サイゼリヤ、食事用マスク「しゃべれるくん」を考案:コロナで変わる外食事例2選

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新型コロナの感染リスクを避けるため、消費者の飲食店利用が慎重になるなか、外食産業では新しい生活様式に対応するさまざまな取り組みが行われています。

株式会社サイゼリヤは9月3日、来店客が安心して食事を楽しめるよう、オリジナルの食事用マスク「しゃべれるくん」サイゼリヤ店舗に配置したと発表し、話題となりました。

今回は、しゃべれるくんの概要や使い方をはじめ、コロナ禍によって変わりつつある外食事情をふまえた飲食店の新たな取り組みについて解説します。

サイゼリヤが食事用マスク「しゃべれるくん」を考案

株式会社サイゼリヤは9月3日、食事中も着用できるオリジナルのマスク「しゃべれるくん」を、サイゼリヤ全店舗に配置したと発表しました。しゃべれるくんは、食事中に口元を覆える、食事用マスクです。

店内に備え付けの専用紙ナフキン1枚を、手持ちのマスクに折り込み使用します。食事中の会話から発生する飛沫による、新型コロナの感染リスクを軽減することで、来店客に安心して食事を楽しんでもらいたいといった狙いがあります。

食事用マスク「しゃべれるくん」の使い方は?

サイゼリヤが考案した食事用マスクは、店内の各テーブルに設置されている、専用の紙ナフキン「しゃべれるくん」と、自身が着用しているマスクを組み合わせて、来店客自身が作成します。

「しゃべれるくん」を手持ちのマスクに折り込み、「しゃべれるくん」の端を鼻とマスクで挟むようにして着用します。

▲手持ちのマスクに「しゃべれるくん」こと紙ナフキンを巻きつける:株式会社サイゼリヤ 公式YouTubeより
▲手持ちのマスクに「しゃべれるくん」こと紙ナフキンを巻きつける:株式会社サイゼリヤ 公式YouTubeより


「しゃべれるくん」を口を覆うように顔の前に垂らすことで、会話による飛沫感染を防止する仕組みが特徴的です。

▲口の前に「しゃべれるくん」を垂らすことで飛沫感染防止と食事を両立している:株式会社サイゼリヤ 公式YouTubeより
▲口の前に「しゃべれるくん」を垂らすことで飛沫感染防止と食事を両立している:株式会社サイゼリヤ 公式YouTubeより

飲食時には、「しゃべれるくん」と口の間の隙間から料理や飲み物のグラスを口に運びます。

食事が済んだら、「しゃべれるくん」を内側に折り畳んで破棄できます。

店舗における新型コロナの感染リスクを可能な限り軽減することと、誰でも簡単に作れる手軽さ、そして使い捨てができる気軽さを重視し考案されました。

コロナで変わる外食事情:事例2選を紹介

外食産業では、新型コロナの感染リスクへの懸念から来店客は減少傾向にある一方で、Uber Eats出前館といったサービスの台頭など、デリバリー需要は増加しています。

飲食店によっては、新たにデリバリー対応を始めるなどして、生き残りをはかる取り組みが見受けられますが、外食産業の現場では感染防止対策はもちろん、新しい生活様式へどのように対応するかが大きな課題となっています。

そのような状況下で、豊かな発想によりコロナ禍を乗り切る飲食店の取り組みを2つ紹介します。

事例1. 見直される「おひとり様」向けの飲食店:ひとりしゃぶしゃぶ いち

感染リスクの軽減といった観点から、大人数での会食が自粛されるようになった今、飲食店は1人で来店しても食事が楽しめるようなシステムの導入を開始しています。

「おひとり様」の来店客を意識し、カウンターに仕切りを設け自分専用の網で焼肉が食べられる店舗や、1人前のしゃぶしゃぶメニューを提供する店舗などが話題です。

▲「おひとり様」需要意識した「ひとりしゃぶしゃぶ いち」の取り組み:株式会社ツースリープレスリリースより
▲「おひとり様」需要意識した「ひとりしゃぶしゃぶ いち」の取り組み:株式会社ツースリープレスリリースより

株式会社ツースリーの『ひとりしゃぶしゃぶ「いち」』は全席カウンター、食材が回転レーンを回り、タッチパネルで注文できる新しいスタイルのしゃぶしゃぶ店です。

ソーシャルディスタンスを保ちながら、ひとりで「しゃぶしゃぶ」を楽しめるように、可動式の間仕切りを設置しています。

他の客と距離を保って食事ができるほか、料理をシェアすることなく1人ずつ提供されることから感染リスクが軽減できると、来店客から好評を得ています。

「おひとり様」需要に回復の兆し!Google検索のトレンドにみる来店需要動向

Googleは、2020年7月11日までのトレンドデータについてのまとめを発表しました。それによると、今いる場所から近くのお店を探す「近くの〇〇」検索は、多くのジャンルで例年と同じような推移に回復したといいます。「近くの〇〇」で検索したユーザーは検索結果に表示されたお店に来店する割合が高いため、この検索件数が回復したということは店舗利用の需要も回復してきたということになります。飲食店や美容室など、店舗をもつ業種にとっては喜ばしいニュースです。「近くの〇〇」検索、調べてみると業種ごとに違いが...


事例2. オンライン飲み会に対応した居酒屋も登場

居酒屋チェーンの「甘太郎」は、大勢での飲み会が自粛され、オンライン飲み会の需要が高まった現状を受け、店舗からオンライン飲み会に参加できる個室席を用意しました。

▲オンライン飲み会(リモート飲み会)が居酒屋でできる「甘太郎」の取り組み:株式会社レインズインターナショナル/CWカンパニー プレスリリースより
▲オンライン飲み会(リモート飲み会)が居酒屋でできる「甘太郎」の取り組み:株式会社レインズインターナショナル/CWカンパニー プレスリリースより

店内のWi-Fiを利用しビデオ通話をすることで、居酒屋の料理と飲み物を楽しみながら、オンライン飲み会に参加できる仕組みです。料理は1人前のコース料理なども注文でき、希望すればオンライン飲み会に使用するタブレット端末も借りられます。

自宅からオンライン飲み会に参加するのは、ときに家族に気を遣うことから、オンライン飲み会に対応した居酒屋を利用すれば、気兼ねなく参加できると話題になっています。

甘太郎「リモート飲み専用席」設置、コロナ禍でも楽しく飲み会ができる新サービスを提供

甘太郎で友達同士のリモート飲みが可能に居酒屋チェーン「甘太郎」を運営する株式会社レインズインターナショナル/CWカンパニーは、東京・秋葉原店と大阪・宗右衛門町店で、「リモート飲み専用席」を設置したことを公表しました。「リモート飲み会(オンライン飲み会)」は通常、自宅から参加するのが一般的ですが、コロナ禍でもお店の味を味わいながら飲み会を楽しんでもらうための新サービスです。▲[リモート飲み専用席 大阪の友達に会いに行く感覚でリモート飲み]:株式会社レインズインターナショナル/CWカンパニー(...


豊かな発想でコロナを乗り切る外食産業が続々登場

新型コロナの感染拡大により、外食産業が大きな打撃を受けるなか、各飲食事業者は豊かな発想で新しい取り組みの実施に踏み切っています。

食事用マスクの開発や「おひとり様」向けのメニューと座席の確保、オンライン飲み会に対応したサービスの提供など、「外食はしたいけど感染リスクが不安」といった顧客ニーズを的確に捉え、柔軟に対応している飲食店の例が見受けられるようになりました。

引き続き新型コロナの収束は先行きが不透明なことから、飲食店は、コロナ禍による新しい生活様式に柔軟に対応したサービス展開を続けていくことが求められるでしょう。

<参考>

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