ポイントカードは、価格以上の価値が欲しいと考える消費者に対して集客効果を発揮する取り組みです。
本記事では、旅館におけるポイントカードの活用事例やメリット、注意点を解説します。
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旅館のポイントカード活用事例
ユーザーがポイントカードに求めるものは、「お得感があるもの」「実用性があるもの」などです。
これからポイントカードを活用するという旅館経営者は、具体的な制度を決めていかなくてはいけません。そのような方に向けて、参考になりそうなポイントカード活用の事例を3つ紹介します。
1. 公立共済やすらぎの宿:全国で使える独自のポイントカード
公立共済やすらぎの宿は、全国各地にある公立学校共済組合の宿泊施設です。全国のやすらぎの宿では、共通の「やすらぎポイントカード」を取り入れています。
入会金は無料で、有効期限が最終利用日より2年間有効としています。ご宿泊利用料金(税抜き)100円ごとに3ポイントが加算され、1ポイント1円とし、1,000ポイント単位で利用できます(※利用上限10,000ポイント)。宿泊費用だけでなく、会議、宴会、レストラン、売店等でも利用できるのが魅力です。
2. 宿倶楽部:西日本の21軒の名旅館が加盟
宿倶楽部は、京都や大阪をはじめとする西日本の名旅館21軒が名を連ね、加盟店の中での相互送客を促す共通ポイントカードの事例です。
入会金と年会費を無料とし、入会時に1,000円分のポイントをサービスしています。利用金額の5%をポイントに還元しており、利用料金の割引として利用できます。
さらに、1年間で「3施設以上利用」「20,000ポイント以上加算」の条件をクリアした会員は、ゴールド会員にバージョンアップされ、ポイント還元率が5%から7%にアップします。
このようなシステムを導入することで、顧客に自社のサービスへ愛着を感じてもらいやすくなります。これを、顧客生涯価値を上げるためのマーケティングプログラム「ロイヤリティプログラム」といいます。
3. 四万温泉柏屋旅館:会員が得する独自のポイント制度
四万温泉柏屋旅館は、群馬県の四万温泉にある旅館です。ここでは、独自のWebポイント制度を取り入れています。
入会金、年会費を無料としており、Webで会員登録することで1,000円分のポイントがもらえ、初回予約時から1,000円引で泊まれます。
会員になると宿泊する度に、宿泊予約金額の5%がポイント還元されます。さらに、会員だけのお得なプランやプレゼント企画なども不定期で提供しており、会員がより利益を感じながら宿泊を楽しめるように工夫しています。
ポイントカードを活用するメリット
旅館のポイントカード制度は、旅行者に支払い以上の価値を得られたと感じてもらえたり、限定のプランを選べたりする点にメリットを見出してもらえたりする可能性があります。
旅館側にはポイントカードを活用することで、どのようなメリットがあるのか、大きく3つに分けて解説します。
1. 顧客データを収集・分析しやすくなる
旅館においても、もちろんマーケティング対策は必要です。ポイントカードを活用することで顧客データを収集、分析しやすくなります。
なぜなら、ポイントカードへ入会してもらう際に、自然に顧客情報を得られるからです。名前や年齢、住所、メールアドレスに、宿泊データなどを紐付けて管理すれば、分析しやすくなります。
また、顧客情報を管理していれば、集客のための施策も実施しやすくなります。たとえば、会員の誕生日や記念日などに合わせて特別なプランを提供したり、過去の利用履歴に基づいておすすめのプランを提示できます。
さらに旅館経営者は、このように細かい顧客情報の収集と分析に、デジタル管理のポイントシステムが必要であることも認識しておく必要があります。
2. 優良顧客の育成を実現できる
ポイントカードに紐づく顧客データを管理し、細かいデータを分析すれば、ユーザーニーズに寄り添った施策を打つことが可能になります。したがって、ポイントカードを活用することで、優良顧客の育成を実現できることがわかります。
たとえば、顧客データの分析で旅館の利用頻度が低い会員が多いとわかった場合は気軽に利用しやすいプランを提案するという施策を立てることもできます。
また、ポイントカードの利用者は優良顧客として対象のクーポンを配布し、リピーター化させるなどが挙げられます。
ポイントカードを持っているからこその付加価値を提供することで、顧客の満足度が上がり、優良顧客として維持できます。
3. 客単価の向上が見込める
旅館でポイントカードを取り入れれば、客単価の向上が期待できます。なぜなら、貯まったポイントはその旅館で使える通貨と同等の扱いになるからです。
会員は、ポイントを還元されるほど値引きされている感覚になり、旅館を選ぶことに価格面での納得感が生まれます。
さらに「ポイント○倍」などと還元率の高い日を設ければ、この機会に、普段より高めのプランを選択するなどという心理が働きやすくなります。
また、旅館側は普通に値引きをするよりも、ポイントを利用してもらうことで売り上げを下げずに集客できます。
ポイントカードを活用する際の注意点
旅館はポイントカードを活用すれば、顧客データを分析しやすくなったり、集客施策がたてやすくなったりというメリットが多数あります。
ただし、やり方次第で逆効果となることもあり得ます。旅館経営者は、ポイントカードを活用する前に、これから紹介する3つの注意点を押さえておくべきです。
1. 無計画なポイント還元施策などは避ける
旅館でポイントカードを活用する前に、運用の計画をたてることが必要です。
なぜなら、付加価値を優先しすぎてむやみにポイント還元を大きくしたり、会員限定プランを安価にしすぎてしまうと、その後の経営に影響が出る恐れがあるためです。
もちろん顧客満足度は大切ですが、会員特典には旅館側にリスクが伴うことが多い点を覚えておきましょう。
そのうえで、今後の計画を綿密に練り、施策を検討していくことが好ましいといえます。
2. 従業員にかかる負担を考慮し、軽減を図る
旅館でポイント制度を導入すれば、担当者や窓口に立つ従業員に負担がかかります。制度やオペレーションが複雑であるほど、従業員の負担が増えていきます。
ポイントカード運用における負担を軽減するためには、オペレーションやルールの周知、効率化が求められます。
従業員にかかる負担をなるべく減らし、効率的なポイントカードの運用を務めていくことが賢明です。
3. ポイントカードによって得られるデータの分析を怠らない
旅館をはじめとし、多くの企業で運用されているポイントカードですが、実際に管理、分析を徹底できていない場合があります。
そうなってしまう理由には、目先の集客や利益にとらわれてポイントカード制度を導入することで満足してしまっていたり、分析をする専任の者がいなかったりすることなどが挙げられます。
ポイントを貯めて顧客に還元するだけでは、ポイントカード本来の役目を果たしていません。データの利用価値を見出し、管理と分析を細かく行って初めてポイントカードを活用できているといえます。
旅館の新たな集客要因になりえるポイントカード
ポイントカードを活用すれば、顧客データを収集、分析でき、優良顧客を育成できます。さらには、ポイント還元システムを上手く利用して、客単価の向上を図ることも可能です。
ただし、ポイントカードを活用する際は綿密な計画が必要です。従業員に負担がかからないよう業務を効率化し、データの分析を怠らなければ、ポイントカードによる集客の改善が期待できるでしょう。
<参照>
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