「朝ラー・一人飲み」時短要請を乗り切る飲食店の秘策:飲食業界動向まとめ【2021年1月】

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1月7日に2回目となる緊急時短宣言が発令され、それに伴う飲食店への営業時間短縮の要請(以下、時短要請)が出されるなど、2021年は飲食業界にとって厳しい幕開けとなりました。

TableCheckのデータによれば、1月の飲食店1店舗あたりの平均来店人数は21.8人で、前年同月比61.3%減にまで落ち込んでいます。

そんな中、朝の時間帯を活用する「朝ラー(朝ラーメン)」や、一人飲みなどの「おひとり様」需要を喚起するなどして、時短要請を乗り切るための工夫を行っている飲食店もあるようです。

本記事では、2021年1月の飲食業界の動向についてまとめます。

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1月の飲食業界動向

2021年の飲食業界は、1月7日に出された2回目の緊急事態宣言とそれに伴う時短要請によって厳しい状態が続いています。

ここでは、時短要請の内容とコロナ禍における飲食業界の現状についてのデータをまとめます。

緊急事態宣言に伴う営業時間短縮要請

新型コロナウイルスの感染拡大後、2回目となる緊急事態宣言が2021年1月7日に発令されました。

当初は東京・神奈川・千葉・埼玉の1都3件を対象としていましたが、その後の感染状況によって栃木・岐阜・愛知・京都・大阪・兵庫・福岡が加わり、11都府県が緊急事態宣言の対象となりました。

また、食事や会食が感染の場として考えられ、飲食店への時短要請を出す自治体は1月22日の時点で26都道府県にもなり、多くの対象地域では飲食店の営業時間を朝5時から夜の20時まで、酒類の提供は19時までという営業が要請されています。

飲食店の時短要請協力金、26都道府県の対応まとめ(※1月22日16:00時点)

新型コロナウイルスの感染拡大によって、2回目の緊急事態宣言が2021年1月7日に1都3県で発令されました。その後対象地域が追加されたほか、沖縄県など独自で緊急事態宣言を発令する自治体もあり、対応は都道府県ごとに異なっているようです。その中で、緊急事態宣言に伴って自治体から飲食店などへ営業時間短縮の要請(以下、時短要請)が出されている地域もあります。ここでは、1月22日時点で時短要請が出されている26都道府県の時短要請の内容と協力金についてまとめます。目次時短要請に伴い、協力金が出されている...

1月の各社報道からわかる飲食店の現状

2回目の緊急事態宣言と時短要請を受けて、実際の現場の声として以下のような報道がされています。

時短営業をしている飲食店には店舗ごとに一日6万円、最大で186万円の協力金が支給されます。しかし、東京都では中小の飲食店に限られていて、大手の飲食店は協力金の対象外です。都内で126店舗展開する外食大手「際コーポレーション」が運営するこちらのお店は、時短要請に応じていますが協力金はゼロです。

際コーポレーション 中島武社長
「隣のお店には(協力金)出て、ここには(協力金)出ないと、これではコロナの感染防止にはつながらないじゃないかと。大手には余裕があるから良いだろうと、余裕なんか全くないです。本当に億単位で赤字が出ていて毎月お金を垂れ流していく。従業員の数も多いです。働く人の数もいるし、今いろんなところでどんどんお店を閉店しなくちゃいけない」

緊急事態宣言にともなう営業時間の短縮の要請について「応じられない」とする飲食店も出ています。東京 杉並区にある居酒屋は、今後も午後8時以降の営業を続けるとしています。


伊與田さんは「協力金を支払うといっても店によって必要な経費などの額が全然違うので、実態としてどこまで補償されるのかがはっきりしていない。またわれわれ飲食店がお世話になっている酒屋さんや肉屋さんおしぼり屋さんなど、店に関わっている取り引き業者の売り上げにも影響するがその補償はどうなるのかも分からない。感染対策が重要なことは分かるし要請に応じたい気持ちも大きいが、現実的には応じることはできない」と話していました。

現場からの声として、時短要請への協力金支給額や支給範囲への不平等に対しての不満や、今回の時短要請には従わないといった声が上がっています。

1月は来店人数が61.3%減、4〜5月に次ぐ減少…時短要請影響で

飲食店検索・予約サイトを運営するTableCheckが2月2日に公開した自社データによると、2021年1月の飲食店1店舗あたりの平均来店人数は21.8人となり、前年同月の56.4人と比較すると61.3%減の大幅な減少となりました。

これは1回目の緊急事態宣言が発令された2020年4月の6.8人、翌5月の7.6人に次ぐ大幅な減少で、緊急事態宣言に伴う外出自粛や時短要請の影響を受けたものとみられます。

また、2021年2月7日までとされていた緊急事態宣言も、栃木を除いた10都府県で1か月の延長が決定されたため、2021年2月の来店人数も引き続き減少した状態が続くと予想されます。

時短要請を乗り切る飲食店の工夫

時短要請の段階的な緩和が検討されることになった一方で、緊急事態宣言が10都府県で1か月延長されることが決定されたため、今後もしばらく飲食業界には厳しい状態が続くことになるでしょう。

このような状況を乗り切るべく、新しい客層に訴求する工夫を実践している飲食店もあります。

2020年急速に普及したテイクアウトデリバリーへの対応はもちろん、夜間がメインだった営業時間を朝方に移行して「朝焼肉」や「朝ラー(朝らーめん)」を提唱したり、ハーフサイズメニューの提供や一人飲み専門居酒屋など「おひとり様」需要へ柔軟に対応したりといった事例があります。

時短要請された範囲の中でも利用・来店してもらえるような工夫が、このコロナ禍を乗り切るためには必要となるでしょう。

時短要請を乗り越える!飲食店の施策事例8選まとめ:朝ラー・黙食POP・1組限定営業など

緊急事態宣言の発令に伴う飲食店への営業時間短縮要請(以下、時短要請)について、1月26日の衆院予算委員会にて西村経済再生担当相は、段階的緩和を検討することを表明しました。また、現在11都府県に出されている緊急事態宣言は、当初の期限である2月7日以降も延長するかどうかは2月初旬に判断される見込みで、感染状況によっては緊急事態宣言とともに時短要請の期間も延長される可能性があります。本記事では、時短要請を乗り越えるために、営業時間やメニューなどに工夫を施している飲食店の施策8選をまとめます。関連...

1月に始まった飲食業向け支援

2021年1月7日から発令された緊急事態宣言とそれに伴う飲食店への時短要請などで厳しい経営状態にさらされている飲食業界に向け、各自治体や民間企業による支援が続々と始まっています。

都道府県による協力金

緊急事態宣言の対象地域をはじめ、26都道府県で時短要請が出されていました(1月22日時点)。要請を守り営業時間の短縮などを実施する店舗に対し、協力金が支給されています。

自治体によっては、これまで支給の対象外だった大企業の飲食店も対象とするところもあるようです。

各都道府県での対応については、以下の記事で詳しく解説しています。

飲食店の時短要請協力金、26都道府県の対応まとめ(※1月22日16:00時点)

新型コロナウイルスの感染拡大によって、2回目の緊急事態宣言が2021年1月7日に1都3県で発令されました。その後対象地域が追加されたほか、沖縄県など独自で緊急事態宣言を発令する自治体もあり、対応は都道府県ごとに異なっているようです。その中で、緊急事態宣言に伴って自治体から飲食店などへ営業時間短縮の要請(以下、時短要請)が出されている地域もあります。ここでは、1月22日時点で時短要請が出されている26都道府県の時短要請の内容と協力金についてまとめます。目次時短要請に伴い、協力金が出されている...

民間企業も支援に乗り出す:1月に支援を開始した4事例

自治体だけでなく、民間の企業や団体でも飲食業への支援を実施しているところがあります。その中から、1月に支援を開始した4事例を紹介します。

1. READYFOR:クラウドファンディングサービス手数料を無料に

日本初のクラウドファンディングサービスの「READYFOR」では、2021年1月7日に「新型コロナウイルスによる飲食店応援プログラム」の開始を発表しました。

東京・埼玉・千葉・神奈川に所在する飲食店を対象に、飲食店の運営費用(人件費・各種経費など)を集めるクラウドファンディングを、サービス手数料無料で決済手数料の5%のみで利用可能とします。

また、目標金額への到達・未到達に関わらず、集まった資金が受け取れるALL-INの形式が適用されます。当初申込期限を2月7日としていましたが、3月31日まで延長することが発表されています。

2. 都内18の信用金庫:飲食店情報を無料で掲載できるWebサイト本格始動、取引なしでも掲載可

都内にある18の信用金庫が共同して、テイクアウトデリバリーできる飲食店情報を掲載するWebサイトの本格運用を開始しました。

信用金庫の顧客などへの飲食店利用を促す試みで、すでに東京・神奈川の飲食店約350が掲載されています。

掲載を希望する飲食店は、この取り組みに参加する地元の信用金庫を通じて無料で情報を掲載できます。また、飲食店と信用金庫の間に取引がない場合でも、掲載対応はされるとのことです。

3. アクリート:飲食店支援として販売管理サービスなどの無償提供開始

SMS配信サービス事業のアクリートでは、コロナ禍の飲食店支援として顧客管理・予約管理サービスの「れすとれ」をはじめとした、4つのサービスを2021年3月31日までの無償提供を開始しています。

以下、無償提供中のサービスです。

  1. 顧客管理・予約管理サービス「れすとれ」
  2. 音声自動応答SMS配信「電話 de SMS ライト」
  3. 双方向SMSの一斉連絡サービス「アクリートSMS アラート」
  4. IR情報配信サービス「アクリートSMS IR」

4. コロナに負けるな!『今こそ』つながる高知プロジェクト:前払いチケットを購入して飲食店を支援

高知県高知市の繁華街では、「コロナに負けるな!『今こそ』つながる高知プロジェクト」として、前払いチケットを購入して馴染みの飲食店などを支援する有志のプロジェクトを実施しています。

2020年3月に一度目を実施した際には参加店が県内で約100店舗にもなり、発行高は1千万円を超えました。今回県から再度の時短要請を受けて、プロジェクトを再開したということです。

1月に発表された飲食業関連のデータ紹介

ここでは、2020年の総括や2021年の予測など、1月に発表された飲食業関連のデータを紹介します。

日本フードサービス協会、外食産業市場動向調査 12月度・2020年年間結果発表

一般社団法人日本フードサービス協会は1月25日、加盟会社を対象にした2020年1月から12月の外食産業市場の動向調査結果を発表しました。

それによると、2020年の全体の売上高は前年度比84.9%となり、1994年の調査開始以来最大の下げ幅となっています。単月では、第1回目の緊急事態宣言が出された4月の売上高が前年度比60.4%と、最大の下げ幅となりました。

業態別では「ファストフード」はテイクアウトデリバリーに支えられ前年度比96.3%とある程度維持ができていたものの、「ディナーレストランレストラン」64.3%、「パブレストラン/居酒屋」50.5%など、店内飲食・ディナータイム・飲酒業態の飲食店では深刻な状態となっています。

一方で、全体の客単価は前年度比103.3%と向上しました。外食の頻度が減ったことなどから「プチ贅沢」ニーズが生まれ、一回の支出が増えたものとみられます。

12月の飲食売上動向:「プチ贅沢」ニーズでフランス料理・ステーキなど高単価なジャンルが上位に

目次12月度の飲食店売上動向:年末年始は一時回復フランス料理・ステーキなど「プチ贅沢」ジャンルが上位に12月度の飲食店売上動向:年末年始は一時回復ポスタス株式会社は、2020年12月度の飲食店売上動向を1月20日に発表しました。クラウド型モバイルPOSレジの「POS+(ポスタス)」から飲食店の売上データを抽出、集計したものです。下のグラフを見ると、緊急事態宣言が再発令された週(1/4週)はかなり減少傾向にあることがわかります。一方、年末年始に当たる週(12/28週)は一時的に回復傾向がみら...


帝国データバンク、飲食店の倒産動向調査(2020年)発表

帝国データバンクは1月6日、2020年1月から12月の飲食店の倒産動向調査の結果を発表しました。

それによると、2020年の飲食店倒産は780件で、過去最多の数字となりました。新型コロナウイルスの影響を大きく受けていることがわかります。

業種別の件数・構成比で見ると、「酒場ビヤホール」が189件(構成比24.2%)と最多となり以降は「中華・東洋料理店」105件(13.5%)、「西洋料理店」100件(12.8%)、「日本料理店」79件(10.1%)と続いています。

※飲食事業を主とする事業者(法人・個人事業者)で法的整理かつ負債1,000万円以上を対象

TableCheck、2021年の飲食業界を予測した調査発表

飲食店検索・予約サイトを運営するTableCheckが2020年12月21日に、2020年データの振り返りから2021年の業界動向を予測する「TableCheckデータ大全リリース2020-2021」を発表しました。

それによると、2020年の外食業界全体として減少傾向の中で、「ハレの日」「少人数」「常連客」のキーワードにおいては需要が高く保たれていたことがわかりました。

利用目的別の総来店件数に占める割合を2019年度と比較してみると、記念日116.3%、デート114.2%、家族会食107.9%となり、誕生日や結婚記念日などの特別なハレの日における外食需要が維持され、減少した総来店客数に占める割合が増加しています。

また、飲食業界全体の客単価が前年に比べて5ポイント高くなっているデータもあり、一回の外食に対して「質」を重要視する傾向とハレの日の利用などから、2020年は「少人数で単価の高い外食」の需要が高まったことが読み取れます。

そして、1店舗あたりの来店客数に占める常連客と常連予備軍の割合を前年度と比較したデータでは、緊急事態宣言下の2020年4月では常連客の割合が1.6倍、5月では1.5倍と増加していることがわかりました。

コロナ禍で外食機会が減った中での外食は、安心できる懇意にしている飲食店が選ばれる傾向にあり、その傾向は2021年も続くと考えられます。

2021年、飲食店は「ハレの日」需要をつかめ:コロナ禍データを分析してわかった起死回生のための3つのポイント

飲食店向け予約、顧客管理システム開発企業のテーブルチェックは2020年12月21日、2020年の飲食業界を振り返り2021年の飲食業界を予測する調査「TableCheckデータ大全リリース 2020-2021」を発表しました。この調査からは、新型コロナウイルスの流行により世相が著しく変化するなかで飲食業界が受けた影響と、新型コロナウイルスの流行前後で変化した消費者の動向がわかります。今回の記事では「TableCheckデータ大全」をはじめとするいくつかの調査を分析し、ウィズコロナ時代となっ...

<参照>

NHK政治マガジン:緊急事態宣言11都府県に拡大

テレ朝news:“時短要請の支援策”に相次ぐ不満の声

NHKニュース:緊急事態宣言 飲食店の反応は

TableCheck公式サイト:【週次更新】コロナ禍における飲食店の来店・予約件数推移 ※2021年2月2日更新

READYFOR公式サイト:新型コロナ・緊急事態宣言の影響を受ける飲食店を応援、 特別クラウドファンディングプログラムを開始

日本経済新聞:都内信金、連携して飲食支援 持ち帰り店の一覧サイト

株式会社アクリート公式サイト:飲食店向け顧客管理および予約管理サービス「れすとれ」をはじめ、コロナ支援として、4サービスの無償提供※を期間限定で開始

朝日新聞:コロナに負けるな 飲食店支援 前払いチケット再開

日本フードサービス協会:外食産業市場動向調査 令和2年(2020年)年間結果報告

帝国データバンク:飲食店の倒産動向調査(2020年)

PR TIMES:2021年狙うべきキーワードは「ハレの日」需要。変容するライフスタイル、プライベート利用増|2021年飲食業界動向予測

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    口コミラボ編集部

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