作業服専門店・ワークマンは、コロナ禍でも好調な売上を記録しています。2020年4~9月の既存店の売上高は、前年同期比18.6%増、客数18.5%増でした。
また、ワークマンやホームセンター・カインズなどを擁し、スーパーのベイシアを中核とするベイシアグループは、2020年10月をもって2020年の総売上1兆円を達成したことを発表しています。
そんな中、ワークマンが新たなコンセプトをもとにオープンした実店舗「#ワークマン女子」が話題となりました。オープン時には、3時間待ちとなるほどの混雑もみられたといいます。
本記事では、その人気の秘密を解説します。
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#ワークマン女子 とは?
「ワークマン女子」とは、ワークマンのアイテムをファッションとして取り入れる女性のことを指し、SNSユーザーによる発信のほか、ワークマン公式の発信などでも用いられている言葉です。
Twitter上のツイートを確認したところ、2018年の後半頃からすでに「ワークマン女子」が登場しています。
Twitter:eggy&merurin さん @zokkonbuhiによる投稿
2019年にはWebメディアやTVの報道番組などでも取り上げられ、話題となりました。
Twitter:TBS NEWS @tbs_newsによる投稿公式では2019年7月頃から用いている模様
ワークマン公式サイトでは2019年7月頃、Twitterでは2019年8月から「ワークマン女子」の語を用いた発信を行っているようです。
このことから「ワークマン女子」はもともと公式に提案された言葉ではなく、SNSユーザーにより自発的に広まったものとみられます。
Twitter:【公式】ワークマン女子/ワークマンプラス/WORKMAN @workman_plusによる投稿
2020年10月、実店舗「#ワークマン女子」をオープン
SNS上などでの反響を受け、ワークマンは2020年10月16日、神奈川県横浜市 桜木町駅前のモール「コレットマーレ」内に「#ワークマン女子」をオープンしました。
以下では、同店の3つの特徴について解説します。
1. ワークマン初、女性客主体の店舗
「#ワークマン女子」店では、これまでのモール店に比べ女性専用売場が2.5倍に拡大されています。
また、女性向け商品を店舗の前面に設置し、入り口からは女性マネキンとメルヘン調の撮影スポットが目立つようになっており、店舗入り口から見ると完全に「女性専用店」にみえるといいます。
2. SNSとリアル店舗の一体化を図る「Connected Store」
店内には購入した商品や試着品を着て、店舗からSNS発信できるスポットが設けられています。店名にも「#(ハッシュタグ)」がついており、SNSとのつながりをアピールしています。
さらに、アンバサダーとして起用したYouTuber・ブロガー・インスタグラマーが開発に携わった商品を陳列するコーナーも用意されています。
3. 「インスタ世代」の顧客の取り込み
「#ワークマン女子」店は、これまで来店機会のなかった「インスタ世代=若い世代」の女性を取り込むことを目的としているといいます。
女性客は増えているものの、年齢層的には未だ35歳以上がほとんどであるため、今回ターゲットとなる若い女性と一緒に来店する男性客も含め、新たな客層の取り込みを重要目標としていくようです。
オープン時、整理券が必要となるほど大人気に
DIAMOND Chain Storeの2020年12月の記事によれば、「#ワークマン女子」のオープン時には入場3時間待ちで、整理券を配布する混雑ぶりだったといいます。
反響を受け、ワークマンは今後「#ワークマン女子」店舗を、10年で400店まで拡大していく見込みだということです。
#ワークマン女子 成功の背景…作業服のイメージを覆す「ブランディング」戦略
「#ワークマン女子」は、SNSユーザーが自発的に発信し、流行した言葉であるとみられます。しかしその背景には、流行の下地となるブランディングの取り組みがありました。
ワークマンは2018年から、スポーツやアウトドアで着用できるウェアを取り揃えた「WORKMAN Plus(ワークマンプラス)」というブランドを展開しています。
PRESIDENT WOMANの2019年10月の記事によれば、このブランドはSNSやブログ上で「バイク用に着ると温かい」「アウトドアで着てもオシャレ」「フェスの雨対策に使える」といった、作業服以外のニーズを発見したことから始まったのだといいます。
ワークマンでは元々2015年からPB(プライベートブランド)の開発を進めており、それが実る形でブランドは大ヒットしました。
そしてさらに、アウトドア・ファッション・バイクなど、幅広いジャンルの情報に詳しいインフルエンサーも起用し、一般ユーザーに愛着を持ってもらえるよう発信を続けているといいます。
このように「#ワークマン女子」の成功の裏には、「ワークマンの服は工事や清掃などの仕事で着るもの」というイメージを覆す、数年にわたる努力があったのです。
作業服に対する偏見を打破し、SNS上での流行を逃さず店舗展開につなげたワークマン。コロナ禍の売上減少に苦しむ小売業界の店舗でも、これらの戦略は参考にできるものだといえるでしょう。
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<参照>
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