中川政七商店は享保元年に創業された300年続くブランドです。現在も江戸時代と変わらない製法で生地を織りながら、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンのもと日本全国の工芸品を販売しています。
小売事業で自社ECサイトを成長させ、教育事業、コンサル事業、地域活性事業を手掛ける中川政七商店が、コロナ禍でも好調な理由を解説します。
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"ストーリー"が消費行動引き起こす ブランドよりも「共感」に価値
「自社EC」という大きな方向転換
日本の伝統工芸がほどこされた生活雑貨を販売する中川政七商店は、2018年に大手ECサイトである楽天市場から撤退しました。
当時EC全体の4割をカバーしていた楽天市場店をクローズし売上減少が懸念される中、1年足らずで自社ECが楽天市場を補えるようになったといいます。
コロナ禍にもかかわらず2021年のECサイトの売上が前年比で300%増、2月期の売上高が55億800万円を誇る中川政七商店の、自社ECサイトを成功に導いたポイントを解説します。
ECサイト運営のためのPDCAサイクルを回転
ECサイトからの購入を促進させるために、まず課題を洗い出しました。当時の課題として「メルマガを活用できていない」「顧客にとって重要な情報のPRが不足している」という点が挙げられました。
これら2点について重点的に改善や検証を重ねてPDCAサイクルを回し、ECサイトへのアクセス数や売上増加につなげました。
課題解決後は、伸びしろの特定やリニューアルプロジェクトを固め、楽天市場をクローズして自社ECサイトへ顧客を誘導する、という次のステップに進む決断をしています。
スマホからのアクセスを意識したデザイン
スマホ向けECサイトでは、上下と左右のスクロールを組み合わせて作成しています。
左右スクロールが特徴的で、ユーザーはインスタグラムのストーリーズや電子書籍を読んでいるような感覚で、商品紹介バナーを閲覧できます。
上下スクロールを採用しているスマホサイトは多くありますが、上下と左右スクロールをテストしたところ、左右スクロールの方がコンテンツ認識率が2倍良くなることがわかりました。
実は、上下スクロール型のサイトは必要な情報を見つけるのが難しく、集中力を必要とします。一方、左右スクロール型は直観的にコンテンツを理解しやすくなり、顧客体験が向上します。
このことから中川政七商店のECサイトでは、コンテンツ選びにはストレスが少ない左右スクロールを、文字でストーリーを読んでもらうときは上下スクロールを使い分け、配置しています。
”共感”軸にマーケティング
中川政七商店は85年から小売業をスタートさせ、「日本の工芸を元気にする!」というビジョンを掲げ、工芸大国日本というブランドづくりに取り組んでいます。
ビジョン実現に向けて同社は、憧れで商品を所有するという一過性の流行ではなく、商品の背景にあるストーリーを伝えて共感してもらうという点を軸に置いています。
例えば、限られた資源を大切にして作られた日本の工芸品の良さや、年中行事を親子で楽しめる「季節のしつらい便」という暮らし方を提案するキット商品、コロナ禍では「おうち時間」に関するコンテンツを配信して共感を生み出しました。
また、商品をアピールする際は「価値観を押し付けない」という点も意識しています。「~をすべき」という考えを排除した姿勢が、顧客との信頼構築の一助となり共感を呼ぶ要因となっています。
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<参考>
中川政七商店
BUSINESS INSIDER:中川政七商店が「楽天撤退」1年でEC売上を急回復できた理由
ニュースイッチ:中川政七商店、押し付けない「良さ」の伝え方に学ぶ