーポンは宿泊施設で受け取ることはできません。クーポン利用者が自分のスマートフォンから指定のサイトにアクセスし発券するシステムなので、宿泊施設のスタッフに案内してもらえず戸惑うというケースもあったようです。
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店舗でEバウチャー導入・提供するメリットとデメリット
Go To トラベル事業でも浮き彫りになったように、Eバウチャーは利用者側に一定のリテラシーを必要とするサービスです。Eバウチャーのメリット、デメリットを解説します。
メリット1:利用の動機づけが強い
Eバウチャーには、そのクーポンや商品券の利用を条件に、ポイントの付与や次回購入に利用できる割引券などを特典として付けられます。「期間限定ポイント5倍セール」など、イベントを打ち出しやすく、ユーザーにもお得感を実感してもらえます。
最近ではギフトとして友人や家族にチケットなどのEバウチャーを贈れる仕組みも認知されており、紙のチケットよりも簡単に贈れる点を評価する声もあります。
メリット2:紙の印刷コストを抑え、購買情報の管理もできる
紙のクーポンでは印刷代やデザイン料、紙代や配布する際の人件費など、膨大な費用が使われることは容易に想像ができます。Eバウチャーの場合このような費用は発生しません。顧客情報管理ツールと連携すれば、ユーザーに合わせたクーポン提供ができる点もメリットの1つといえるでしょう。過去のクーポン利用履歴や、購買履歴に応じたクーポンを発行でき、ユーザー個人の満足度も高まることが期待できます。
デメリット:通信状況が利用に影響・スマホ操作のわずらわしさ
スマートフォンなどの電子機器に頼りきっているEバウチャーは、電波が悪いと接続できない、バッテリー切れだと利用できないなど、予期せぬトラブルが発生する可能性があります。ほかにもアプリを通して電子クーポンを利用する場合はアプリの会員登録が必須であるケースや、氏名や年齢、住所などの個人情報登録しなければいけないなど、アプリのインストールや個人情報の記載に抵抗がある人に取っては使いにくく感じられてしまいます。また利用のために情報を入力することを手間に感じられてしまう場合もあります。
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バウチャーに関連した用語
Eバウチャーは近年取り入れられた形態ですが、バウチャーそのものは昔から存在しています。1. バウチャービジネス
「バウチャービジネス」とは、飲食店などで利用可能な割引券、引換券、クーポン券などを活用したビジネススタイルのことを指しています。一般的にバウチャービジネスの業者は飲食店などから手数料をもらい、バウチャーを消費者に提供します。例を挙げると福利厚生の一貫として従業員に引換券などを通じて昼食代を支払う企業が、バウチャービジネスを利用していると言えます。
2. 教育バウチャー
私立学校に通う子どもを持つ保護者向けに、学校教育に使用できるバウチャーを交付し、学費の負担を軽減させるものを「教育バウチャー」と呼んでいます。ほかにも行政から保護者や子どもに交付され、学校選択をより自由に行ってもらうための制度としても扱われています。 保護者はバウチャーを学校に渡すことで学費など金銭面の負担を軽減でき、学校は集めたバウチャーの数に応じて行政から学校運営費を受け取るシステムです。
米国ではウィスコンシン州のミルウォーキー市やオハイオ州のクリーブランド市、フロリダ州などで活用されており、社会格差是正策として低所得層や極端に教育環境が悪い学校に通う子どもなどを対象に交付されています。
課題が見えつつも、利便性の高いEバウチャー
高齢者の利用シーンや、予期せぬトラブルが発生した際には、Eバウチャーの不便さと物理的チケットの良さが目立ってしまいがちです。しかし一方で、新しい生活様式に適した非接触で目的を果たせる点や、ユーザー情報が細かに分析できる点、費用の大幅削減が可能な点など、デメリットを上回る利便性があることも事実です。
若年層をターゲットにしている店舗や、電子決済の導入を検討している場合は、Eバウチャーのシステムを検討してみるとよいでしょう。
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