アンカリング効果の整体での活用例2選|松竹梅の法則や注意点も解説

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顧客への心理的効果の視点に対するアプローチ法は、集客率の向上を目指すときに取り入れたい重要戦略の一つです。

アンカリング効果は心理効果の一種で、主に価格の表示方法により顧客の意志決定に影響を与えます。このアンカリング効果は、整体を営む施設・業種にも有効に活用できます。

本記事では、アンカリング効果の具体的な内容、活用事例、さらに活用する際の注意点を解説します。

アンカリング効果とは

アンカリング効果は心理学や行動経済学において広く知られている心理効果です。

まず初めにアンカリング効果の具体的な意味と、アンカリング効果を活用した価格表示について解説します。

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アンカリング効果とは

消費者の意思決定に影響を与える心理効果

アンカリング効果とは、最初に提示された情報に影響されて、その後の意思決定や選択行動が変化する現象です。

消費者が商品やプランを選ぶ際には、価格や性能、口コミ、デザインなど多くの条件を検討材料にし、多くの人は他の商品やプランと比較をします。なかでも重要な判断材料になりうる価格は、数字でわかりやすく脳裏に残りやすいからこそ、アンカリング効果が起きやすくなります。

アンカリングとは直訳すると「アンカー(船の錨)を下ろす」ですが、最初に提示された価格がまるで錨を下ろすがごとく判断基準で固定され、その後に目にする価格の評価に影響します。最初に提示、固定された判断材料の存在を前提にしてその後に提示する情報を設定することで、消費者の判断を狙った方向に導ける可能性が高まります。

アンカリング効果を活かした価格表示

アンカリング効果の具体的な活用例であげられるのが、価格の表示方法です。最初に高い金額を提示することで、その後に提示する安い価格について「安い」「お得」という印象を強めます。

反対に、例えば最初に短い保証期間を提示し、後から限定特典という形で長い保証期間を提示することで、後に提示した情報を得な情報と印象づけられます。

このように、数字の変化によって後者をよりメリットが多い情報のように伝えられる点が特徴です。

価格表示以外のアンカリング効果の活用例

数字は比較がしやすく損か得かを判断するのにあまり時間がかからないため、アンカリング効果がよく活用される対象になりますが、価格以外でもその効果を発揮します。

例えば、ある商品を紹介するときに性能の情報を提示するよりも、「専門家監修」「伝統の技」など付加価値を最初に提示することで商品評価基準が高めに設定され、後に提示する性能情報も自ずと好意的に受け取られます

さらに、無関係の数字を見た場合でも後の意思決定に影響を与えるとされます。そのよく知られた実験が、心理学者・行動経済学者のカーネマンらが1974年に発表した論文です。

10と65のどちらか一方でしか止まらないように設定されたルーレットを使用し、出た数字を被験者に記録させます。その後に、国連に加盟するアフリカ諸国の割合を聞いたところ、10を記録した人の回答平均が25%、65を記録した人の回答平均が45%でした。これは大きな数字がアンカーとなって、より大きな数字を回答する傾向が認められたという結果です。

これを応用し、施設内の価格表やWebサイト上のサービス案内などに大きな値の数字をさりげなく含めることで、商品への評価点を高めることが期待できます。

整体でのアンカリング効果の活用方法

数字や情報の提示する順番により、顧客の意思決定をある程度操作可能にするのがアンカリング効果です。

整体の業務においても、「1時間5,000円、今だけ割引価格の3,000円」などのように、後から提示した情報をよりお得に印象づけることで利用意欲の強化が期待できます。

そのほかの活用方法を解説します。

1. 松竹梅の法則を併用した価格表示

松竹梅の法則とは、商品を3段階で提示した場合に大多数が真ん中の商品を選ぶ傾向をいいます。極端回避性とも呼ばれます。

例えば以下のようにサービスの提示をします。

  1. 100分コース 10,000円
  2. 60分コース 6,000円
  3. 30分コース 3,000円

上から松竹梅のように3段階あり、松に当たる1がアンカリング効果でいう最初に提示される情報、つまり判断基準になります。

1は高価で贅沢、3は安価だけれども短い、2がちょうどよいという印象になり選ばれやすくなるのです。

価格表示を設定する際は、最も選んでほしいプランを最初に真ん中へ設定し、次に高いプラン、続いて安いプランを設定します。高いプランは贅沢だと思わせるもの、安いプランはチープだと感じさせるよう設定すると良いでしょう。

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2. 施術を担当するスタッフの資格などをアピールする

数字だけでなく情報でもアンカリング効果が期待できます。整体においてアンカリング効果を応用できる情報の一つが資格や経歴です。

技術レベルを裏付ける情報などが、顧客の価格を判断する基準となり、他店と同じ価格だったとしても費用対効果が良いと感じるようになります。結果として、客単価のアップにつながることもあるでしょう。

このように、アンカリング効果は価格の変化でサービスを選びやすくするだけでなく、効果的な情報の提示方法により利用価格を上げることもできるのです。

アンカリング効果を整体で活用する際の注意点

上手に活用すると収益拡大や顧客単価の増加が見込めるアンカリング効果ですが、誤った使い方をすると信頼を損なう場合があります。注意点を二つ解説します。

1. 二重価格表示をしない

二重価格表示とは、通常の価格を不当に引き上げてから値引き価格などを提示し、商品価格を安く感じさせて購買行動を促す行為です。

例えば、通常2,000円の整体プランを、アンカリング効果を狙うために「通常4,000円、期間限定割引2,000円」などのように提示する場合が二重価格表示に該当します。この方法で販売するためには、そのプランの価格を4,000円として提供した実績が一定期間必要です。

そのほか、業態全体の平均価格や他店の同メニューの価格などを調査や根拠なしに比較対象で提示するなども二重価格表示に当たります。

二重価格表示とならないよう、適正な価格や情報に基づいたプランの設定・提示が求められます。

2. 偽りの情報を発信しない

当然ですが、偽りの情報の提示、あらかじめ提示した情報とは異なる請求はできません。料金プラン一覧やWebサイトなどに提示した料金よりも高い金額を請求したり、資格や経歴の詐称、施術数の水増しなど、偽情報の発信をしないことが重要です。

また、「肩こりが絶対に治る」など期待を大きく煽るような表現もできません。整体は医業類似行為であり、病気が治ることや症状がなくなることを示す表現は誇大広告になってしまいます。

偽情報の発信にならないよう注意するとともに、どのような広告表現が禁止行為に当たるかを把握し遵守することが求められます

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アンカリング効果を活用して整体への集客力向上を

アンカリング効果の活用により、狙ったプランの利用率を上げ、集客や利益の拡大、顧客単価の向上が期待できます。

アンカリング効果は価格を下げる割引効果だけでなく、高単価への納得感を高めるのにも有効です。

ただし注意して活用しないと価格や情報の偽表示に該当するため、常に適正な価格、情報の表示が重要です。

<参照>

消費者庁:二重価格表示

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