レシピ動画「クラシル」がアプリDL数1位に輝いたワケ:実用的なレシピを最適なタイミングで届ける工夫

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コロナ禍で「おうち時間」が増加する中、レシピ動画配信アプリ「クラシル」が人気を集めています。2019年の調査では、料理レシピ動画アプリの中で国内ダウンロード数・月間アクティブユーザー数1位に輝いています。

こうしたクラシルの成功の裏には、あえて業界の潮流に乗らない、独自のマーケティング戦略がありました。

この記事では、クラシルの躍進の理由について解説します。

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クラシルとは?

クラシルは、dely株式会社が運営する料理レシピ動画のサービスです。スマートフォンアプリを中心に展開しており、主に20代後半〜30代の女性からの支持を集めています。

クラシルとは
▲クラシル公式サイト:編集部スクリーンショット

シンプルかつ洗練されたわかりやすいレシピ動画が人気を呼び、2016年の開設以来その規模を拡大しています。

同社のプレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000119.000019382.html)によれば、2019年の調査で、料理レシピ動画サービスの中で月間ユニークユーザー数1位、料理レシピ動画アプリの中で国内ダウンロード数および平均月間アクティブユーザー数1位に輝いています。

またアプリの評価においても、2017年に米アップルの「App Store」で総合ランキング1位を獲得しており、利用者の満足度も高いことがわかります。

クラシルが注目されるのはなぜか。3つの戦略

ここでは、クラシルが注目される要因となっている3つの戦略について解説します。

1. コンテンツの実用性と、それを配信するシステムに徹底的にこだわった

レシピを紹介するサービスにはクックパッドなど競合が多く、差別化が難しい部分があるといいます。

そもそも料理の種類によってレシピの手順や分量などはある程度決まっているため、サービスごとに動画の内容自体が全く違うというわけではないのです。

そこで業界の中で比較的後発であったクラシルでは、まずは日常的に検索されやすいレシピにコンテンツを絞りました。また同時にアプリのUIを洗練させ、各コンテンツをどのタイミングでどの位置に表示するかにこだわり、システムとしての優位性を確立しました。

また他社のレシピ動画サービスがSNSなどを利用したプロモーションによって注目を集めようとする中、クラシルはあえてSNSを重視せずにアプリ内のコンテンツを作り続け、レシピ動画数でも1位を獲得しました。

競合が多いレシピ業界の中で優位性を見出そうとした場合、他のサービスにはない変わったレシピを作ることで、目立つように仕向ける戦略も考えられるでしょう。

しかしクラシルはコンテンツの実用性と、それを配信するシステムに優位性を見出し、ユーザーの利便性を向上させたのです。

2. 競合多いレシピ業界の中で「動画なら勝てる」と分析した

レシピを紹介するサービスには、先述の通り競合他社が多くあります。なかでも最大手のクックパッドは270万種類を超えるレシピをコンテンツとして抱えており、ここに後発が対抗するのは非常に難しいとされていました。

一方、クラシルのサービスが立ち上げられた当時、動画によるレシピ紹介はまだ大きく普及していなかったといいます。そこでクラシルは、動画でのレシピ紹介で勝負することに決めました。

dely株式会社の代表取締役/CEOである堀江祐介氏は、2017年の日経ビジネスのインタビューで「動画ならば、自分たちが先行できる」と考えたと述べています。

そして実際にレシピ動画アプリの中で、大きな優位性を持つようになったのです。

3. コロナによる売上減少をきっかけに、広告中心のビジネスモデルからの脱却をはかっている

クラシルの広告収入は、コロナ禍によって5割ほどの減少となりました。これをきっかけとして、これまで広告を出稿していた小売・飲食事業者などと協業するとともに、広告中心のビジネスモデルを脱却していく必要性を感じたといいます。

そこでクラシルは小売事業者との協業に注目し、2020年8月にネットスーパーの支援サービス「クラシルリテールプラットフォーム」を新たに立ち上げました。これは小売事業者によるネットスーパーの立ち上げを支援するサービスで、販売管理システムの構築から配送に至るまでのサポートを一手に提供するものです。クラシル側の収益は月額利用料と、ネットスーパーの売り上げの一部となります。

さらにコロナ禍で売り上げが落ち込んだ飲食店の支援として、2020年3月にいち早く「食べて街のお店を応援しよう!」というキャンペーンも始めました。

これは飲食店がクラシルの運営するECサイト「クラシルストア」に契約から1か月間は無償で出店できるというもので、多くの飲食店がこれを利用し、店舗商品サービスを知ってもらうチャンスにつなげたということです。

優位性をもたらす戦略の立案と、それを実行するスピード感がクラシルの強み

クラシルは、近年急速に進むDX(デジタルトランスフォーメーション)の流れの中で、一歩先を行くマーケティング戦略を展開しました。

目先の潮流や短期的な利益にとらわれず、サービスの優位点は何かを考え、それをどんなプラットフォームからどのように提供すべきかということに邁進した結果、競合の多い業界の中で一定の地位を占めることに成功したのです。

また、コロナ禍でさまざまな業界が方向転換を余儀なくされる中、自社のビジネスモデルの問題点にいち早く気づき、それを補う事業を始めるというスピード感もクラシルの強みだといえるでしょう。

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<参考>
クラシル公式サイト:クラシルとは
事業構想:20代で1000億円企業をつくる クラシルが世界で勝てる理由
PRTIMES:レシピ動画サービス「クラシル」、利用者数・アプリDL数・SNS総フォロワー数・レシピ動画数のすべてにおいて国内No.1を獲得
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    口コミラボ編集部

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