小売業のデジタルトランスフォーメーションとは|5つのステップ・OMO・導入事例

口コミアカデミー 0円すべて無料 口コミサイトの運営やノウハウが学べる、店長限定の無料のオンラインスクール

デジタルトランスフォーメーションDX)とは、IT技術の活用により、サービスの提供形態を変化させること、またその変化を意味しています。

デジタルトランスフォーメーションは人件費の削減や販売の効率向上、またより精度の高いターゲティングを可能とし、企業の利益を拡大します。

政府は以前から「デジタルトランスフォーメーション」について政策やレポートを発表していました。新型コロナウイルスの流行により、接触を回避する心理が消費者に広がったことにより改めて注目を集めることになりました。

近年コンビニや百貨店などの小売店でもデジタルトランスフォーメーションの導入が進められていましたが、この傾向が加速しています。

デジタル化を検討する小売業界の方に向けて、デジタルトランスフォーメーションの概要や小売業界での導入事例を解説します。

デジタルトランスフォーメーションとは?

デジタルトランスフォーメーションは「DX」とも呼ばれる概念で、テクノロジーを活用した生活のあり方について述べられています。

デジタルトランスフォーメーションの詳しい定義や、ビジネスにおける導入について、なぜ今必要なのかを解説します。

デジタルトランスフォーメーションの定義

直訳で「デジタル変換」を意味するデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)は、2004年にスウェーデンのウメオ大学のエリック・ストルターマン教授によって提唱された概念です。

その内容は、「進化したデジタル技術を浸透させることで、人々の生活をより良いものへと変革すること」というもので、あくまでも日常生活における変革について述べられています。

前述のとおりTransformationは通常「変換」と訳しますが、「変換」よりも物事を様変わりさせることを意味する「変革」という言葉のほうが、デジタルトランスフォーメーションにおいては鍵となります。

DX」という略称は、英語で「Trans」を「X」と表記されることが多いため、頭文字をとった「DT」ではなく、「DX」と表記されているといった理由があります。 

ビジネスでのデジタルトランスフォーメーション

経済産業省は、2018年12月に「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドラインDX 推進ガイドライン)」を発表しました。

そのなかで、デジタルトランスフォーメーションは次の通りに定義されています。

「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジ タル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」

データやデジタル技術を駆使して、業務の効率化をはじめビジネスに関わるすべての事象に変革をもたらすことを意味しています。

デジタルトランスフォーメーションでは、以下5つのステップを経て導入が完了します。

  1. デジタル化:ビジネスに関係する情報をデジタルデータに置き換えます。情報資産となるだけでなく、分析が容易になります。
  2. 効率化:デジタル化したデータを活用し、非効率なプロセスを改善します。
  3. 共通化:部門をまたいでデータを活用します。
  4. 組織化:組織全体でデータを活用できるような体制を構築します。
  5. 最適化:データやデジタル技術を基盤に、事業計画の精度を高めます。


デジタルトランスフォーメーション
▲デジタルトランスフォーメーション:編集部作成

なぜ今デジタルトランスフォーメーションが必要なのか

2018年9月に経済産業省が発表したDXレポートには、「2025年の崖」という言葉が記載されていました。

「2025年の崖」は、国内企業の約8割が抱えている老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存の基幹システムが保持され続けた場合、日本経済の停滞や企業の国際競争力に遅れがでることを意味しています。

経済産業省はDXレポートのなかで、2025年までに数々のシステムやプラットフォームサービス終了と、IT人材の引退などによっておこるリスクの高まりが、経済の停滞や企業の国際競争力の問題を引き起こすと指摘しています。

経済産業省は、企業が2025年までにデジタルトランスフォーメーションを実現できずに、以降も旧式の基幹システムを継続保持した場合、2025年~30年の間に最大12兆円の経済損失が生じるとの推定も記載されています。

デジタルトランスフォーメーションが「今」必要とされるのは、今後の日本経済と企業にもたらす深刻な問題を回避するためであるといえます。

小売業のデジタルトランスフォーメーションとは

消費者のニーズが多様化、細分化する現代にあって、小売業は「売り方」を工夫する必要に駆られています。

消費者のニーズを理解し、消費意欲を購買につなげることのできる施策や売り場が求められています。

オンラインとオフラインの融合:OMO(Online Merges with Offline)

多くの消費者がインターネットサービスを利用し、購入する商品を検討し、また購入まで済ませています。

OMO(Online Merges with Offline)は消費者のオンラインの行動ととオフラインの行動を融合する販売手法や小売形態を意味します。デジタルトランスフォーメーションの結果の一つの形です。

消費者の中には、売り場に足を運びたい人もそうでない人もいます。また、情報収集にインターネット上の情報を参考にする場合や、店頭で店員の意見を聞く場合など様々です。

小売業OMOを採用することで、消費者のどの場合のニーズも取りこぼすことなく、消費者の満足度をあげながら売上げにつなげることができます。

これまでもO2O(OtoO、Online to Offline)」や「オムニチャンネル(Omni-Channel Retailing)」という概念が、小売りの現場に導入されてきました。

O2Oはオンライン(インターネット上の情報)からオフライン(実店舗)へ消費者を誘導する手法や小売の形態です。

オムニチャンネルは店頭、カタログ販売、ECといった複数の販売窓口で消費者と接点を持つ小売形態です。

いずれも、消費者の購入シーンや情報収集の場面を、オンラインかオフラインの片方に限定している点でOMOと異なります。

関連記事
これからの小売店の展望|モノが売れない時代に売るためには
オムニチャネルとは?注目されている理由から成功の4ステップまで徹底解説
O2Oとは?意味、オムニチャネルとの違い、マーケティングでの使い方を解説

DXは小売業が顧客へ提供する価値を高める

日本では、消費者が商品の機能性だけでなく、ある空間に滞在することや体験することに価値を見出すようになっています。機能性ではなく体験を重視する消費を「コト消費」と呼びます。

機能性であるか体験であるかを問わず、小売業が顧客へ提供する価値に対して、消費者は対価を支払います。

デジタルトランスフォーメーションは、ストレスのない購入現場を構築することで、小売業が消費者に提供する価値を高めることに貢献するでしょう。

たとえば店舗にほしい商品が欠品していたり、使いたい決済方法が使えないということがあれば、小売業が消費者に提供する価値は減少してしまいます。

欠品を防いだり、店頭に並んでいなくともECサイトで購入できたりすれば、小売店が消費者に提供する価値を高めることができるはずです。

また、例えばアプリやLINEアカウントでの会員登録を通じ、閲覧や購入のデータをもとに、消費者の好みに合った商品を適切なタイミングで案内することができれば満足度が購入します。

関連記事
コト消費とは | モノ消費との違い・なぜトレンドに?次に来るトキ消費とイミ消費・店舗はどのように変化すべきか

より効率よく商品を販売する

たとえば小売業の代表的業態であるスーパーマーケットでは、商品の発注は部門別に、日に1回が基本になっています。

ECの場合はリアルタイムで在庫状況を把握できるのに対し、デジタルトランスフォーメーションを導入していない小売店では在庫状況が把握できず、現状に即した発注もできません。

現在の店頭での作業を技術を用いて機械化するだけでは、小売業から消費者に提供できる価値が高まるわけではありません。デジタルトランスフォーメーションは、消費者の購買行動を計測、分析し、より消費者の満足度の高まる販売のタイミングや品ぞろえを実現することが重要です。

そのために、発注や物流を統合的に管理することが重要になります。こうした取り組みは企業にとって、人手不足の中でリソースを割かれていた業務負担を軽減できる可能性もあります。

小売店でのデジタルトランスフォーメーション導入事例

顧客の満足度向上を目指し、デジタルトランスフォーメーションの導入を進める小売店も増加しています。

以下では、2つの小売店におけるデジタルトランスフォーメーションの導入事例を紹介します。

1. ローソン

ローソンは、2020年1月に組織変更および人事異動を発表し、デジタルトランスフォーメーション推進委員会」の立ち上げが明らかになりました。

デジタルトランスフォーメーション推進委員会は、加盟店の店利益向上をスピーディーに推進するための組織体制変更の一環で、竹増貞信社長直轄の組織として新設されました。

コンビニ業界の課題としては、ネット販売との連携や顧客個人単位でのサービスの提供が難しいといった課題がありました。

そこで、ローソンでは電子タグの導入や、接客ロボットの活用、電子決済IoTの活用、カメラなどのセンサーの利用など、幅広い分野によるデジタル技術の活用によって革新を起こそうとしています。

これまでもローソンは品川にローソンイノベーションラボ」という名の研究施設を作り、ITを活用した次世代店舗運営の実証実験を行っています。ローソンイノベーションラボの事例から、デジタルトランスフォーメーションの実現は人件費の削減のほか、顧客に最適なサービスを提供できるなどメリットが多くあることがわかっています。

2. 三越伊勢丹

三越伊勢丹グループのデジタルビジネスを担う三越伊勢丹システム・ソリューションズでは、伊勢丹ならではのおもてなしやさまざまな商品を顧客にシームレスに楽しんでもらおうと、デジタルトランスフォーメーションに積極的に取り組んでいます。

その一例である「三越伊勢丹アプリ」は、ECサイトと店舗商品や在庫、顧客の情報を場所や時間を問わずに提供することで、ECサイトと店舗それぞれの強みを活かしながら顧客へのアプローチの幅を広げています。

また、デジタルトランスフォーメーションの施策を実施することで、グループ全体の働き方改革にも取り組んでいます。ロボット利用(RPA)を採用することで手作業の負担を削減し、伝票や紙の電子化によって情報の一括管理を可能にしています。

小売業に最適なデジタルトランスフォーメーションの導入を

デジタル活用におけるパラダイムシフトは、企業や顧客にメリットをもたらすことがわかっています。

政府も推進するデジタルフォーメーションの導入には長い時間がかかりますが、「2025年の壁」までにはあと数年のところまで迫っています。

小売店では特に、商品の在庫管理や顧客情報の取得・管理において有効とされています。

自社の課題を解決してくれる最適なデジタルフォーメーションは何か、導入事例を参考に考えていくことが必要です。デジタルの活用を進め、利益の拡大をはかる経営戦略の思案もデジタルフォーメーション導入成功のポイントとなります。

口コミラボ 最新版MEOまとめ【24年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】


MEOに関わるサービス「Googleマップ」「Googleビジネスプロフィール」や、各種地図アプリ・口コミサイトは日々更新を続けており、その全容を把握するのは難しくなっています。

そこで口コミラボでは、MEO・口コミマーケティングに役立つ最新ニュースをまとめた「Googleマップ・MEO最新情報まとめ」を毎月発行しています。

本記事では、主に2024年9月・10月の情報をまとめたレポートのダイジェストをお届けします。

※ここでの「MEO」とは、Google上の店舗・施設情報の露出回数を増やしたり、来店行動につなげたりすることで、Google経由の集客を最大化させる施策を指します。
※『口コミアカデミー 』にご登録いただくと、レポートの全容を無料でご確認いただけます。

詳しくはこちらをご覧ください。
「ポリシー違反によるビジネスプロフィールの制限」が明文化 ほか【2024年9月・10月版 Googleマップ・MEOまとめ】

口コミアカデミー 0円すべて無料 口コミサイトの運営やノウハウが学べる、店長限定の無料のオンラインスクール

関連するオススメ記事

    この記事の筆者

    口コミラボ編集部

    口コミラボ編集部

    口コミラボ編集部ではMEO対策、ローカルSEO対策、販売促進店舗の口コミデータをもとにしたコンテンツなどを配信しています。