ディドロ効果とは | セット販売などマーケティングへの応用例を紹介

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ディドロ効果は消費者が新しい商品を購買した際に、それに合わせて他の商品も欲しくなる心理的効果です。

フランスの思想家のエッセイをきっかけに命名されたもので、店舗マーケティング等で使われています。

この記事ではディドロ効果の概要、活用例を解説します。

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ディドロ効果とは

ディドロ効果は、マーケティングに活用される心理作用です。

店舗がうまく活用することで、消費単価の拡大やリピーター獲得につながることが期待されます。

以下では、ディドロ効果の概要やその原理について解説します。

新しいものを基準とした一貫性や統一感を求めてしまう心理傾向

「ディドロ効果(Diderot Effect)」とは、生活のなかに「理想的かつ新しいもの」が入ると、その商品の雰囲気に合った商品を買いそろえたくなる心理です。

フランスの思想家のディドロが書いたエッセイが発端となっており、そのなかでは、友人から素敵な洋服をプレゼントされたディドロが、その洋服に合うワードローブや空間を作ろうとして今まで所有していたものを手放し、新しいものを買い揃えていった話が語られています。

ディドロ効果はファッションブランドや家具販売店、スマホゲームなど、独自の世界観を構築しているビジネスでしばしば目にすることができます。

一貫性の原理にしたがって行動する人間の一側面

ディドロ効果は、新しいものを手に入れると他のものにも一貫性を持たせたくなる行動心理を指します。自分の行動に一貫性を持たせたくなる「一貫性の原理」により作用します。

人は整合性を保つことで他者から評価されると本能的に感じており、行動や発言、態度などを決定したあと、整合性を保ちたいと考えるためです。

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マーケティングへの応用例

ディドロ効果は世の中のさまざまな店舗で用いられている手法です。消費者獲得やまとめ買いによる売上拡大に直結します。

以下ではマーケティングへの応用例について、インテリア、アパレル、スマホゲームを例にご紹介します。

1. インテリア:商品でまとまりのある空間をつくりセット販売につなげる

インテリアを販売する店舗では、消費者に統一感のある空間を作りたいといった気持ちを想起させ、同一シリーズの商品の購入を促します。

たとえばIKEAやニトリなどをはじめとする多くのインテリアショップでは、店舗内に様々なスタイルのショールームを設置しています。

消費者はカーテンやラグをひとつ新調するだけでも、自分が理想とする部屋のイメージに近づくため、さらにテーブルやソファなどの家具も理想に揃えていきたいという気持ち(ディドロ効果)が働きます。

そのため店舗で販売している商品を使ってダイニングルームや子ども部屋など、部屋をまるまる再現することで、雰囲気や統一感を気に入った消費者から商品をセット購入してもらうことを狙いとしています。

2. アパレル:顧客が新たに購入したブランド商品を買い揃えの布石に

ファッションブランドはブランドごとに一貫した世界観が構築されているため、商品には統一感があります。

ブランドの世界観のファンになって商品を購入した消費者は、自分自身を理想の世界観に合わせるため、同じブランドの別の商品も購入しようとします

たとえば高級ブランドのバッグを購入した場合、洋服や靴などもハイブランドの商品で揃えたほうが一貫性が強くなるため、他のアイテムも買い揃えようとする可能性が考えられます。

3. スマホゲーム:揃えたいという顧客の欲求を課金要素で満たす

スマホゲームに課金すると、レアなキャラクターやアイテムが集まりやすくなる「有料ガチャ」の仕組みも、ディドロ効果を活用しています。いくつかのキャラクターやアイテムを手に入れると、シリーズにおける全てのキャラクターやアイテムを買い揃えたくなる心理が働くためです。

複数のキャラクターやグッズが集まってくると一貫性の原理も働くため、コンプリートに向けてさらに課金意欲が高まります。

ディドロ効果をマーケティングに取り入れる際のポイント

ディドロ効果をふまえたマーケティング施策によって、リピーター獲得や顧客単価の向上が狙えます。

以下では、ディドロ効果をマーケティングに取り入れるときのポイントを3点解説します。

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1. 必要なものが揃えられる販売形態を実現する

消費者にディドロ効果を発揮させるには、商品シリーズ化するなどして、消費者がセット購入したくなる要素を付加することが重要です。

たとえばインテリアショップでベッド周りの商品を販売する場合、枕カバーやクッション、掛け布団カバー、スリッパなど、周辺商品のラインナップを揃えることで統一感が生まれます。

こうしたシチュエーションは消費者にディドロ効果を喚起するため、セット購入による客単価向上などに繋がります。

2. 世界観やポリシーを表現する

ディドロ効果は商品のデザインのみならず、ブランドのポリシーなどの抽象的な要素にも作用します。

たとえば「あのブランドの理念に共感する」「あのブランドのビジョンが好き」といった心理です。

多くの顧客を獲得するためには、キャッチコピーやポスターデザイン、店内イメージ、各種のPR施策などを通じて、ブランドの世界観やポリシーを発信していくことも有効です。

3. 初回購入時に次回以降も購入したくなる仕掛けを施す

ディドロ効果を活かして消費者を獲得するためには、消費者になにかひとつ商品を購入してもらうことが大切です。

この一歩が、「ほかの商品も買い揃えたい」という心理による購買につながるためです。

たとえばアパレルショップでは、「1枚買ったら2枚目は20%オフ」などのキャンペーンで初回購入のハードルを下げ、新規顧客を獲得する試みがよくみられます。

ディドロ効果と組み合わせることでさらに効果を発揮するマーケティング手法

ディドロ効果と相性の良いマーケティング手法、「アップセル」と「ツァイガルニク効果」について紹介します。

1. アップセル:ひとつうえの水準の商品を薦め、顧客の単価上昇につなげる

アップセル」は、消費者が買おうとしていた商品と同一系統かつ格上の商品を勧める手法で、顧客単価を上げる際に有効とされています。ディドロ効果を組み合わせるとさらに効果を発揮します。

たとえば、消費者が購入しようとしていたテーブルよりも品質が良く単価も高いワンランク上のものをおすすめし、購入してもらいます。

その後、消費者はディドロ効果により、他の家具もワンランク上のものを揃えたいと考える可能性が高まります

このように、アップセルとディドロ効果の組み合わせが功を奏せば、顧客単価のアップやリピーター獲得の機会に繋がりやすくなると考えられます。

2. ツァイガルニク効果:不完全な状態に対する顧客の不満を購買意欲に向ける

ツァイガルニク効果とは、不完全な状態が気になってしまう行動心理です。

オンライン漫画の試し読みなどは、あえて続きが気になる部分で終わらせることで、消費者へ未達成な状態をもたらし続きを求める意欲をかき立てています。

ディドロ効果とツァイガルニク効果を利用している例が雑誌の定期購入企画です。雑誌を集めていくと、模型や小物、図鑑が完成する仕組みになっています。

これらのシリーズの創刊号を格安販売することで消費者の購入ハードルを下げ、その後、定期購入を促すプロモーションは有名です。

これは「商品を1つ買うと、他のものも揃えたくなる」ディドロ効果と、「不完全な状態が気になってしまう行動心理」のツァイガルニク効果の2つを組み合わせたマーケティング施策です。

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ほかの効果と組み合わせることでより一層の期待が見込めるディドロ効果

ディドロ効果は、1つの魅力的な商品を購買した際に同じ系統の他商品も買い揃えたくなる心理です。

マーケティングに活用する際には、ほかの手法と組み合わせると良い成果が期待できます。例えば、消費者が当初購買しようとしていた商品よりも格上の商品をお勧めするアップセル、不完全な状態に不満を感じるツァイガルニク効果が挙げられます。

ディドロ効果を活かして消費者の心情へ訴えかけることで、顧客単価アップやリピーターの獲得につながります。

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