百貨店のポイントカードの特徴とは|3つのメリット・共通ポイントと自社ポイントの違い

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新規顧客の獲得、リピーター客の囲い込み、さらには顧客データを収集できるといったさまざまなメリットから、現在大型店から小売店まで、店鋪の規模を問わずにポイントカードを導入する店舗が増えています。

経済産業省が公開している商業動態調査の2019年度の年報では、5年連続の販売額の減少が見られます。このような状況から、「百貨店不況」という言葉が叫ばれはじめてから久しい百貨店業界ですが、従来から多くの百貨店で自社ポイントカードが導入されています。

さらに、近年新たな取り組みとして、自社ポイントに加えて共通ポイントを導入する百貨店が増えています。

本記事では、百貨店におけるポイントカード導入の有益性について、実際の導入事例などを交えながら解説していきます。

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ポイントカードには2種類ある

現在さまざまな店舗で導入されているポイントカードは、大まかに2種類に分けられます。1つは自社で独自に発行し運用する「自社ポイントカード」、もう1つは共通ポイント事業者が運営する共通ポイントカード」です。

まずは、この2種類のポイントカードの違いについて、詳しく解説します。

自社ポイントカード

自社ポイントカードは、自社が運営元となり発行するポイントカードです。自社ポイントカードは、自社及びグループ会社でしか利用できないため、顧客の囲い込みにつながり、他店との差別化ができます。

ほかにも、獲得ポイントの多い顧客は「プラチナ」、その月利用がなかった顧客は「レギュラー」など、獲得ポイントに応じて独自のランク制度を導入できます。こうした仕組みを導入すれば、長くブランドと関係してくれる顧客の獲得につなげられます。

ポイント還元率の割合の設定や、ポイント還元率アップキャンペーンといったポイントカードを中心に据えたキャンペーンの開催や開催時期も、自社の決算の都合などに合わせて自由に設定できます。

一方で、自社限定である分共通ポイントカードに比べると会員数が少なく、マーケティング戦略のために必要な顧客データの収集が思うようにできないというデメリットがあります。

共通ポイントカード

共通ポイントカードは、共通ポイント事業会社が一括して運営し、特定の店舗だけでなく、企業や業種といった枠組みを超えて、その共通ポイントに加盟している店舗であればどこでも使えるポイントシステムです。

現在、ロイヤリティ マーケティング「Pontaカード」楽天が運営する楽天ポイント」、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が運営する「Tポイント」NTTドコモが運営する「dポイント」が4大共通ポイントカードとされています。

共通ポイントの最大の魅力は、顧客が1枚のカードで多数の店舗でポイントを貯められる効率の良さにあります。共通ポイントは多くの異業種が乗り合っているため、加盟する店鋪にとっても、従来自社に足を向けることがなかった異業種の顧客を新規顧客として獲得しやすくなるというメリットがあります。

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百貨店がポイントカードを導入するメリット

共通ポイントが登場する以前から、百貨店業界では多くのは百貨店が自社ポイントカードの発行に力を入れています。その理由は百貨店がポイントカードを導入するメリットにあります。

1. 顧客情報を把握し分析できる

店鋪がポイントカードを発行することによって、顧客情報を収集する仕組みを構築できます。カード発行時には住所や年齢をはじめとする個人情報が収集できるほか、そのカード使って顧客が自店で購買をすれば、どんな商品を好むのかといったデータも収集できます。

顧客情報の収集はマーケティング戦略を立てる上で有効なだけではなく、利用回数が多い、利用時の単価が高いといった「優良顧客」の把握が容易になります。優良顧客のフォローは売上につながりやすいため、この層に向けてのアプローチは経営戦略上重要です。

カードを発行して顧客情報を管理できるようになることで、優良顧客に対して効率的かつ効果的なアプローチが可能になります。

2. ポイント付与を付加価値にできる

たとえばAという製品を買う時、値段も同じで家からの距離も同程度の場所にその商品を扱う店舗が2つあるとします。そのうち1店舗はポイントカードを活用しており、もう1店舗は活用していない場合、消費者はポイントという付加価値がある店を選択するでしょう。

たとえば、さまざまな価格の商品を販売している大型量販店では、自社ポイントカードによるポイント付与を盛んに行っています。

こうした店舗では、付与してもらった時よりも、そのポイントを使って出費を抑えて買い物できた時にポイントの付加価値の大きさに気付き、ポイントを貯めるために今後もできる限りその店舗を利用しようとする消費者も少なくありません。

このように、ポイント制度の導入は、店鋪に付加価値をつけるための重要な戦略となります。

3. リピーターを獲得できる

ポイントカードを持つと、「ポイントを獲得したい」という動機から、できる限りポイントを貯められる店舗を利用したいという心理が消費者に芽生えます。

また自社ポイントの場合、ポイントの有効期限なども自由に設定することができるため、少し店舗から足が遠のいていた顧客に対し、「お持ちのポイントがあと1か月で失効します」などとDMやメールで通知すると、貯めたポイントを無駄にしないようにと、顧客が再び店舗に足を向ける動機づけにもなります。

このように、ポイントカードの導入は新規顧客の獲得につながるだけではなく、経営戦略上大切なリピーター客の獲得にもつながります。

百貨店のポイントカード実施事例3選

次に実際の百貨店におけるポイントカードの導入実例として、「高島屋」「東急百貨店」「小田急百貨店」におけるポイントカードの現状を紹介します。

いずれも自社ポイントカードからスタートし、現在は共通ポイントカードも併用できるようになっています。

1. 高島屋

タカシマヤポイントカード
▲タカシマヤポイントカード:編集部スクリーンショット

高島屋の自社ポイントカードには、クレジットカード機能付きのものと、ポイントカード単独のものがあります。共通ポイントシステムとの併用や、アプリの利用でのポイント付与にも取り組んでいます。

  • タカシマヤポイントカード(クレジット機能なし)

入会金・年会費無料で、13歳以上であれば誰でも入会でき、基本ポイントは税抜100円ごとに2ポイントたまります。食料品、食堂・喫茶、特価品の場合は1ポイントたまります。

ポイントの積立期間は入会月を基準とした1年間で、ポイントを買物券と引き換える場合には、ポイント積立期間中〜積立期間終了後3カ月までが有効期間になります。積立期間終了時に1,000ポイント未満のポイントは無効となり、翌期への繰越はできません。

  • タカシマヤセゾンカード・タカシマヤカード・タカシマヤカードゴールド(クレジットカード機能付き)

クレジットカード機能付きのポイントカードも提供しています。

セゾンカードは年会費が無料で、付与されるポイントはタカシマヤポイントカードと同様です。

タカシマヤカードの場合は初年度は無料ですが、次年度からは年間税抜2,000円がかかります。ただし、付与ポイントの割合は一般商品の場合8%です。食料品、食堂・喫茶、特価品の場合は1%、「ギフト推奨品」は8%です。

タカシマヤカードゴールドの場合は年会費が10,000円ですが、タカシマヤカードと同様の条件で、一般商品の場合の付与ポイントの割合は10%になります。

いずれのカードも獲得ポイント2,000ポイントごとに、タカシマヤで利用できる2,000円の「お買物券」1枚と交換できます。また複数枚のカードを持っている場合、各カードのポイントの合算はできません。ポイント積立期間は入会月の翌月より1年間で、翌期への繰り越しはできません。

  • 共通ポイントやアプリ特典

現在、高島屋では対象店鋪限定で共通ポイントPontaカードのポイントが1%還元されるほか、dポイントの発行するdカードやdポイントカードの提示でポイント1%還元、dカード決済でプラス1%、dカード特約店ポイントで0.5%還元で、最大2.5%還元され、税抜200円ごとに5ポイント付与されます。

また新たなシステムとして「タカシマヤアプリ」があり、このアプリに登録すると「モバイルポイントカード」が利用できます。

2. 東急百貨店

TOKYU CARD ClubQ
▲TOKYU CARD ClubQ:編集部スクリーンショット

東急百貨店では、クレジットカード機能付きの「TOKYU CARD ClubQ」を発行しており、初年度の年会費無料は無料ですが、2年目からは年間1,100円がかかります。

東急百貨店のポイントカードは購入金額に伴って特典がアップグレードしていくのが特徴で、入会初年度のベースポイントは3%ですが、買い物額に応じて最大10%までアップする仕組みになっています。また店鋪駐車場の優待利用や配送利用券のプレゼントといった特典も、買い物額に応じて付与されます。

ポイントは1ポイントから買い物に使えるほか、ホテル宿泊券などとの交換も可能です。獲得したポイントの期限は、翌々年の12月末日までです。

共通ポイントとの連携は、2020年10月29日より、「楽天ポイントカード」の利用を「渋谷ヒカリエ ShinQs」の食料品売場、化粧品売場、渋谷マークシティの「渋谷 東急フードショー」や一部専門店を含め、12か所で開始しています。

3. 小田急百貨店

OPポイント専用カード
▲OPポイント専用カード:編集部スクリーンショット

小田急百貨店のポイントカードも、クレジットカード機能が付いたものとないものがあります。クレジットカード機能がないものが「OPポイント専用カード」で、無料配布しています。

小田急ポイントサービス加盟店で利用でき、そのままでもポイントを貯められますが、貯めたポイントを利用するためにはWEBでの会員登録が必要です。

買い物額に応じてポイント還元率が変わるシステムで、通常価格品の本体価格の3%から10%がポイント還元され、クレジットカード機能付きの場合5%から10%が還元されます。セール品・食料品・一部売場商品レストラン・喫茶利用の場合は、1%の付与となります。

また100万円以上の利用で、「小田急百貨店レストラン・カフェご利用券2,000円分(1,000円券×2枚)」、200万円以上の場合は8,000円分の進呈といったサービスがあります。

ポイントの積立期間は入会の翌月を開始月とした1年間で、積立期間終了の3カ月後に失効します。共通ポイントは、dポイントと連携しています。

クレジットカード付きと還元率の変動が目立つ百貨店のポイントカード

現在百貨店業界では、主にクレジットカードと連携した自社ポイントが主流で、店舗や売り場限定で、共通ポイントの導入も始まっている状況です。

自社ポイントカードでクレジットカード機能がないものは、高島屋のように13歳以上であればカードを保有できたり、小田急百貨店のように無料で配布してその場ですぐにポイントが貯められるなど、客層の裾野を広げるために活用されています。

クレジットカード機能付きのものは、東急百貨店や小田急百貨店のように買い物額に応じてポイント還元率が変化したり、特典が付与されるなど、優良顧客の囲い込みに活用されていることがわかります。

自社でポイントカードの導入を検討する場合には、どういう目的で導入したいのかを明確にし、自社にあった方法で運用していくことが大切です。 

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<参照>

経済産業省:商業動態統計年報(2019年)

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